見出し画像

【書評】高橋洋一著「明解!金融講義 世界インフレ時代のお金の常識・非常識」~金融知識はあなたの財産を守り育てる武器になる 知らなきゃ危険!?~

著者紹介

高橋洋一さん

嘉悦大学教授、株式会社政策工房会長、博士(政策研究)。数量政策学者として、財政・金融政策、年金数理、金融工学、統計学、会計、経済法、行政学、国際関係論など多岐にわたる分野に精通されています。もともとは数学を専攻し、官僚時代には大蔵省、経済財政諮問会議特命、総務大臣補佐官、総理大臣補佐官付参事官(官邸)などを歴任。
その後、チャンネル登録者数126万人を誇る人気YouTuberとしても活動中。元財務官僚ながら、現在は財務省の政策に対して批判的な立場を取っておられます。


本書の内容と注目点


  1. 世界の常識
     「国民所得を増やすためには、減税と金融緩和が最も有効」という国際的な経済の常識に対し、日本は逆の政策を採用している現状を鋭く指摘しています。

  2. 貯蓄から投資へ
     経済学では「貯蓄は基本的にすべて投資に回る」とされる中、新NISAが新規顧客獲得のための『撒き餌』に過ぎないという厳しい現実を述べられています。

  3. 金融リテラシーの重要性
     貸借対照表(バランスシート)を用いて、企業がどのような資産を保有しているかを把握する方法を解説。純資産の多さは、企業の健全性を示す重要な指標です。

  4. 金融政策の本質
     金利の引き下げ・引き上げにより市場の資金量を調整する仕組みと、最近の日銀による利上げが経済に与える悪影響について述べています。金融政策の本来の目的は、雇用の拡大と失業率の低減(具体的には失業率2.5%、インフレ率2%を目標)であると指摘されています。

  5. 為替政策への提言
     円安は日本経済にとって有利であるとし、為替介入の効果は限定的であること、また外貨準備は国民に還元されるべきだという意見を展開されています。

  6. 金融視点から見る戦後経済史
     日本銀行はバブル経済の真因を誤認し、失策により経済低迷を招いたと批判。誤りを認めず、その後も引き締め政策を続けた過去について振り返っています。

  7. 自分のお金を守るための金融リテラシー
     - 金融機関おすすめの投資商品:
      一般に勧められる投資商品には要注意です。
     - 企業の財務状況の見極め方:
      貸借対照表と損益計算書を分析し、負債と資産のバランス、各事業セ グメントの状況に注目することが大切と説かれています。
     - 最強の金融商品:
      「個人向け国債 変動金利型10年満期」が特におすすめ。その安全性と堅実さを強調されています。

感想

どの銘柄に投資すべきか判断するのは難しいものです。
企業分析に自信がない場合は、「個人向け国債 変動金利型10年満期」が非常に安心できる選択肢であると再認識させられました。
本書を通して、金融リテラシーの向上が自分の財産を守り、さらには増やすための有効な武器となることを学ぶことができます。
大変有益な一冊です。
是非一読ください。

※方針転換の難しさ
バブル経済崩壊以降、景気が長期にわたって低迷している現状。
政策決定者のプライドや既成概念が政策転換を妨げているようです。
どの組織でも、一度決めた方針の転換は容易ではありません。
私自身も、現役時代に会社が危機に瀕した際、
状況が悪化して、ようやく変革を余儀なくされた経験があります。
結局、給与カット、リストラなど多くの犠牲が伴いました。
日本も当面厳しい状況が続きそうです。

参考


マガジン



いいなと思ったら応援しよう!

Hiro/AIに取り組む65歳
よろしければ、サポートお願い致します。