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母なる山の頂で、人形達は夢を見る ~AveMujica 3rd Live 『Veritas』 ライブレポート~

またのタイトルを、月に1度ハンドル握るかどうかなレベルのペラペラペーパードライバー引きこもりオタクが推しのライブのために片道2時間かけて山登りすることになった話。

Ave Mujica 3rd Live 『Veritas』お疲れ様でした!!
鉄は熱いうちに打てということで、赴くままに筆を執ります。


イントロ

時は遡り2024年6月、世間では河口湖のモニカとポピパの情報が初出しされ始めたぐらいの頃。

ある日私はフォロワーのPoppin’Partyのオタクにこう言いました。

「河口湖とかいう辺境の地までライブ見に行くの大変やなせいぜい頑張れガッハッハ」


そして迎えたムジカ2nd live 神奈川公演。

呪詛ってのはね、自分に返ってくるんですよ(全ギレ)

やってやろうじゃねぇかよこの野郎💢💢💢💢

東も名も富士急も大体等距離の静岡県民、動きます。
ドライブだよ、祥子。

今回は初の試みとして無線制御のリストバンドライトが導入されるとのことで、演出面に力込めてるんだろうなぁという期待が高まってた。

個人的な思想として光り物はちゃんと色を合わせて揃ってるのが一番良いと思ってるので、そこを演出として勝手に制御してくれるなら最高。
ついでに自分のライトの色も気にしなくていいのでライトのボタンポチポチとか一切せずにただ暴れられるのがめちゃくちゃありがたいな……と始まる前から思ってました。

着いたよ、祥子。

ライブパートの話

Symbol Ⅰ: △

コイツとうとう火ィ吹きやがった!!!!!
Symbolシリーズの一番手。客席にまで届く熱風。イントロから△(Fire)のタイトルを回収する激しい火柱。これまでの"劇場"では不可能だった演出の初出しにオタクのテンションは爆上げ。
1サビ、2サビ、ラスサビと繰り返し火柱が上がる度に沸く会場、本当に申し訳ないけどこれは声出すなって方が無理。

次回4thの武蔵野の森もRauschでFIRE BIRDの火柱演出の実績があるので期待。
というかロゼもロゼでFIRE BIRDはやるだろうし、色々な意味でアツい2日間になりそう。

Symbol Ⅲ:▽、Angles

寸劇明け、ドロリスとオブリビオニスの二人だけが立つステージ。
2ndの名古屋公演でお披露目されたSymbol Ⅲ確定演出。

炎の赤に染めたSymbol Ⅰに倣ってSymbol Ⅲも水の青に染まるのかと思いきや、完全に沈黙するリストバンドライト。
会場内の光は舞台上の二人を照らす照明だけ。

無線制御によってコントロールされ、ひとつの舞台装置と化した我々観客。そんな舞台装置の介在すら不要と言わんばかりの二人きりの世界。
あの瞬間、あの空間に我々は"居なかった"。

暗闇に包まれた客席から、ステージ上の二人を息を呑んで見ることしかできない時間。

"所定の色に光らせる"のではなく"光らせない"演出とする名采配。

公式があまりにも強火すぎる。


堕天

やっぱ現地ならこれを聞いて大暴れしたい。
カバー枠でありながらゴリゴリのアレンジで完全に自分たちのモノにしているこの曲。とにかく楽しい。

オリジナル曲も増えてきてそろそろカバー曲が干され始める頃合い、一回一回が聞き納めの覚悟で現地に臨みたいところ。
今回は流石にまだやってくれるだろうと信じて待機。

MRRのアウトロのドラム掻き鳴らしからそのままノンストップでイントロに突入。前曲の余韻をブッ壊して始まるバカ騒ぎが気持ちよすぎてたまらん。
\シャンシャンシャンシャン ダッダッダッダッ ダダッダーン/
↑この入りだけでもう絶頂モノ。歓喜のあまり叫んだ。

今後オリ曲増えても堕天だけは干さんでくれ~~~!!!!!

Ave Mujica

単品でも十分ブチ上がる曲を連チャンでやるな。死人が出る。
堕天からのAve Mujica、ここが脳汁の違法抽出プラントです。

この曲中だけリストバンドライトが制御されず、ボタン操作で色変えが可能に。舞台装置の自我が解き放たれ、各々の色が会場を彩る。
バンド名を関する一曲だけあって他の曲とは扱いが違うのが良い。

完全に統制された客席の人形たちが"堕天"を経て解放されるのもなかなかに文脈。

Symbol Ⅳ:Earth

今回で初演奏となるSymbolシリーズの4曲目。
黒のバースデイからの連続。母なる大地としての側面をルーツに掲げたこの曲が誕生日を冠する黒バから繋がるのもなかなかよくできたストーリーだなと。
演奏後に対応する寸劇が挟まったSymbolⅠ,Ⅱ、寸劇明け一曲目に演奏されたSymbolⅢと違い、事前にSymbol Ⅳに対応する寸劇→Angles→黒バ→Symbol Ⅳの流れは1stの黒バ→Anglesの流れを想起させる。

いずれも創造誕生をキーワードに持つ曲。このセクションはそういうテーマで区切られたセトリと考えていいと思われる。

Ether

Symbol Ⅳと同様に今回が初演奏。
5か月に及ぶSymbolシリーズの、そして3rd LIVEのトリを飾る曲。
曲前に最後の寸劇も用意され、いよいよ今回のライブも終わりかと一抹の寂しさを感じる瞬間でもありました。

他の曲と比べてアッパーな感じでもなく、駆け抜けたり暴れたりするような曲ではないものの、曲の奥行からくる満足感は十分。
元々がSymbolシリーズという一連の流れの締めを担当する曲だけあってまさしく最後を締めくくるにふさわしい壮大さ。

しっとりとしたアウトロに静寂が訪れる会場が今日というマスカレードの終わりを自覚させ、今宵の人形たちの物語は幕を閉じるのでした。


ちょっとだけ寸劇パートの話

ムジカのライブと言えば寸劇パート、いろいろと考察の種になっていますが自分は現地だとライブ本編の火力に全部記憶持ってかれちゃうのでこれまでも雰囲気でしか理解できてないです。
それでも今回は流石にいろいろと気になったのでちょっと真面目に考えてみようかなと。

Symbol Ⅳの前の寸劇パート

前々から寸劇パートの物語というか、人形たちの劇中のキャラクター性がそれを演じているメンバーとリンクしているのではないかと言われてはいましたが、今回もそこを補強するような話がありましたね。

大地の母性に包まれ、夢を見る人形たち。

  • オブリビオニス

愛し、愛され、慈しみ、慈しまれ。
当たり前だと思っていた温かな居場所。
ピアノの音色。
宝物のような何もかも。
『嗚呼、ずっとここにあったのね……。』
『私、変わらずここに居たのだわ。』

(一部抜粋

全文の文字起こしはここではしませんが、上記の様なキーワードから元々光と音楽に満ちた暮らしをしていたことが想像でき、夢として見たそれらを噛みしめるようなセリフから、本当はそれらが失われているところまで読めます。

初見時にこれオブじゃなくてめちゃくちゃ祥子じゃんとなり、もうそうとしか考えられなくなったので他の4人にも当てはめていきます。

  • アモーリス

大人気の人形劇、劇場は今日も満員御礼
『主役は当然このあたし』
ステージという大地
『ゲストが、世界があたしを待ってる』
『そうだよね、これが現実』

(一部抜粋

現状ムジカで一番情報が少ない女、祐天寺にゃむの演じるアモーリス。
穏やかな暮らしが匂わされたオブリビオニスのパートとは一転、華やかな舞台上の話。

ですが動画投稿者としてインターネット上が主な活動場所となる祐天寺にゃむにとって、実際にステージ上に立つことは基本的に無いはず。
また、夢の中の満員御礼の人形劇に対して「これが現実」と自分に言い聞かせるようなセリフから、元々本当に表舞台に立つ何かをやっていたのではないでしょうか?そしてそれは芽が出ず、その道は絶たれた。
それでもスポットライトを諦めきれなかったにゃむは動画投稿者として活動を始めたのでは?

といったあたりで、祐天寺に対するオタクの妄言はこの辺にしておきましょうか

  • ドロリス

『仮面は僕の一部だった』
君が僕に手を伸ばす。僕の仮面を外してくれる。
『ありがとう、本当の僕を受け入れてくれて』
欺瞞だらけのこの世界で、君と僕とで二人きり。

(一部抜粋

本当の自分を覆い隠す仮面がもはや自分の一部となるほどに、周りを欺いてきた。そんな自分の本当の姿を見て、受け入れてくれる”君”の存在。
文字に起こすとそうでもないですが声色がだいぶキマってました。ゾッとする。

Sumimiの初華として”ひどい顔”になるまで仮面を被り続けた三角初華。
そんな初華にとっての”君”と言えばやはり……。
こちらも現時点でなかなか底が見えないキャラと言われていますが、今回の寸劇が本当に初華の心情を反映したものだとすると今からアニメが恐ろしいですね。

  • ティモリス

私たちの光
全ては皆のおかげ
互いに励まし、高め合った。心の扉を開きあった。
私たちだから見つけられた。


光の奥に、もう一つの扉が
あの扉は開けてはいけない。直感がそう囁く

(一部抜粋

やたらと私"たち"と複数人と共にいることを強調するような喋り。
皆で心の扉を開きあった先に光を見つけた。と、随分と爽やかな情景。
これが真実なのだとしたらそれを青春と呼ぶのでしょう。

メンバー同士で心の扉を開きあったと思っていたティモリス。
ところが、至った光の奥にもう一つ。

開けてはいけない心の扉はメンバーの秘め事か?
そしてそれに気づいていながらも触れることを避けたような描写が不穏な空気をその場に残す。

立希に向けた「自分のバンドのことで悩めるのが、少し羨ましくもあります。」に代表されるように、30のバンドを掛け持ちしておきながらおそらくそのいずれにも深入りせず、本当の仲間を見つけられていなかった海鈴。
そうなるに至った経緯の匂わせとかも含まれているんだろうか。

  • モーティス

大好きな人形遊び、毎日一緒、ずっと一緒
大好きな人形の素敵な歌声。人形も私の歌声を褒めてくれる。

あなたに合えたから、私がいるの。
出会えなけえれば、私はどこにもいなかった。
『楽しいね』「嬉しいね」
空っぽの大きな家の中

(一部抜粋

これまた異質、寸劇中に人形が喋った。
大好きな人形とおしゃべりをするモーティス。
ずっと一緒で、あなたと出会えたから自分がいると言ってのけるほどの存在。

空っぽの大きな家は十中八九若葉邸を指しているものと考えていいでしょう。両親ともに人気の芸能人ということで、あまり家に帰ってこないネグレクト状態だった可能性すら見えてる。
睦がああも無口なのは家にいても話し相手がいなかったから……とかは流石に考え過ぎか。

難しいのはここでいう「人形」が何を指すかによって解釈が分かれる点で、単にネグレクト状態で本当に人形遊びぐらいしかすることがなかったのか、あるいは特定個人をぼかすための台本上の三人称なのか。
仮に後者だとして、その特定個人に該当しうるのは当然豊川祥子になるわけで、睦にとって半身のような幼馴染とまで言われている祥子なら「あなたに合えたから、私がいる」のセリフにも説得力が生まれてくるのではないでしょうか。
こちらもアニメ迷子の登場回数に反して何を考えているのか分かりづらいキャラなので何とも言えませんが……。

↑の話から、ここでドロリスたち人形の見た夢は荒唐無稽なファンタジーではなく、かつて自分が失ったもの。憧れとして焦がれたもの。自分にとって都合のいい救いなのだということがぼんやりと見えてくる気がします。
こじつけでも言いがかりでも幻覚でも、好き勝手言えるのはアニメ本編でちゃんとした答え合わせがされるまでが制限時間なので今のうちに楽しんでおきたいと思います。

Eathr:真実の光

Symbol Ⅳで見せられた夢から覚め、未だ光の無い世界で人形たちは立ち尽くす。

『泣いても、藻掻いても、希っても、私たちに光は訪れない!』


全てに絶望したその瞬間、弱いながらも確かな光が世界に燈る。


それは完全なる人形たちの世界の完成。

"苦難と絶望の果て"に、人形たちは本当の光を見つけることができたのでした。

そして完成された世界の中で、人形たちは哂う。










『さぁ、君もおいでよ』








総括と次回の話

1stで旧い世界を”破壊”し、2ndで”光を探して”旅立った人形達の物語。
その第3章は、”真実”の光を見つけ新たな世界の完成という形で幕を下ろしました。

次回、4thライブのタイトルは『Adventus』
意味は降臨、到来
今回、光を見つけたことで完成した世界に、何かが訪れるのでしょうか?
それは、人形たちをさらに上から見ている神様のような何かだったり、今回の最後で人形劇に招待された我々観客のことかもしれない、あるいは……🌹

今回、"世界の完成"という点を以て一区切りとなってもおかしくないような終わり方だったのでもしかしたら次回以降大きく変化があるかもしれません。会場もこれまでとは全然違うからね。

なんにせよもう既に12月を待ち遠しく思います。




それでは皆様、次回のマスカレードでまたお会いいたしましょう。


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