小さな私
あなたのお腹を抜け出してから
約22年が経ちました。
この20年間、ほぼ毎日19時間・ 22年で15万2570時間目を開いて、生活を営んできました。我ながらすごい、よくがんばった。
なんて、誰が労わってくれるのかしら。
両親?夫?それとも私?
きっと誰も言いやしない。
だって、私も知らなかったもの。
15万時間も起きて、活動していたなんて。
思い出なんて1つもない。
あるのは後悔と、あとは、忘れてしまった。
きっと、くだらないこと。
思い出すことなんて1つもない。
本当の、本当に空っぽ。すっからかん。目を押し付けてみても、ひっくり返してみても、1粒だって見つからない。楽しかった思い出に限ってはね。
悲しかったことなら、たくさんある。
人には聞かせられないくらい、たくさんある。
思い出したいことなんて、1つもない。
どれだけ深く潜っても、誰かの心が見つかることなんてない。私の悲しい気持ちだけが、ずっと、どこまでも続いていくだけ。
悲しむために時間を割くなんて、馬鹿みたい。
そんなの、疲れてしまうだけじゃない。
それなら、私、楽しく生きていたい。友達とおしゃれして、嘘みたいな生い立ちと冒険の話をして、愚痴を言って、笑って、何も考えないまま、記憶が途切れて、そして、そのまま。
そんなことを考えながら生きていたら、母が逝ってしまった。私の怒りを向ける先は、なくなってしまった。
本当に、空っぽ。すっからかん。
あるのは、憤りだけ。誰にも言えないまま残ってしまった、憤りだけ。
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