#テレ東ドラマシナリオ 「パスワードが間違っています」
以下の#100文字ドラマ アイデア を元にしています。
■シナリオのストーリー
サキ(27)が幼い頃からの女友達・カナコ(27)と一緒に思い出を振り返り、思い出した言葉や数字をパスワードとして散々試した後の展開シナリオ。
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◯サキの家・実景
◯同・玄関
靴を履くカナコ。
サキが追いかけてきて、
サキ「わざわざいいわよ。あのライブハウスの汚いトイレになんて書いてあったかなんて……」
カナコ「大丈夫。行ってくる。サキはここで思いついたのじゃんじゃん試してって」
サキ「カナコ、待って」
カナコ、サキをおいて出ていく。
サキ「……」
◯同・リビング
食卓の上にノートPC。
戻ってくるサキ。
サキ「……もう何も思いつかないのよ」
サキ、PC画面を見つめる。
サキ「10年前の私、何をパスワードにしたの?」
◯回想/高校・教室(10年前・夕方)
チャイム音が鳴り響く。
高校生のサキが一人、机で寝ている。
カナコが前から駆け込んでくる。
カナコ「サキ!」
起きるサキ、欠伸する。
サキ「……カナコ、遅すぎよ」
カナコ「mixiやってる?」
サキ「やってないけど」
カナコ「やろうよ、mixi」
サキ、面倒くさそうに。
サキ「でも、それって招待されなきゃ駄目なんでしょ?」
カナコ「うん」
サキのM「あの頃のmixiは招待制だった」
カナコ、当時の携帯電話を取り出す。
カナコ「大丈夫。あたしが招待するから」
◯回想戻り/サキの家・リビング
サキのスマホに電話がかかってくる。
それに出るサキ、膝から崩れる。
サキ「……」
◯商店街
全力疾走しているカナコ。
彼女のスマホから着信のバイブ。
カナコ、電話に出る。
カナコ「サキ、どう? パスワードわかった?」
◯サキの家・リビング
床にしゃがみ込むサキ、スマホで電話をしている。
サキ「招待してくれたのがカナコでなきゃ、mixiにこんなハマらなかったのに」
× × ×
商店街のカナコとカットバック――。
カナコ「(電話に)え?」
× × ×
サキ「mixiのせいで彼に捨てられちゃう……」
涙を流すサキ。
◯商店街
立ち尽くすカナコ、茫然。
カナコ「……ッ」
カナコ、振り返り来た道を走って戻っていく。
◯サキの家・表
走ってきたカナコ、玄関を開け中に。
カナコ「サキ!」
◯同・リビング
カナコ、室内を見回しPCの前に座り込むサキを見つける。
カナコ「サキ、どうしたの? しっかり」
励ますカナコ。
サキ「……彼に読まれた」
カナコ「!」
サキ「これまでの私の恥ずかしい思い出が全部知られちゃう……」
カナコ「……まだ大丈夫だって。あんたの過去を全て遡るには時間かかるって」
サキ「パスワードがわからないの! もう無理よ!」
サキ、逆上して、
サキ「カナコがmixiに招待したせいでこんなことに!」
カナコ「え」
サキ「何でmixiに誘ったのよ?」
カナコ「何でって……」
サキ「カナコのせいよ、私が幸せになれないのわ」
カナコ、愕然。
カナコ「そんな……」
サキ「帰って!」
カナコ「……」
肩を落とすカナコ、立ち去っていく。
カナコ「(呟いて)何でって、サキのことが……」
サキ「何? 何なの?」
カナコ「言うわけないじゃん」
出ていくカナコ。
◯同・表
カナコが去っていく。
◯同・リビング
サキ、不機嫌そうにPCの前に座る。
サキ「カナコのせいよ」
パスワード入力画面に文字を打ち込んでいく。
叩かれる『k』『a』『n』『a』『k』『o』とキー。
サキ「mixiなんてカナコがいなければやらなかった。カナコがいたから……」
Enterキーを押すと画面はログインされた状態に。
サキ「……」
◯同・表
出てくるサキ。
カナコを追いかけて走る。
◯道
周囲は住宅街。
サキが走り、歩いているカナコの後ろ姿を見つける。
サキ「ごめん、カナコ」
カナコ、無視して歩き続ける。
サキ「待って」
カナコ「(振り返って)待たない」
サキ、追う。
サキ「さっき、私また間違えちゃったの」
カナコ「サキの言う通り、当たんないよ。アドレスかID自体間違ってるんだよ」
サキ「ううん。パスワードより大切なことを間違えたの」
立ち止まるカナコ。
サキ「カナコがいたから、mixiやってたの」
カナコ「……」
サキ「カナコがいたから辛いことや恥ずかしいことあったって、乗り越えられたってmixiで思い出したの」
カナコ「!」
サキ「これまでありがとう、だった。私から言うのは」
カナコ「……」
カナコ、再び歩き出す。
◯公園
向かうカナコとそれを追いかけるサキ。
カナコが進む先には一人の青年、サキの婚約者のタカヤ(30)が待っている。
サキ「え、タカヤさん?」
カナコ「あたしがここに呼んだの」
サキ「え……」
振り返るカナコ、サキを見つめる。
カナコ「あたしにmixiに誘ったの何でかって聞いてきたけど……」
サキとカナコ、見つめ合う。
それを見守るタカヤ。
サキ「何で?」
カナコ「好きだったからだよ」
サキ「?」
カナコ「あたしは友達としてじゃなくサキのことがずっと好きだった」
サキ、困ったように笑い、
サキ「ありがとう」
カナコ「ううん」
サキ「でも、ごめんなさい」
カナコ「うん」
相槌を打つカナコ。
サキ「私、タカヤさんが好き」
カナコ「うん」
サキ「タカヤさんと結婚したいの。だからmixiのこと、話してくる」
サキ、タカヤの元に駆け寄る。
越されたカナコ、微笑む。そして、一人公園から出ていく。
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■その後、サキと婚約者について
婚約者であるタカヤはサキにこれまで嘘をつかれていたのはショックだったが、mixiに書かれていた恥ずかしい面も知れて嬉しい、更に愛おしくなったと伝える。それを聞き、彼を抱きしめてしまうサキの様子で〈終わり〉