[修理]SONY TC-RX51
入荷
ソニーのカセットデッキ、TC-RX51を入荷しました。
オートリバース機です。
マニアはオートリバース機は敬遠すると聞きますが、私は初めての修理ですのでこれでもよいでしょう。
早速電源を入れてみます。
異音がするわけでもなくすんなりと電源が入りました。
テープを入れて再生ボタンを押すもテープは回らず、ソレノイドの音だけがむなしくガチャガチャ鳴るのみ。
同様に早送り、巻き戻しも動作しません。
修理
ゴムベルトの交換
キャビネットを開けるとメカの様子が見えます。
ゴムベルトが経年劣化で加水分解を起こし、ちぎれてプーリーに張り付いています。
まずはメカを下ろして…
裏側の基板を外すとフライホイールが見えます。
基板側にモーターがありますが、そのプーリーにも劣化したベルトがこびりついています…
フライホイールを抜く時はワッシャを無くさないようにしてください。(各表側1枚、裏側2枚)
また、左右でサイズが違うため目印をつけておくと分かりやすいです。
フライホイールを抜いて爪楊枝、綿棒とパーツクリーナーでひたすらこびりついた古いベルトを剥がしていきます。
清掃が済んだらフライホイールを組み付けて新しいベルトをかけます。
新しいベルトは千石電商にて購入。サイズはφ70×1.6Tでした。
ゴムベルトの代わりに紐を巻いて計測する方法を使いました。
ベルトの掛け方は下の写真のように一旦仮組みしておき、モーター側基板を合わせる時にベルトをかけなおします。
リーフスイッチの清掃
テープが入れられたことを検知するリーフスイッチも接点が劣化していたので清掃します。
まずはリーフスイッチのカバーを外して…
クラフト綿棒の先にパーツクリーナーを含ませてひたすら磨きます。
組付け
下ろしたメカをコネクタの接続間違い、噛み込みに注意しながら元通り組付けします。
動作確認
ここでキャビネットを閉じる前に動作確認を行います。
巻き戻し、早送りは問題なく動作するようになりました。
再生…速度がおかしい上に音がこもっています…。
キャビネットを閉じなくて良かった!
再生速度の調整
再生速度の調整はモーター裏の穴に樹脂製ドライバーを突っ込んで行います。
聴きなれたカセットテープを使用してもいいですが、自分の耳は信用できないので3kHzの信号を録音したテープを使用し、出力をPCに取り込んでオシロスコープソフトで確認しながら行いました。
モーターの調整ネジにはH(高速)とL(低速)のふたつがあり、基本はLで調整します。
Lで調整し切れない場合はHでおおまかに合わせたのちLで微調整します。
ピンチローラーの交換
ピンチローラーが劣化していたため、交換しました。
ピンチローラーのユニットは爪を引きながら引っ張るだけで簡単に外れます。
ピンチローラーユニットから古いピンチローラーを外すには、ユニットを押さえたままピンチローラーを引き抜くだけです。この時シャフトが抜けてくるので無くさないように注意しましょう。
新しいピンチローラーと交換したらメカに取り付けます。
ピンチローラーユニット取り付け軸を清掃し、プラスチックグリスを塗っておきました。
なんか音がモコモコする─アジマス調整
テープの再生テストをするとどうにも締まらない音がします…。
ピンチローラーも新しいものに交換したし、ヘッドも清掃、消磁もした。
やはりアジマスか…
アジマス調整ネジはヘッドの下にあります。
実際には本体に組付けた状態でテープを再生しながら調整しますが、
この写真が見やすいので使いました。
アジマス調整も聴きなれたテープを使用してもいいのですが、自分の耳が信用できないので、10kHzの信号を録音したテープを再生しPCのオシロスコープで確認しながら行いました。
左のネジが順方向再生、右のネジが逆方向再生用です。
調整が完了したら、ネジが緩まないようにネジロック剤を塗っておきましょう。
完走した感想
完走した感想ですが、意外と時間がかかってしまいました。
修理をするのは初めてだったので、こもった音が出た時点で「アジマス調整だけは最後にしておこう…」と思ったのが裏目に出て遠回りしまくってしまいました。
ですが、遠回りしたおかげでいろいろな事を勉強することができたのでいい経験になったと思います。
モード切替動作にソレノイドを使用しているため、「ガチャ!ガチャガチャ!」と大きな音がしますがメカ好きとしてむしろ好印象です。
難点と言えばヘッドホン出力の調整ツマミが無いところでしょうか
…そのままヘッドホンを接続するとかなり大きな音がします。