白鴉例会と忘年会と哲学とオーストリア文学と『ゴドーを待ちながら』と『灯台へ』とmixi2と『抗路』終刊と

 22日、今年最後の白鴉例会。3作。とある作品をあまりにも個人的感情でディスりすぎたので途中でみずからフォローを入れるなど。老害最古参の務め。
 終了後、忘年会。私はもっと文学より哲学を学ぶべきではと。たしかにさいきんあまり読んでないしなと。なにを読めばいいと思うかと問うと、やはりドイツではと。ただしフランクフルト学派ではなく、もともとハイデガーを読んでいたならその系統でいいのでは、ニーチェはどうだと。ニーチェか…取扱注意物件だなー、ガダマーかなーと考えていたものの、ブルーメンベルクを2冊ほど積んでるのを思い出し、カッシーラーの『シンボル形式の哲学』全4巻も積んでるし、このへんか。オーストリア的嫌味系であるともお褒めいただいたので、オーストリア文学でそのあたり学習していきたいと思います。がんばってベルンハルト読むぞ

 前回の記事からこれまでのあいだは『ゴドーを待ちながら』を観られて幸せでした。舞台ではなくて映画でしたが。マイケル・リンゼイ=ホッグ監督によるもので、どこかで見憶えがあるようなアイルランド人俳優たちが演じております。youtubeにもありますので、ご興味のあるかたはぜひ。私が京都芸術大学で観たものでは、岡室美奈子氏による翻訳で字幕がついておりましたが。岡室訳、読みやすくていいんですが、冒頭のエストラゴンによるセリフが「何やってもダメ」なのが個人的に好みではなく、安堂信也/高橋康也訳の「どうにもならん」のほうがしっくりくるんですよね。こっちのほうが薄汚いおっさんのセリフっぽくないですか。

 小説が下手であるという自認で生きているので、巧くなりたいぞと思い、巷で噂の『ソーンダース先生の小説教室』(フィルムアート社)を読みはじめた。チェーホフやらツルゲーネフやらといったロシア文学者の短篇を読みつつ、その文章について解説していくというスタイルで、ソーンダースの解説はもちろん、取りあげられている7本の短篇もちゃんと全文載っているらしいのでたいへんお買い得。さっそくチェーホフの「荷馬車で」からはじまっておりますが、たしかにそういうとこ気にしながら書いてるなー、と共感しながら読んでおります。これを読めば私もとても巧い小説を書けるようになれるでしょうか。

 およそ8年ぶりにウルフの『灯台へ』を岩波文庫版で読み返しておりますが(3読目)、たぶん前はこういうとこ読めてなかったなー、なんてところがあったりして、私自身がちゃんと成長していることを実感できてたいへんすばらしいのであった。

 mixi2なるSNSが誕生しまして、もともと黎明期の2004年か5年あたりからmixiをはじめていた私としては、真っ先に飛びつくのであった。おそらく白鴉内なら最速。いまのところPCブラウザからはできないらしく、スマホでアプリを取得する必要がありますが。色遣いとかが往年のmixiを思い出させるもので、かつてmixiにいた人たちはなおさらよいのではないでしょうか。招待リンクはこちら。ただしリンクには期限があるようで、いまクリックしても期限切れということは十分に考えられますので、ご注意ください。

 8号から買いはじめ、5号と7号をバックナンバー購入した在日総合誌『抗路』が最新12号で終刊ということで、とても残念。遡ればクレインの文氏との交流が生まれたきっかけでもあったので。雑誌そのものが売れない時代にさらに少数派のテーマが中心で、運営にも大変な苦労があっただろうと推察しますが、長いあいだお疲れさまでした。

 読みたいと思いつつ入手困難でありつづけた『ティマイオス』が新訳で文庫化されていてとてもうれしい。


さいきん読み終えた本
宋恵媛『「在日朝鮮人文学史」のために──声なき声のポリフォニー』(岩波書店)
斎藤真理子『在日コリアン翻訳者の群像』(SURE)
小山内園子『〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学』(NHK出版)
金菱清『生きられた法の社会学──伊丹空港「不法占拠」はなぜ補償されたのか』(新曜社)
近藤絢子『就職氷河期世代──データで読み解く所得・家族形成・格差』(中公新書)

さいきん観た映画
『ニワトリはハダシだ』(森崎東)Blu-ray
『ゴドーを待ちながら』(マイケル・リンゼイ=ホッグ)京都芸術劇場春秋座
『ザ・バイクライダーズ』(ジェフ・ニコルズ)大阪ステーションシティシネマ
『ドリーム・シナリオ』(クリストファー・ボルグリ)大阪ステーションシティシネマ
『どうすればよかったか?』(藤野知明)第七藝術劇場


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藤本紘士
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