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赤ちゃんの反り返りは大丈夫なの!?

こんにちは、ひろです!
現在、小児科医として働いており、日々精進中です!
病院で関わる方以外にも、多くの人に自分の記事を読んでいただきたいと思い始めました。
少しでも子育てに不安や迷いが生じている、そんな方に向けた記事を作っていきたいと思います!
さて、本題に入ります。
1か月健診の際に、よく保護者の方から下記のようなご質問を受けます。
「赤ちゃんの反り返りが目立ちますが、大丈夫ですか?」
このことに悩んでいる方は実際多いのはないのでしょうか。
この記事では

● 生後〜1歳までの赤ちゃん(乳児)の反り返り

について、解説していきます!


1. 「反り返り」は、赤ちゃん皆にみられるもの

保護者の方の中には、抱っこのしづらさから赤ちゃんの「反り返り」を意識する方も少なくはないでしょう。よくSNSなどで、赤ちゃんの「反り返り」という言葉と「脳性麻痺」や「発達凸凹(最近は発達障害とは言わない)」という言葉がリンクしてしまい、余計に不安や混乱を招いているかと思います。

実際に、脳性麻痺の赤ちゃんは、筋緊張の亢進(手足がこわばってしまう)により「反り返り」が見られることは多いです。ちなみに、脳性麻痺とは、「お母さんのお腹の中にいる時から生後4週までの間に発生した脳の損傷により、運動機能の障害を起こすこと」を指します。原因は、分娩前/中/後の酸素欠乏、感染症、脳の先天奇形、重症黄疸など様々です。

また、発達凸凹がある赤ちゃんの中には、うつ伏せを嫌うといった感覚的な偏向をもっていたり、周囲への視覚刺激への反応が弱いために仰向けの上下逆転の世界を許容してしまったりする子もいます。

不安を煽るような形になってしまいましたが、反り返りは正常な場合にも見られるので安心してください。例えば、おむつが濡れており不快感を示す場合や感情(怒りや喜び)を表している場合です。泣いている赤ちゃんが反り返っている様子は想像がつきますよね。

2. 「反り返り」だけで異常と判断しない

下記2つのいずれかが認められる場合は、病的な筋緊張亢進により異常な「反り返り」が生じている可能性が高いです。
①周産期の病的エピソード(脳への酸素供給障害、髄膜炎などの重症感染症、脳の先天奇形など)がある
②安静時で明らかに手足が突っ張っていて手足の曲げ伸ばしができない

これらが該当しない場合は、生後1か月で「反り返り」を「筋緊張亢進」として異常視するのは時期尚早かもしれません。生後1か月ごろではまだ筋緊張亢進所見ははっきりせず、反り返り=筋緊張亢進とは判断できません。

また、発達凸凹による反り返りか否かを判断していくには、総合的な発達の評価が必要になります。言語発達の遅れがないか、コミュニケーションの困難さがないかなど、運動機能以外の発達も考慮します。

よって、「反り返り」があるという1点の事実だけで、不安に感じたり、焦ったりする必要はありません。

3. 「背這い」は大丈夫? やめさせるべき?

「背這い」とは、ブリッジのような姿勢で後頭部を視点として、足で蹴って移動するものを指します。5-6か月ごろから見られる子がいますが、これは正常発達のバリエーションの一つと言われているので、やめさせる必要はないです。他の発達が順調であれば、基本的には問題ないです。これは、単に、うつ伏せが苦手なだけであることが多いです。うつ伏せに慣れさせるためにもタミータイム(※)を取り入れてみるのはアリでしょう。

※タミータイムについては下記の記事で触れていますので、参考にしてください。


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