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第一回福島チャンピオンズリーグ’24ベスト8 いば選手(カビゴン)vsすまいる選手(リザードンex・ピジョットex)

 カバレージシリーズ第三弾!決勝三回戦です、お楽しみください!
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いば選手vsすまいる選手

 決勝ラウンドも2回の試合を経てベスト8が出揃った。

 なんと決勝ラウンド1回戦でシード権を得ていた予選上位8名の内、7名がしっかりと2回戦目を勝ってベスト8に進んでおり、その実力を遺憾なく示している。

 うち1人は全勝で予選を通過した2人目である、いば選手。使用しているデッキのスリーブは、今では毎年プレイヤーの目標の一つとなっているポケモンジャパンチャンピオンシップス、PJCSの2019年大会記念のものであり、豊富な経験を持ち合わせているようだ。

 相対するは予選6位通過のすまいる選手。彼も歴のあるプレイヤーであり、半端な妥協は許さず理論を突き詰めていく、ストイックな実力者だ。

 実力者同士による、注目の対戦をここに記録していこう。

すまいる選手使用デッキ
いば選手使用デッキ

 両選手自身デッキの顔、カビゴンとヒトカゲの対面で試合開始となる。なんと先程のたる選手と共に、予選全勝で勝ち上がったデッキはカビゴンであった。

 通常の対戦ではリザードン側がサイドを6枚取得するのは中々に厳しく、カビゴン側が有利とされるマッチアップであるが、ここは決勝ラウンド。時間切れ時の裁定が予選とは異なり、「残りサイドが2枚以下」であればその結果は有効となる。リザードン側が「サイドを4枚取れるかどうか」が勝敗の分かれ目となるであろう。

先攻1ターン目


すまいる選手

 先攻のすまいる選手はゲームレンジを見定めて、ポッポと共に遠慮なく“縛りの対象“であるロトムVをベンチに送り出し、「そくせきじゅうでん」で手札を補充していく。

後攻1ターン目


いば選手

 対するいば選手はサポート「ペパー」から「ネストボール」と「森の封印石」を準備し、ロトムVと追加のカビゴン、更にすまいる選手よりも先にピジョットをベンチに登場させる。…といっても、こちらはたねポケモンであるピジョットVだ。続いて「おはやし笛」を使用してすまいる選手のデッキの上から5枚のカードを確認するが、ここでは種ポケモンを見つけることはかなわず。「森の封印石」の力の解放はここでは行わずにターンを返す。

先攻2ターン目

 いば選手側の妨害が重なる前にプレッシャーをかけ始めたいすまいる選手は、こちらも「ペパー」。「ワザマシンエヴォリューション」と「ふしぎなアメ」、ポケモン進化の補助アイテムをすまいる選手に与え、その補助を受けてベンチのポッポが最終進化系の大きな姿、ピジョットexへと成長する。ガラル地方でもパルデア地方でもその姿を確認できていないピジョットだが、ポケモンカードの舞台においては最前線で活躍しており、どちらの場にもいる2種類のピジョットが現に存在感を示している。

 すかさずすまいる選手はピジョットの代名詞ともいえる好きなカードを手札に加える能力、「マッハサーチ」でゲームに必要なカードを探し出し、盤面展開を続けていく。手札に加わるカードは…ヒトカゲの成長する姿だ。ロトムも力を合わせて手札を整えていき、次のターンからの攻撃開始が見えてきた。

後攻2ターン目

 いば選手のピジョットVも石に秘められたVstarパワーを解放し、こちらも“マッハサーチ”。すまいる選手の攻勢を抑えるためのカードを加え、仕事を果たしたこちらのピジョットは特性「きえさるつばさ」で山へ帰っていく。続けて放つ一手は「ボスの指令」。ロトムがバトル場に捕らえられ、バトル場のカビゴンが「とおせんぼ」で逃がさず対処を迫る。

ボスの指令

先攻3ターン目

 だがこれはいわゆるジャブの段階。すまいる選手はピジョットのサポートを受けた豊富な手札からこれを落ち着いていなしていく。「ふしぎなアメ」によりアタッカーであるリザードンexが登場し、特性「れんごくしはい」が発動。その雄たけびがリザードン自身とピジョットに炎エネルギーをもたらし、2体のアタッカーが準備される。

 続いて「フトゥー博士のシナリオ」によりロトムVはすまいる選手の手札へ戻り、空になったバトル場へ送り出すのは当然リザードン。放たれた「バーニングダーク」の一撃はカビゴンの耐久力を凌駕するものであり、1枚目のサイドを取得する。しかもここで油断せず、攻撃の前には「ともだちてちょう」によって、次のいば選手の仕掛けに備えてフトゥー博士を山に返しており、抜かりのない構えだ。

後攻3ターン目

 攻撃が始まったため、じっくりしているわけにはいかなくなったいば選手。次のカビゴンが前に出るとともに更なるカビゴンをベンチに追加し、手札に逃げられたロトムに代わるターゲットの誘い出しを狙って「おはやし笛」を吹く。2枚の「おはやし笛」により、ヒトカゲとかがやくリザードンがベンチに登場。…こちらのリザードンも「たねポケモン」だ。本来なら進化ポケモンであるリザードンとピジョットだが、両選手の盤面を合わせてたねポケモンとしてもこの試合に登場する運びとなった。

 サイドを取り合う展開であればワザに必要なエネルギーを減らし、存分に力を振るえたはずの色違いのリザードンだが、カビゴン相手のこのゲームでは効果が薄く、いば選手からすれば“ターゲット”だ。すかさず「カウンターキャッチャー」によって捕縛され、更にサポート「ビワ」によってリソース回復を行える重要カードである「すごいつりざお」が奪われる。そして攻勢に入って役割を終えたすまいる選手のものとは対照的に、いば選手側のロトムVは手札の補充で引き続き活躍し、ターンが再び渡っていく。

先攻4ターン目

 ピジョットの導きにより再び現れたフトゥー博士の手によって、バトル場のかがやくリザードンを退避させ、2体目のカビゴンも悪タイプのリザードンによってKOされる。バトル場に戦えないポケモンを引きずり出すいば選手と、その妨害を対処してアタッカーに入れ替えてサイドを狙うすまいる選手。このゲームの争点がはっきり見えてくる状況となり、一体どちらの意地が勝るのか。

後攻4ターン目

 3体目のカビゴンがバトル場に送り出され、いば選手の4ターン目が開始する。今度のカビゴンはペパーが運んできた「勇気のおまもり」を持っており、HPが200まで上がることでリザードンexの「バーニングダーク」の180ダメージを1度なら受けることが可能だ。

 そして「ネストボール」で捕獲した4体目のカビゴンと共にピカチュウのような怪しい影がベンチに並ぶ。ゴースト・フェアリーの複合タイプを持つばけのかわポケモン、ミミッキュ。特性「しんぴのまもり」によりポケモンexからワザのダメージを受けないため、すまいる選手の場のエネルギーがついているリザードンexもピジョットexもミミッキュには有効打を与えることができない。いば選手側からの狙いとすれば、すまいる選手にポケモンexでないアタッカーの準備、余計なエネルギーを必要とさせて、リソースに揺さぶりをかけていきたいところだ。

先攻5ターン目

 ロトムVが補充し続けたいば選手の手札を好きにはさせまいと、次にすまいる選手のピジョットが連れてきたのはハッコウシティのジムリーダー、「ナンジャモ」。彼女による手札のかき乱しは今後の展開をドラマチックなものにし「バズり」を引き起こすか。リザードンに「バーニングダーク」を指示し、カビゴンにダメージを与えてターンを終える。

後攻5ターン目

 だがこれに対してはサポート「ボタン」が登場。傷ついたカビゴンは手札を経由してすっかり元気になり、ミミッキュがバトル場に立ちはだかる。「まけんきチョッキ」、「勇気のおまもり」を持たせ直してロトムが手札を充電し、いば選手も負けじと受けの構えだ。

先攻6ターン目

 こうなると現状攻撃の通らないすまいる選手は能動的なアクションを起こす必要があるが、

 「マッハサーチ」によって呼ばれた助っ人は…スター団の「ビワ」。今度はこちらの番だ、とばかりにいば選手の手札から「おはやし笛」と「カウンターキャッチャー」をトラッシュさせた上、「ボタン」が控えていることも確認し、攻撃へは焦らずターンを終える。

後攻6〜後攻7ターン目

 いば選手がサポート「シマボシ」によって「おはやし笛」をデッキの上へ返せば/すまいる選手は「ボタン」によるダメージ受け流しの目論見を「ナンジャモ」で阻害し/返しに「野盗3姉妹」が「すごいつりざお」を盗み出す。

 バトル場のミミッキュとリザードンの睨み合いをよそに、いば選手とすまいる選手の空中戦にシフト。いば選手はこの戦いは自分の土俵だ、と「おはやし笛」の音色によってヒトカゲとロトムVをおびき出すことに成功し、「ともだちてちょう」でギンガ団隊長のシマボシとフレア団ボスのフラダリを山に返していく。

先攻8〜後攻8ターン目

 すまいる選手としては、このリソースの削り合いをいつまでも続けていくのは分が悪いため、どこかで切り替え勝利手段である「サイド取得」を目指すほかない。こちらはロケット団のボス、サカキによっていば選手のロトムVをバトル場へ引きずり出し、勝負を仕掛けにいく。

 ここの押し込みが、効いた。

 190のHPを持つため、リザードンの攻撃を何とか体力を10残して耐えたロトムだが/いば選手の手札には「ボタン」がおらず、手札に帰ることも、そしてベンチに下がることもできないようだ。何とかしてターンを稼いでロトムを安全圏まで退避させたいが、現状の手札では「ボスの指令」によってすまいる選手のロトムを引きずり出すことしかできない。

先攻9ターン目

 ロトムV同士の対面、これでターンが帰ってくることがいば選手にとっては理想だが、ピジョットexの「マッハサーチ」がある以上、それはすまいる選手の“手札にも山札にも”解決策が無かった場合に限られる。2体目のテラスタルリザードンが山札から炎エネルギーを呼び込み、ロトムがベンチに下がるためのエネルギーを手に入れて即座に後退。2度目の「バーニングダーク」を受けきることはできず、いば選手のロトムは戦闘不能だ。すまいる選手は残りサイドを2枚とした。

サイド4枚目!

後攻8ターン目

4枚のサイドを取られたため、急いで時間内に山札を削りにいかなければならなくなったいば選手。これ以上の攻撃はさせまいと「ポケギア3.0」から「ボスの指令」に繋げ、再びロトムVを呼び出す。遂にすまいる選手はロトムをバトル場から下げることができず、リザードンでの攻撃ができない。

・・・

 盤面は止まった。ワザの宣言が無くなった今、いば選手の反撃なるか。

 だが両選手の戦い、ポケモン達が並ぶ盤面上では見えない攻防は続いていく。ここまで使わせたエネルギーや、相手のトラッシュに落ちたカードを確認して、いば選手は改めて戦略を練る。

 相手のリソースを削る「ビワ」と「野盗3姉妹」。「シマボシ」「ともだちてちょう」などによる回収があるとはいえ無尽蔵に使えるものではないため、効果的なタイミングを計って使用する必要がある。彼女達によってトラッシュするターゲットであるグッズだが、果たしてすまいる選手の手札と山札、どちらにどれほどのグッズが残っているのか。

 バトル場はカビゴンによってロトムが閉じ込められ攻撃には移れないが、すまいる選手はドローゴーというわけではなく、適度に「マッハサーチ」の使用を挟んでおり、これによって山札から手札へ移動させているカードが確かにある。動きは無くなったように見えても、突然隠し持っていたカードから決定打を撃たれる可能性が残っているとともに、「ビワ」「野盗3姉妹」のパフォーマンスがターンを経るごとに変動していく。

 手札が増えれば「ビワ」による手札攻撃の成功確率は高くなるはずだが、特性を使ってまで手札に加えたカードは果たしてグッズなのか?別の種類のカードを手札に入れてこちらの「ビワ」を無駄撃ちさせようと誘っている可能性もあるのではないか?それとも、「野盗3姉妹」の被害を警戒して山札から手札へ逃がすため本当にグッズを手札に加えたのか?

 「ロストスイーパー」、「なかよしポフィン」、「ふしぎなアメ」…幾度か対象無し、ハズレも挟みながら、いば選手のサポートがすまいる選手のカードを奪っていく。

・・・

 またこの心理戦は何も一方的なものではない。すまいる選手側としても、手札が増えていくことで奇襲されるかもしれない、「ハンドトリマー」の存在は気がかりだ。ターンを重ねていけばそのままでも負けに近づいている状況であり、今の手札を山札へ戻して枚数を“回復できる”「ナンジャモ」の残り枚数も限られていることも相まって、使用するタイミングには細心の注意を払う。盤面上の動きは無くなり、外から見ている分には一見静かになったが、そこでは確かにお互いの思考が交錯していた。

後攻20〜

 すまいる選手の山札も残り20枚は確実に切ったであろうところで、試合もいよいよ大詰め。ここまで手札に来なかったのか、それとも相手の隠し玉による反撃もないと判断したか、イーユイex、パルデア地方で厄災とされるポケモンがいば選手の場に登場し勝負をしかける。ワザ「ねたみこがす」によって相手の山札を上から2枚トラッシュすることができ、「ボタン」でバトル場のカビゴンは席を譲って、人々の妬みを纏った炎がすまいる選手の山札を焼き続けていく。グッズであろうとなかろうと、次々にカードがトラッシュに送られていき、バトル場のロトムがそれでも動かない…正確には「動けない」ことから、もうすまいる選手にこのイーユイを止める手段は無いであろう。

後攻23ターン目

 …だが、それは勝敗とは別である。刻一刻と山札へ仕掛けるクロックはわずかに届かず。4度目のワザ宣言のところで対戦時間終了がジャッジによって告げられ、すまいる選手の山札にはまだカードが1枚、残っていた。

 すまいる選手がサイドを4枚取得していたため、残りサイド枚数による決着判定でゲームセット。


 ポケモン達による盤面での戦いと、プレイヤー同士の静かにぶつかり合った心理戦。

 二つの戦いは熾烈を極めたが、勝負所を嗅ぎ分けて押し込んだすまいる選手がここでの勝負はいば選手を上回り、また一歩頂へ向けて進み出した。


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