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~シン・ドグラ・マグラ!?読者の感覚を壊します~【短編小説】二重の極み


…………ヴゥゥ――――――ンンン――――――ンンンん………………。
「うぅ・・頭痛が痛い。」
目が覚めると、私は四方が壁に囲まれた不思議な場所に居た。
「どこだ、ここは?」
少しだけパニックになる私。
記憶をたどると、私はさっきまで北海道の有名な牧場で乗馬をしていたはずだ。
それが熊撃ちか何かだろうか、突然の銃声に驚き馬から落馬してしまった。

さすがに、この牧場は猟銃の射程距離に入ってはいないだろうが、耳慣れない不穏な音に身体が反応してしまったのだ。

しかし、よく考えると今は冬だ。熊は冬眠しているのではないか?
そう考えると誰かが犯罪を犯した?

・・・

いや、私が狙われている!!

四方が壁に囲まれているこの場所に私が居るということは、誰かに連れてこられた。そういうことではないのか!?
合点がいった。

思えば、凡人の私が日本最高峰の大学を受験するなどと周りに宣言したのは高校に入ってすぐの頃だ。家族からも、やれ役不足だ、やれ破天荒だ、やれ敷居が高いなどと失笑された。

そんな反骨心から私は暇の合間も惜しんで猛勉強してきた。

犯人

もしかしたら、それが中学校からのライバルであるアイツの琴線に触れたのかもしれない。凡人の私が期末試験の順位でアイツに圧倒的な差をつけたのだから。三年の進級先にアイツは普通進学コース、私は特進コースに分かれた時にアイツがとても悔しがっていたのを憶えている。

さらに努力を重ね、私は日本最高峰の大学を受験できるくらいの成績になった。そうして実際に受験することになった。

成績だけではない。私は受験の準備についても抜け目がない。
ジンクスを信じ、元旦の朝に必勝祈願。
受験する文学部の会場にも一番最初に行く。
そのために会場に一番近いホテルを事前予約したのだ。
乗馬にきたのも「勝ち馬に乗る」を意識してのものだ。
もちろん、あとで後悔したくないからというのも、当然ある。

ちなみに合格発表は従来から大学の敷地内に合格者の受験番号を掲示する方式になっている。残念ながら郵送やインターネットでの連絡は行っていない。むしろ私はそれがいい。落ちて涙が落ちる人を見ながら味わう合格が楽しみだ。実際に入学できるかはまだ未定だが・・・

もしかしたらアイツは四方が壁に囲まれたこの場所に私を閉じ込めておき、受験させないようにしているのではないか?
受験においては、いくら身動きが取れなくて会場に行けなかったとしても、他責の事情など私に瑕疵かしがなくても再受験が認められない可能性がある。そんな可笑おかしな話があるか!なんと姑息な手を・・・確信犯だな・・・

もしくは凍死させようとしているかもしれない。アイツが私の家からの「訃報のお知らせ」を楽しみに待っていると考えると腹が立つ。

・・・

辺りが暗くなって、気温も下がりだし私は死の危険を感じ始めた。
ふと、雪が落ちて来た。
私は、上を見上げた。
そこは天井がなく、空が見えていた。
そして、夜空には満天の星空が広がっていた。
どこからか降って来た雪。
もしかしてこれが名残り雪なごりゆきか。降る時を知っているな。
もう一度見上げた空は星なのか雪なのか不思議なピンドットの景色だった。

それを見た私は、アイツに煮え湯を飲まされてなるものか!絶対希望はある!私の夢を紙切れのようにシュレッダーで粉砕させてはならない!そういう思いが、闘志がみなぎって来た。

日本最高峰の大学に合格し、花の大学生活を謳歌おうかするのだ!
学校へ登校する時に、いつもの電車に乗車する。その車両には気になるヒロインがいて、ふとしたきっかけで告白。すると「私も見てました。」そんな出会い。
そんなハッピーキャンパスライフ。

そして大学を卒業し、アメリカへ渡米し文学者の道へ。
「海外から見た日本文学」をテーマにノーベル賞を狙う。
「日の名残り」の再来だ。
その横には当然ヒロインが。
そんなハッピーワイフ、ハッピーライフ。

そのためには何としてもここから脱出しなければならない!
そのためには私を閉じ込めるこの壁を破壊しなければならない!

破壊

ふと、私は少年ジャンプで連載されていた漫画「るろうに剣心」を思い出した。剣心の仲間の相楽左之助の使う必殺技「二重の極み」。
この技は、ただのパンチのようだが壁を破壊するほどのもの凄い威力を持つ。

私は壁に向かって、渾身こんしんの力を振り絞り「二重の極み」を繰り出した。

・・・

果たして、私は壁を破壊できたのだろうか。

・・・

以降、割愛。

(おしまい)




※以下、参考情報

















【メッセージ】
最後までお読みいただき感謝いたします。

拙い文章ですが、ロジカルな文章よりも感情を揺さぶるような文章を書きたいと思っています。
これからも、是非ともよろしくお願いいたします。
余韻のために最後は1ページ程度の空白を置いています。何か感じていただければと。
今日は楽しかった、悲しかった、悔しかった、嬉しかったなど、そういう感情が動く体験は、
記憶され、そして未来の判断になんらかの影響を与えると思います。そうだといいな。

【プロフィール】
2児の父です。 駄文・乱文ですみませんが、普通の人生を記していきます。コッソリと・・・ 
凡人なので、フォロバ100です。人としては、フォローされるよりフォローできる人間でありたい。 
頑張ってスキ1000回目指しますので、是非ともスキしてみてください。
ちなみに自己紹介にスキはフォローOKと受け止めます。 
あと、noteにも感謝です。
見出しの写真やイラストはnoteユーザー様のを使わせて頂いています。こちらも感謝いたします。



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