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マーケティング目線でブランドと組織に向き合う -COHINAに転職した2020年振り返り-
こんにちは、155cm以下の小柄女性に向けたファッションブランド「COHINA」でマーケティングをやっています、櫻井です。
2020年は自身3度目の転職をしたのですが、これまでのキャリアでの様々な学びが活きたなと思う場面が多かったので、"ブランド自体"というよりは、"1人のマーケター、マネジメント"として、何を考え、何に注力したかを、時系列で振り返ろうと思います。
決して斬新な発想や施策をしてきたというわけではないですが、理想と現実の間で、清濁併せ呑みながら前に進めるということがスタートアップとして何よりも重要だと思っているので、かつて苦しんでいた自分のような方の一助になれば...という想いで書いています。
【4月後半〜5月】指標の持ち方で動きが変わる
■主に注力したこと
①COHINAの現状理解ができるデータを整え、注力指標を決める
②自分でケツを持って、HOWをやりきる
COHINA(newn社)には5月に入社したのですが、4月後半の約2週間あった前職有給消化期間(≒COHINA業務委託期間)に①を進め、今後動いていくための下地をまずつくっていきました。
①COHINAの現状理解ができるデータを整え、注力指標を決める
・新規、ロイヤル 、一般、離反の4セグメントに分ける。加えて、継続率の分岐点であろうポイントを起点に各セグメントを2分割し、合計8セグメントで理解
・継続率の分岐点となっているであろうポイントおよび新規のお客さま数の指標を重視
その時点では新規・継続のざっくりした2つのセグメントでしか購入データを見れていなかったので、「誰が、いつ、どのくらい購入してくれているのか?」をまず理解せねばとセグメントの分解をしました。
加えて、通常のクオーターの概念(1-3月など)ではなく、実売のシーズンに即した1シーズン(春なら2-4月)の概念で連動させることで、解像度が上がって見えるようになりました。
元スマートニュースCMOの西口一希さんが提唱している9SEGSを参考にしつつ、購入継続意向・未購入は含まず、一旦既存ユーザーを分解することが先決と考え、新規を含めた既存ユーザーの分解を厚くしました。
また、COHINAではそれまで売上指標や購入UUは追っていましたが、そこは大前提として、継続率の分岐点となっているであろうポイントおよび新規のお客さま数を最上に掲げることにしました。
売上への影響はもちろんですが、未来につながる指標を見ていくことで、漠然とした不安が薄まり、"今何が起きているのか"に加えて、少し先の未来が想像できるようになりました。なので、その指標にフォーカスし、効果的HOWを探す旅に出ると決めました。
②自分でケツを持って、HOWをやりきる
・HOWごとに定例MTGを各担当者たちと入れ、チームとしての連帯感醸成
・宿題&即ジャッジで手数を増やす(当然自分もやる)
そして、正式入社後(リモートだったけど...)方針や指標をシェア。宣言したからには、言い出しっぺが手を動かすことがとにかく重要だと思っているのと、チームとしての連帯感をつくっていくために、HOWごとに定例MTGを入れました。(最初は8〜10個くらいあった記憶。うざいやつだと思われるだろうなと思ったけど、開き直ってる部分もあった。)
さらに、MTGによっては、毎回宿題を決め、担当者みんなに案出しをしてもらいつつ、1回1回何かしらをジャッジしてすぐ行動に移すというのを徹底していきました。(当然、自分自身も同じ宿題をやってくる)
これは自分自身がサイバーエージェントにいたときの経験からで、初期段階やまだ意思疎通が円滑にとれていない状態では、この方式で一定無理やりにでも進めていくと、慣性の法則が働きだし、あとは自然と転がっていくことを体感していたのが大きいです。
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【6月〜11月】 続ける大切さ
■主に注力したこと
①コミュニケーションルーティンを整え、余白が生まれる環境をつくる
②「小柄女性向けファッションブランド」というカテゴリ認知の種をまく
①コミュニケーションルーティンを整え、余白が生まれる環境をつくる
・販売曜日を決める
・定期的なコミュニケーションの回数、時間を決める
・キャンペーン、特集の型をつくり、量と質を確保する
COHINAでは、毎週たくさんの新作が発売されていくのですが、販売曜日が決まっておらず、いつ何が販売されるかの情報を都度とりにいかなくてはならない状態でした。また、コミュニケーションのタイミングも決まっていないため、いつCOHINAのサイトやSNSを見れば、情報に出会えるかが一定運ゲーになってしまっている部分がありました。
そこで、もともと設定されていた日曜日に行う"来週の新作発表"はそのままに販売曜日を「月曜、水曜、金曜」に決めました。また、前週金曜の夜遅くに"来週販売アイテムのチラ見せ"を新たに設定し、当日販売時刻まで見れなかった商品ページも前日18時から見られるように改修しました。
①アイテムチラ見せ(金曜日22時)
⇒期待値醸成
②来週発売商品の一覧(日曜日18時)
⇒アイテム認知
③商品ページ (販売日前日18時)
⇒アイテムへの興味、理解を深めてもらう
④当日のリマインド(販売日18時)
⇒買い逃し防止
常にこのループを繰り返すことで、お客さまの生活の一部として習慣になることを目指していて、実際に金曜日にチラ見せをすると「#毎週金曜ざわつくコヒナー」など、毎週インスタストーリーで反応してくださるお客さまもいました。
そして、ルーティンを整えた一番の理由は、自分たちを縛ることではなく、余白をつくって新しい試みをするためです。ジョブズがずっと同じ服を着続けていたり、イチローが毎朝カレーを食べていたように(ガセ説あり...)、他のことに頭を向けるためには一定考えなくても良い、身体が動く状態をつくるのが大切だと思っています。なので、ルーティンを細かく決めることで、実は細かいブラッシュアップや新しいチャレンジにみんなが時間を使えるように一定なったと思っています。
上記のルーティンに加えて、特集・キャンペーンに関しても型を一定つくることで、構成に悩みすぎず、一定の量と質は確保できるようになった実感があります。ただ、ここはまだ改善の余地も大きく、来年も引き続きアップデートしていきたいと思っています。
②「小柄女性向けファッションブランド」というカテゴリ認知の種をまく
・1対1の関係性でないメディアで、ターゲット以外にもリーチさせる
└TGC(東京ガールズコレクション)出展
└シーズンコレクション開催(高橋愛さんなど著名モデルの方を起用)
└地方でのTVCM出稿
はじめにも記載したとおり、COHINAは155cm以下の女性に向けたブランドです。逆に言うと、156cm以上の方はターゲットでないということを暗に表明していることにもなります。
・自分は156cm以上だけど、155cm以下の仲良しの友だちがいる
・購入の承認決定者は必ずしもターゲットの方ではない(旦那さん、お母さんなどが実際お金は出すというパターンがある)
・COHINAを取り上げてくださる可能性のあるテレビ、雑誌、スタイリストの方々
短期的な効率の良さということだけを考えると、極論ターゲットだけに当て続けたほうがいいよねとなりますが、上記の要素を勘案すると1対1の関係性(≒デジマなど)ではないメディアでターゲット外にもリーチして、そもそも「小柄女性向けブランド」というものがあるというカテゴリ認知をつくることが、ひいてはブランド認知に影響していくと個人的には考えています。
結果、実際に雑誌・スタイリストの方へのリースは増えてきたねという実感が社内にもあり、継続していくのが大切だなーと感じています。
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【12月】 顧客理解は時間の使い方から変える
■主に注力したこと
①クリエイティブルールの策定
②ユーザーインタビューを通したWHO、WHATの磨き込み
11月までしっかり成長してきた一方で、さらなる飛躍のためにはブランドとしての軸を改めて磨き込んで、固めないといけないなと考えています。
①クリエイティブルールの策定
12月にCOHINA初!のデザイナーさんが入社してくれたため、理想と現状の課題感を話しながら、現在進行系で一緒につくっていっています。
COHINA(特にインスタ)は写真を含めたクリエイティブトンマナをあわせたほうがいいというのを面接とかでもよく言われるんですが、個人的には一定そうだけど、一定違うと思っていて。
通常のファッションブランドは身長による制限なく、ブランドのトンマナ・服のテイストでお客さまに選んでもらうことが多いですが、COHINAはまず身長で絞っているため、その中からテイストで絞ると獲得できるパイがすごく小さくなってしまいます。なので、基調のフォント・カラーなど、一定統一する部分はありながらも、色んな引き出しを見せていくことが必要だと考えています。
なので、今は固定するものと変化をつけるものをぐるぐる考えています。
②ユーザーインタビューを通したWHO、WHATの磨き込み
「想像でお客さまのイメージをつくりだしたら終わり」ってばっちゃが言ってた。
— 櫻井啓之 / COHINA (@h1joynk1s) December 17, 2020
1末までに、そこに100時間かける。
上記のようにTwitterでも唐突な100時間宣言をしているんですが、直近は自分の時間を「WHO、WHAT」に7割使っていて、ほぼ毎日お客さまに自分自身でインタビューしています。
「現状理解」「課題把握」「受容価値」「生活変化」の観点から、"なぜ?"と答えを求めるのではなく、実際の行動と個別のシーンの感情がどのように起こったのか、変化したかに着目することで仮説出しをし、ゼロベースで考え直しています。それに基づいて各媒体、各ファネルごとのコミュニケーションをチューニングする準備を絶賛進めています。
総じての雑感
・色々変えていく部分はあったのですが、様々な要因があってその状態になっているという前提のもと、訳知り顔で「べき論」だけを語るようなやつにだけはなりたくないと常々思っているし、これまで積み上げてきたことへのリスペクトを持ってやってきました。それでも、リモート下にいきなり来たおじさんが言うことに不平不満を言うのではなく、まず信じてくれたディレクターの田中さんをはじめとしたCOHINAメンバーたちの度量はすごいなと心から思うし、本当に感謝しています。
・まだまだやりたいけどできていないことが本当にたくさんあるし、できるだろうことをできるようにするのではなくて、できないはずのことをできるレベルに自分自身が成長しなければならない。現状をゼロベースで考え直すスパンをもっと短く持たないといけないと強く感じています。
・一方で、特に12月はたくさんのお客さまの話を伺っていて、「姿見を見たときに人生で一番スタイルがよく見えた」「自分にあったサイズの服が着れるなんて思ったことなかった」という声や、「自信が持てるようになった」「自分に興味を持てるようになり、色んなことに気を使うようになった」という声を聞くと、単なるファッションの領域を超えて、お客さまの生活まで変えるきっかけを提供できているなと強く感じているので、今後「COHINA」というブランドはより大きな価値を絶対に提供できると確信しています。
2021年
スタートアップである以上、毎年が勝負の年であることは間違いないですが、特に2021年はそうだろうという予感をヒリヒリ感じています。
ただ、やりたいことには全然足りていない状態で、こころ強い仲間を募集しています。COHINAの想いに少しでも共感、興味を持ってくださる方がいらっしゃいましたら、是非以下のフォームからご応募お待ちしています。
2021年もがんばるぞ!
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2021年こそは... noteもTwitterもがんばろうと思うので、もし少しでも興味を持っていただいたら、いいね・フォローをいただけると嬉しいです!
やる気がでます!
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