2022年8月28日。
FC今治ファミリーがひとつになった日。
選手・スタッフ半数以上が新型コロナに感染し、エントリー人数の13名が足りるかどうかギリギリまで分からない状況だった。
当日、ユースの2種登録の選手を2名含めて15名。
「戦力が整わない」「試合は延期にした方がいい」そんな声が飛び交った。
ただ、我々は13名ギリギリでも正々堂々と戦おうと覚悟を決めた。
活動再開の日から、自信があった。
FC今治に所属する選手・スタッフは、J2昇格に必要とされて契約された人たち。
全員が戦力。だから誰が出ても戦える。
俺らが負ける時は、この状況を言い訳にした時だと全員が自らの心に言い聞かせた。
この状況で勝つために自分に何が出来るのか。
いつも通りの準備をしてるだけでいいのか、そのときパッと降ってきたアイディアが、全員の気持ちを鹿児島まで持っていくことだった。
体調不良でしんどい選手もいるのにも関わらず、全員がすぐに協力してくれ、なんとか形にすることができた。
これを形にできたからと言って、勝敗に関わる訳では無い。
ただ、限られたメンバー全員が勝利のために尽くしている中でなにか自分も力になれないかその思いの結果がこれだった。
90分間の死闘。
全員がハードワークして、全スタッフが頭を凝らし、声を枯らし、現地のサポーターたちも声を枯らすまで応援をした。
もちろん画面越しで応援してくれていた人達も。
そして最後のホイッスル。
その瞬間、全員が駆け寄り、涙を流し、抱き合い、叫ぶ。
最高の瞬間だった。
声出し応援のスタジアム、試合を通して人々に感動を与える。
これがフットボールの魅力だと改めて感じた。
終了後すぐピッチで円陣を組み、称えあった。
このチームの一員で居られることをみんなが誇りに思っただろう。
ただ、まだまだ厳しい戦いは続く。
現実は3失点。すぐそこに目を向けた。
まだ何も成し遂げていない。
このメンバーで最後に最高の景色を見る。
その結果に何か一つでも力になれるように。
「準備で勝る。」