呪い返し、成功なんです？
前日、TLがとある増田で大荒れに荒れた。
「二次創作が嫌いだ」訴えはもっともだしそういう作家もいるものだ。
「どんどんやって」「二次創作されるのうれしいです」などとと声を上げた作家さん方もいるが、全体を見れば、「自分は嬉しいがそういう人ばかりではない」「正直なところ自分も嫌だと思う一人だ」「許容するが不可視化を」「黙認」「話題に触れず沈黙」様々だったと思う。
二次創作をしている身としては、原作者の許容・黙認はすなわち「好きとイコールではない」と常々思っている。
でも実際話題に上がってTLに流されるのは、「どんどんやってほしい」「うれしい」と声を上げた作家さんたちのツイートばかり。そしてそれに乗っかるように、私のジャンル許されてる！！と沸き上がる二次創作者たち。
だめだろ、全然ダメだろ、なんでお前らが沸き上がっちゃってんの？？
好きキャラアイコンアニメアイコン自作他作公式非公式無断転載問わず、そんなアイコン使ってたり、全く関係ないアイコンとはいえ堂々と二次創作してる奴らが、
二次創作を許容されたことに沸き上がって歓喜していい話題じゃないだろ！！？？
（というかそもそも、この話題を二次創作者が議論するな）
どうしたんだおまえら？いつもの忍びましょう精神どこ行ったんだ？？
確かに増田の言葉は良くなかった。自分の「嫌い」を不特定多数の人間へ「呪い」と称して振りまいてしまった。人を呪わば穴二つ。本人なりの覚悟はあったと思う。でも、がんじがらめの現状に我慢がならなかったんだろう。知らんけど。
しまいには、「華麗に呪詛返しが決められている」などとうまいこと言ったつもりの二次創作者たち。
ねぇ知ってる？呪詛返しって、立派な呪いなんだよ？
呪詛返しとは本来、掛けられた呪いの本質を見極め、紐解き、上乗せし、より強力な呪いとして術者に返すものである。（術者が自分への呪いを受け付けないよう回避している場合もあるので、必ずしも本人にヒットするとは限らない）
呪いを紐解きもせずいたずらに返せば、それはより不特定多数に拡散、さらに悲惨なことになる。
素人が絶対に手を出してはいけないのが呪い返しの呪法なのだ。
令和の呪詛返しだ！などと喜んでいる二次創作者たち。本当に成功したと思っているなら勘違いも甚だしいと私は思うぞ。
そもそも、二次創作している分際が、なぜ作家たちと同じ舞台に上がってきてしまったんだ。Twitter本当にそういうところだぞ。
増田の「呪い」に対して、「あなたの作家も二次創作が嫌いかもよ」、その一点だけに呪いが返されている。その前後の増田の想いも背景も丸無視だ。
僕は容認します。二次創作嬉しいです。
容認せざるを得ない空気、嫌だやめてくれと言えない空気、沈黙。
二次創作をしてほしくない作家が、同じくやめてほしいと声を上げる場を奪ってしまったように思える。
全面的に増田が悪いとはいえ、これはとんだ呪い返しである。
そもそも、増田の呪いは不特定多数にばら撒かれたわけではない。これはすべての二次創作者にばらまかれた呪いである。だってこの増田、最初から最後まで「魂込めて作り上げた作品が二次創作されるのが大嫌いだ、我慢ならない」って言ってるじゃないか。
この増田にとって二次創作は、「ファンです！と言いながら、自分の子供を手垢で無遠慮にいじくりまわしてぐちゃぐちゃにしていくおぞましいもの」でしかないんだよ。
呪詛返しは全く成功なんてしていない。ただ悪戯に、別の呪いを広めただけだ。（こんなこと言ってたら、匿名の増田に肩入れするのか？とか言われそうだが、肩入れも何も、私自身は二次創作をしている身だから、作者の方針に従う、以外の言葉は特にない。正直な話、呪詛返しってうまいこと言ったったわ～！っていう思考の持ち主と、オレのジャンル許されてる～！って声高々にTwitterで騒いだ二次創作者が個人的に嫌いだから吐き出してるだけだ）
自分のしてる二次創作の作者が寛容だったらうれしい。私だって、大好きな作家に「どんどんやってください、嬉しです」なんて言われたら思わず小躍りして、ファンをしつつもことさらに二次創作に励むかもしれない。絶対作者に見られたくはないけど…。
呪いという言葉が悪かったのは誰でも容易に感じ取ったこと。ならばそこを咎めたうえで、「自分の作品の二次創作を許しますが、世の中にはそうじゃない方もいる事を知ってください」と、多少は説教じみてもそこまで言うべきだったのではないかと思います。言ってくださった先生ももちろんいたので、声を上げられない作家さんたちが多少は救われるとよいとは思います。
「どんどんやって、大歓迎だよ！」な先生たち。
もちろんご存じとは思いますが、先生たちと違って二次創作が嫌いな作家だっているのですよね。これはもう、言えばいい悪いの問題じゃないと思うんです。
実際言えない現状で気軽に言えだなんて、そんなこと言われたって日本人はできやしない。できる人ばっかりじゃない。
（それ以前に、作家側からすれば、仕事や収入面での問題とかもあるんだろうけど…。作家が二次を禁止すれば、まっとうなファンはそれに従ってやめるし作家の方針を大事にする。でも、できないならファンをやめるなんて心無い奴だって中には絶対いるだろう。その作家が違う作品を発表する度に無駄に騒いで注意喚起起こす古参気取りだって出るだろう。だってTwitterそういうとこでしょ？？そもそも二次創作禁止でガイドラインも設けて…なんてしてたら金もかかるし取り締まるための監視も必要になるかもしれない。実際行ってる企業はあるけど、そこそこ売れてるはもちろん、無名の作家にまで、一人一人に合わせていちいちそういうことしてくれる？会社全体じゃなく、個人としてガイドライン作ってくれる？ガイドラインがあれば二次創作側もありがたいに越したことはないけど…。厳しく禁止にすれば自称ファンの○○警察気取りは二次創作を勝手に報告するだろう。それをいちいちチェックしなければならない。そんな作家なんて編集からしたらめんどくさいの極みじゃない？心から、面倒じゃないよって言ってくれるの？編集側は一体どこまで手放しで守ってくれるの…？次もちゃんとお仕事くれる？作家が個人でやれよってなったとして、そんなにメンタル強強な作家ばかりだと思う？？？言えない結果の増田でしょこれ。許せることじゃないけど、世界を呪いたいほど憎くなっちゃう人だって出ちゃうでしょ。でてるんだわ…）
静かにひっそりと仲間内だけで楽しんでいたい、ひたすら忍んでいたい、絶対に作家や公式に知られたくもない二次創作者だっていることを忘れないでください。人の土俵で畑を作っておいて、何を言っているんだ？という話ではありますが…。
最初に呪詛返しだなんて得意げに言った奴。ツイートがバズってさぞ気持ちよかっただろうが、呪いがただ拡散しているだけだというこことに気付くべきだ。何一つうまいこと言えてないよ。呪詛返しの意味をわかっていやしない。
呪詛返しは、立派な呪いだぞ。解除できないなら意味なんてない。
二次創作者たちも、いたずらに沸いてきて、呪いにかかる増田の一文と、それを否定し許容する寛容さを見せた作家による呪詛返しだけを拾っているせいで、二次創作を知らない、関わりたくもないと思っているかもしれない、そんな一般の目にさらされるところへ炙りだされてることに気付いてくれ。
増田の言葉が悪いのもわかる。匿名で呪いだなんて最悪にもほどがある。「匿名でこんなことするから、二次嫌ですって言いたい作家がさらに言えない空気になってるだろ！」って、まさにその通りなんだけれど、それを言っていいのは少なくとも二次創作してるおまえらじゃないから、得意気に議論かましてる場合じゃないよ。トレンドに「二次創作」って上がった時、ﾋｴ！ってならなかったの？私はなった。怖かった。議論したいならまずはその、公式からのアイコン、二次創作アイコン、無断転載アイコン、全部引っ込めてからやろうな。
付け加えて言うなれば、私はこの呪いに関しては全くみじんも傷つけられていないし、むしろこんな言葉で二次創作者を傷つけられるとも思っていない。もしこの言葉で傷ついたなどと思っている二次創作者がいるのならば、厳しいことを言うようだが、それはもう二次創作をすることに向いていないと思う。
だってこれ、我々の初期装備ですよね？
二次創作を始める、やっている者にとって「作者は二次創作嫌いかも」は常に頭の片隅に置いておかなくてはならないもので、作者が「好きです」ってはっきり言ってくれたことで初めて外れることがあるもので、ジャンルが変わればまた新たに装備し直さなくてはならない必須アイテムなのだ。
この増田に腹が立ったというのならば、むしろ「我々の初期装備を思い出させてくれてありがとう」と言ってやればよかったんだ。それこそ増田には予期せぬクリティカルヒットだったと思う。
そして、「どんなものでもうれしいです、どんどん送ってきてください」と明確に発言されている作家さんたち以外の許容や黙認は、必ずしも「二次創作が好き」とは限らない。許容されたやったー！などと声を上げて何でもかんでも垂れ流していいものではないんだ。言葉のその先を想像してくれ。あらゆるパターンがあることを。妄想は得意だろう？
二次創作が文化の一つとはいえ、二次創作者である我々がはき違えてはいけない問題、上がってはいけない舞台ってあるんだよ。
人件費やもろもろの問題を考えるといますぐとはいかないのだろうけれど、許容も拒否も作家が自由に選べて楽しく創作できる、そんな理想の環境がいつかできるとよいですね。