白鴉例会(10月分)と『星座盤』外部合評と黄英治とタルオルムと『ダーリンはネトウヨ』と『コカイン・ベア』と
11月3日、諸事情により10月分の白鴉例会。3作。終了後の二次会なし。帰る途中、ひとりで蕎麦とビール。
11月5日には『星座盤』の外部合評会。2021年以来、父親の命日とどちらかを思い出してはどちらかを思い出す。私はいつものごとくわけのわからないことをひとりでまくしたてる安定のスタイル。喜界島のあの資料で安岡伸好調べてみたい。いつも二次会やってたところが潰れたらしい。どちらにしろ参加せず、さっさと帰る。
10月21日になんか催しごと。写真撮られる。後日データをいただけることになったが丁重にお断りする。他人の撮る写真に写った自分に耐えられない。いまならベルンハルトの『消去』ばりに写真への憎悪を記述できそう。川の魚でかかった。
FBにて、おそらく岡和田氏の投稿経由で私の先日の『図書新聞』文芸時評に取りあげられたよ投稿に黄英治氏がイイネをつけてくれたので、あほのふりして『白鴉』33号の献本を申し出たところ、許可をいただいたので送らせていただきました。
10月21日といえばその前日の20日には劇団タルオルム『風の声』釜山公演をゲキ×シネ化したのを荒本で上映会やるというので行ってきた。音響が若干心もとなかったが、考えてみれば映画館違うしな。けっこう時系列があちこちしてて、原作こんなんやったかな、そういえば、とかけっきょく再読してなかったので思い出せないまま、それにしてもこんな複雑な構成を、観客に惑わせないように組み立てていてさすがだなと。
その脚本を手掛けた劇団代表の金民樹氏に挨拶できなかったと後日twitterで気にさせてしまい、こんど機会があればこちらからもお声がけするようにしようかなと思ったり思ったり。
21日はほかにクー・ジャイン『ダーリンはネトウヨ──韓国人留学生の私が日本人とつきあったら』(明石書店)を翻訳された金みんじょん氏より献本の申し出があり、ちょうど近いうちに買おうと思っていたので、ありがたくいただきました。
基本3コマずつの漫画を並べて構成されるエッセイ漫画で、表紙や、ひとつだけtwitterであげた絵(韓国人の日本語の訛りが嫌いだという彼氏のために訛りを完璧になくしてしまった主人公が日本人になりきることにはまり、日本人らしい仮名で予約を取ったりしていたというくだり)を見てもわかる通りのかわいらしい絵で描かれ、どんだけ砂糖でコーテイングしてくれてるんですかと問いかけたくなること間違いなしではあるものの、そこはやはり、ところどころで芯はしっかり持っているとも明示される主人公なので、安心して読める。ここでずっと言いなりになっているような主人公だったらとてもじゃないけど耐えられないだろう。彼氏から放たれる、ネトウヨお馴染みの妄想的な韓国人表象にたいし、前述の訛りのように従ってしまうこともあるけれども反論もしており、しかし歴史をもういちど学びなおしてみるなどの努力もする。主人公がこの彼氏にたいして最終的にくだす決断は、この学ぶ姿勢による成長からきているのであり、解説のMomento Joon氏も言うように、「差別」の反対は「成長」なのだろう。この彼氏はいっさい成長=変化を遂げないのであった。
それにしても「うたまる」と書くとき、作者の頭にいたのは「歌丸」なのか「宇多丸」なのか。
『コカイン・ベア』真面目に作られたダークコメディで最高だった。勉強になるな。映画館の上映を逃してしまったのは許すので、みんな配信されたら観よう。
さいきん読み終えた本
ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』(河出文庫)
ハリーム・バラカート『六日間』(第三書館)
『星座盤』vol.17
さいきん観た映画
『ベルリン・アレクサンダープラッツ』(ブルハン・クルバニ)配信
『ハント』(イ・ジョンジェ)シネマート心斎橋
『劇団タルオルム ゲキ×シネ 風の声』(金民樹)東大阪市立荒本人権文化センター大ホール
『コカイン・ベア』(エリザベス・バンクス)シネマート心斎橋