29枚目「 悪夢でも会えるなら 」
熱を帯びた言葉が空気を震わせる
想いを纏い宙を舞う
それは着地点を見失い
違う誰かの鼓膜に届く
熱は放散され
空気は違う波紋で打ち消される
想いは何処に行ったのか
堕ちたのか消えたのか無くなったのか
それとも元々なかったのか
虚しい雑踏に何を思えばいいのかも忘れた
過去に囚われるだけの泥人形
悪夢で君と会って思いを伝えられれば
どれほどいいだろう
愛なんてなかったと
そう思えたらどれだけ楽だろう
届かない言葉に意味はなく
自分の心を欺瞞で満たす
麻痺した心で
一日一日を生き延びてしまう
泥人形は悪夢のために
明日を請う