ゴールデンカムイ15巻の導線美
ゴールデンカムイで一番好きなのは何巻かと訊かれたら、ものすごく悩むけど…………………………
15巻だな。
という話をします。
そもそもゴールデンカムイは金塊の行方を追うことがひとつのデカい話としてあり、寄り道のような回はあってもこの巻のここが突出している! みたいなことってあんまりないと思うんですよ。
でも私は15巻が好きだ。
15巻の内容って杉元たちがエノノカに出会ってバーニャして月島の過去が明かされる[おわり]なんだけど、一貫して月島の巻だったな……と思わせる仕組みがすごく……好きなんですよ。個人的にものすごく月島が好きとかそういうわけではない(前提としてキャラクターみんな好き)のに、15巻はこう……月島への興味の導線が裏に張られてるな~と思う。
何にせよ15巻のいちばんのクライマックスは月島の下の名前が明かされるところだと思うんですが、そこまでの導線がすごく好き。
まずスチェンカ初戦でこれですよ。
他の3人はフルネーム出てるのに、月島だけは出ないんですよ。ここですでに「あれ? 月島って下の名前ってなんだろう?」と思う人も多いだろう。
そして次の岩息さんと対決する回の扉絵がこれ。
前回もやって今回もこうやられて、月島の下の名前に意識が……いくじゃん! 話としては月島の名前に重要さは全然ない回だけど、こうやられるとすごく……アレッ? 月島は? ってなるじゃん!
そうして読み進めていたら149話の例の回があるわけですが、ここで名前出てきたときある種のカタルシスが満たされましたね。なんとなく引っかかっていたわだかまりが解ける快感。逆に、月島の名前自体は物語の巨大な伏線というわけではないので、下の名前が出てくるシーンで「あ、俺って月島の下の名前知らなかったな……」と自覚させられる人もいるでしょう。そういう仕組みがさあ……いいのよ……。
余談ですが、15巻には私が一番笑った回もあるので紹介します。
この3コマ目がめちゃくちゃ好き。