赤ちゃんの顔のあざは大丈夫!?
こんにちは、ひろです!
現在、小児科医として働いており、日々精進中です!
病院で関わる方以外にも、多くの人に自分の記事を読んでいただきたいと思い始めました。
少しでも子育てに不安や迷いが生じている、そんな方に向けた記事を作っていきたいと思います!
さて、本題に入ります。
1か月健診の際に、よく保護者の方から下記のようなご質問を受けます。
「この子の顔のあざは大丈夫ですか?」
このことに悩んでいる方は実際多いのはないのでしょうか。
この記事では
について、解説していきます!
1. おでこの青色のあざ
青色のあざは、「異所性蒙古斑」と「太田母斑」の2種類に分かれます。
この2種類のあざは区別が難しいです。
1-1. 異所性蒙古斑
通常、蒙古斑は日本人新生児では腰骨あたりに青いあざとしてほぼ100%認められます。異所性蒙古斑は腰骨あたり以外にできる顔や肩、背中などの蒙古斑を指します。蒙古斑は、多くが数年〜十数年で自然に消えます。一方、異所性蒙古斑は通常の蒙古斑よりも消えるのが遅く、稀に大きいものや色が濃いものの場合は成人後も残ることがあります。蒙古斑が顔や腕など露出している部分に将来残ることが想定される場合、皮膚科/形成外科にてレーザー治療を行うこともあります。
1-2. 太田母斑
太田母斑は片方のおでこ、まぶた、ほっぺた、こめかみあたりに広がって現れる青色のあざです。生後すぐにはわかりにくく、数か月以内に現れて、徐々に濃くなっていきます。また、この太田母斑は、思春期以降にもホルモンバランスが大きく変化することで出現することがあります。こちらは異所性蒙古斑とは異なり、自然消退しないため、皮膚科/形成外科にて早期レーザー治療を行います。
2. まぶたやうなじの赤色のあざ
まぶたや眉間にある薄い赤色のあざは「サモンパッチ」で、うなじにある濃い赤色のあざは「ウンナ母斑」と言われます。
2-1. サモンパッチ
まぶたや眉間に輪郭がぼやけている赤いあざはサモンパッチです。10〜30%の新生児にみられ、ほとんどは自然に消えるので経過観察します。遺伝性があり、親子や兄弟でもしばしば見かけることがあります。1歳半を過ぎてもくっきり残っている場合は、成人になってからも残る場合があり、気になる場合はレーザー治療で薄くすることが可能です。ただし、まぶたのものはレーザー光線が目に入る可能性があり、全身麻酔下で眼球を保護するコンタクトを入れてから行います。
2-2. ウンナ母斑
後頭部からうなじにある逆三角形の赤色のあざはウンナ母斑です。約半分は5歳頃までに自然に消えます。濃いものは成人まで残りますが、ほとんどは頭髪に隠れてしまうので、経過観察にすることが多いです。
3. ほっぺたにある濃い赤色のあざ
生後からあるほっぺたにある赤いあざは「毛細血管奇形」です。別名として、ポートワイン母斑や単純性血管腫とも呼ばれています。毛細血管奇形は、自然に消えずに生涯残ります。思春期頃には色が濃くなり、成人期以降はポリープ状に隆起してくる可能性があります。
見た目の問題解決や今後の色調変化の防止のために乳児期早期からレーザー治療が勧められます。レーザー治療は、皮膚が薄く、日焼けしていない乳児期早期から行うほど治療効果は良く、少ない照射ですみます。
また、毛細血管奇形では合併症についてを考えなくてはなりません。おでこから上まぶたまでの領域(三叉神経第1枝領域)、下まぶたからほっぺたや上唇までの領域(三叉神経第2領域)に毛細血管奇形がある場合、Sturge-Weber症候群の可能性があります。これは皮膚だけではなく、眼の脈絡膜や頭蓋内にも毛細血管奇形が生じているものです。脈絡膜に毛細血管奇形があれば眼圧が高くなる緑内障、頭蓋内にあればてんかんや脳出血の合併を引き起こす可能性があります。Sturge-Weber症候群が疑われた場合は、眼科受診や頭のMRI検査が必要になります。
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