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そこが知りたい最高裁
最高裁に行ってきました
先日、最高裁での弁論、判決を経験してきました(内容は拙稿ご参照)。17年あまりの弁護士生活ではじめての経験でしたが、その中には「ええっ、そうなん?知らんかった?」というものが多くありましたので、教科書には書いてないけど、上告する際には知っておきたい豆知識をまとめました。
上告が通るときはどれくらいで連絡がくるのか
過去、何度か上告(以下、上告受理申立てを含んでたんに上告と言います)をしたことはありますが、その際は、3ヶ月~半年、長い場合で1年くらいで、三行半の棄却決定が届いていました。
私の担当した事件の上告申立ては2023年2月6日で、2023年中に何の連絡もなく、丸1年経過しても何の連絡もありませんでしたが、以前に1年経ってから三行半が来たケースもあったので、便りがないのが良い証拠とは言えません。
最高裁の書記官から連絡があったのは2024年7月18日。私は東京出張中でしたので、事務局から「なんか最高裁から折り返しほしいと連絡来ました」という連絡があって、これを知りました。
胸の鼓動の高鳴りを抑えながら、最高裁に電話をかけたところ、「本決まりではありませんが、弁論が開かれる可能性が出てきましたので、日程の調整のご連絡させていただきました」とのこと。まだ「本決まり」ではないって、日程の調整までしておいて、「やっぱ開きません」ってこともあるんやろか。
「出頭予定者の方や関係者以外にはまだ口外しないでください。お盆明けに正式に弁論を開くことが決定するまでは」と言われましたが、1ヶ月もこの空前絶後の慶事を黙っている自信がありませんでした。
結局、8月19日に口頭弁論期日の決定がなされ、10月3日が口頭弁論期日となりました。私がこの日まで口外しないでいられたかは内緒です。
棄却よりも短い受理決定
本件は上告と上告受理申立てをしていましたが、上告は棄却され、上告受理申立てが受け付けられたものです。
上告棄却決定
第1 主文
1 本件上告を棄却する。
2 上告費用は上告人の負担とする。
第2 理由
民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、違憲及び理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
上告受理決定
第1 主文
本件を上告審として受理する。
第2 理由
本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項の事件に当たる。
受理される場合のほうが三行半もないんですね。お別れの棄却決定と違って、こっちは最高裁とのご縁をつなぐ赤い糸だから1本で十分ですね。
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