[修理] SONY TC-WE475
入荷
ソニーのカセットデッキ、TC-WE475を入荷しました。
オートリバース、ダブルデッキ機です。
TC-RX51同様、マニアはオートリバースもダブルデッキも好まないような印象ですが、修理第二弾ということで、これに挑戦していきたいと思います。
まず外観ですが、傷やくすみもほとんどなくとてもきれいです!あまり使われていないのか…
そしてBデッキのリッドが締まりません。押し込んでも再び開いてしまいます。
テープを入れて再生したところ、AもBも再生できてしまいました。
ははーん、さてはこれ、当たりを引いてしまったな?と思いつつBデッキのリッドについて分析していきます。
修理
Bデッキのリッド修理
まずキャビネットを開けて、メカを裏側から見てみます。
メカの裏側はAもBもゴムベルトが切れいているということはなく、
とても綺麗に見えます。
ひとまずBデッキ、上のフレキと下のヘッド用コネクタを外し、
上2か所、下2か所でフロントパネルに固定されているネジを外します。
…これでメカが下りるかと思ったらリッドがフロントパネルに引っ掛かっています。のでリッドパネルを上にずらして外してからメカを下ろします。
ネジを抜く前にやれば良かったと後悔…。
Bデッキが下りました。さて、リッドが空きっぱなしになる原因を探ります。
上の写真のリッド側の丸い部分、穴が開いていますが本来ここに留め具が付いていて左下の爪に引っ掛かるはずなんですが、それがもげてしまっていました。なお、もげた留め具を筐体内から発見することはできませんでした。
穴の直径は1.5mmでしたのでホームセンターで同程度のサイズの釘を買ってきました。これをリューターでAデッキの留め具と同じ長さに切ります。
(リューターで釘を切ると切粉がめっちゃ出るので屋外でやることを強くおすすめします!机の上がジャリジャリになりました!(涙))
切った釘を穴に圧入します。釘はやや大きめだったのでサイズに合うようドリルで拡張しました。
留め具にグリスを塗って今後開け閉めの際に再び外れてしまわないようにします。また、根本にボンドを注入しておきました。
リッドを閉めてみるとかっちり閉まるようになりました!
ゴムベルトの交換
さて、AもBも再生はできたのですが、巻き戻しをしてみるとなんだか今にも止まりそうです…しばらく観察していると止まってしまいました。
きちんとかかっているように見えたアイドラー用のベルトが劣化して伸び切っていました。
このベルトを交換するにはまずその手前にあるキャプスタン用のベルトを外します。外すには手前のモーターを外す必要があります。表側から2本のネジを緩めると外れます。
アイドラーベルトは交換必須として、キャプスタン用のベルトも予防交換しておきます。
新しいベルトは千石電商にて購入。サイズは以下の通り。
アイドラーベルト 角 φ45×1.2T
キャプスタンベルト 平 65×5
アイドラープーリー、フライホイールにベルトをかけ、モーターを取り付けて終了です。これを2台分やっておきます。
動作確認
A、Bデッキとも問題なく動作するようになりました!
ベルトが変わったため再生速度がおかしくなっています。
再生速度の調整
再生速度の調整はモーター裏の穴に樹脂製ドライバーを突っ込んで…あれ?いくらやっても再生速度が変わりません。
モーター裏に穴が開いているもののここではなく、基板上に再生スピード調整の半固定抵抗があるようです。
半固定抵抗は通常用、ピッチコントロール用があり、
通常用はH(高速)とL(低速)のふたつがあり、基本はLで調整します。
Lで調整し切れない場合はHでおおまかに合わせたのちLで微調整します。
ピッチコントロール用はフロントパネルのピッチコントロールスイッチをオンにして、ツマミを中央に合わせたのち基板上の半固定抵抗を調整します。
聴きなれたカセットテープを使用してもいいですが、自分の耳は信用できないので3kHzの信号を録音したテープを使用し、出力をPCに取り込んでオシロスコープソフトで確認しながら行いました。
アジマス調整
TC-RX51程ではありませんが、A、Bデッキ共に音が締まらない感じだったのでアジマス調整を実施しました。
まず、TC-RX51と違うのが、このネジはトルクスネジです。
そして左が逆方向、右が順方向用のネジとなります。
アジマス調整も聴きなれたテープを使用してもいいのですが、自分の耳が信用できないので、10kHzの信号を録音したテープを再生しPCのオシロスコープで確認しながら行いました。
調整が完了したら、ネジが緩まないようにネジロック剤を塗っておきました。
完走した感想
もっとズタズタに故障してると思ったのですが、TC-RX51と違うところがたくさんあり、かなり勉強になりました。
今の時代、個人でカセットテープを楽しんでいるとダビングすることはほとんどありません(人にテープを渡すことも無いので…)が、 触ってみると面白かったです。