停電

突然消えた
なんの前触れもなく、消えた
ここからっていうところで画面が、消えた
なんでこの人たちがつかまるのって言おうとしたら、消えた


ふと考えた
きっと
震災が起きた時
大切な人がいなくなる時って
こんな感じなのだろうか

最近は当たり前を信じられない
何のためにこの言葉はあるのだろう
“当たり前にある物だと思うな”
よく上の立場の人達がいう所を目にするが
そんな言い回しをするならば
最初から当たり前なんて言葉
無くていいじゃないか
“ある物を大切にしろ”
でいいじゃないか

当たり前
なんて言葉を作るから
いざ無くなった時に
とてつもなく悲しくなるんだ

昔の人達は
飄々としていて
単純に美しいものをつくり
時にそれが
現代にとって
残酷なものに変わる

言葉には数が多すぎる

1人の人間が隅から隅まで理解するには
与えられた時間が短すぎる


電気がついた



また当たり前じゃなかったことが
当たり前になっていく