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New Album「Synthesizer & Drums」収録曲解説

はじめに

「Synthesizer & Drums」全Track解説を書きました。いろいろ書いてますが、言いたいのは、全ての曲はKen Ishiiへのオマージュで制作しているということです。

(リリース情報)
▼ Synthesizer & Drums

米国 Ingrown RecordsのBandcampから2022年4月20日にリリースしました。
記事はリンクを聴きながらでもどうぞ。↓

Synthesizer & Drums - Gyazai Gyozo
尚、今回はカセットテープも限定で制作しました!
ブルーとピンクの両面カラーがかわいい!

作曲背景

The Draft of Synthesizer & Drums.

今回のアルバムは全てGarage Bandで制作しました。昨年からGarage Bandを始めたので、それを勉強しながら作った初アルバムになります。

▶︎ Synthesizer
今回は、シンセでしか出せない音、その鳴る音そのものが=テクノなんじゃないかという考察のもと制作しました。
例えば、Westbamの自伝「夜の力」に次のような文章が出てきます。
「…イギリスのシンセポップは…最初にギターで作曲してそれをエレクトロニクス用にアレンジするだけだ…クラフトワークやDAFは彼らとは別世界にいた。コンセプトが完全に先をいっていた。DAFに関して言えば、従来の音作りなんてまったく無視していた。… 数少ない音数が少しずつ上がったり下がったりするだけの、ひとつのシーケンスの変化だけで曲が成り立っていた。シーケンスの転調もしくはスネア・ドラムのビートのアクセントによるヴァリエーションがあるだけだった。」
そういうことです。

▶︎ Drums
そして、Garage Band特有のドラム自動演奏が新鮮だったので、今回は、シンセにそれを組みあわせてみました。ただ、GarageBandの自動演奏では表現したいBouncyなリズムにならないので、そこは打ち込みで生ドラムを入れました。

808などのエレクトリックドラムと、生ドラムの音を組み合わせてリズムを作る、ハイブリッドドラムの考え方は、ハードで作るテクノでも、生演奏のバンドでもない中間地点にあるのかもしれません。

今回、僕は、テクノの脳でリズムを作りつつ、音はGarage BandのDTMのアプローチで、遊びながら選んでいくという過程をたどったので、結果的にそうなったんじゃないかと思います。

ソフトウエアで楽しい音を組み合わせて、音楽をつくる。それがDTMの音楽の特徴なのかもしれません。諭吉佳作/men は最高です。

生バンドで、ハイブリッドドラムをやっている例はあるでしょうか、サカナクション、Chemical Brothers?、バンドでそれをやっているのは、実はYMOかもしれません。きっと頭の中でバンド形式で作った楽曲を、実際にはシンセと打ち込みを使ってアウトプットするという作曲をしていたからからかもしれません。頭の中にDTMがあったという事でしょう。

あと、韓国のテクノバンドIDIOTAPEは、ドラムマシンを使いながら、生ドラムで人力テクノをやっています。生にも機械にもそれぞれのドラムの音にリスペクトが感じられるのが、最高です。

どらちがリズムの主導権を握っているわけでもなく、あくまでもそれぞれの一音づつがオカズとして機能して、組み合わせでリズムを作っているのがポイントです。

▶︎ ドラフトから作曲を公開
尚、今回のアルバムはドラフトの段階から曲を公開しながら制作しました。GarageBandをタイムラプス勉強法で身につける意図と、配信時代には楽曲が完成した後よりも、配信するまでの制作過程に価値があるんじゃないかと考えたからです。

全曲のドラフトは「(The draft of)Synthesizer & Drums」として、アルバムとは別に、Bandcampのアーティストページからリリースしています。おまけも3曲入りですので、よければ完成品と合わせて、曲の違いをお楽しみ頂ければと思います。
▼ (The draft of)Synthesizer & Drums.

収録曲の解説

では、アルバムの全Track解説です。

  1. Synthesizer and Drums. 00:33.
    この曲はアルバム収録の全曲から、シンセ、リズムなどを少しずつサンプリングして、一曲にまとめて作ってみました。アルバムのスタートに、コンセプトを表すタイトル曲を置く意図で制作しました。

  2. Web Cycle.  04:21.
    これはアルバム制作の一番初めに作った曲です。Garage Bandの練習でシンセでコードを弾き、そこにリズム、メロディーと足していき、最後にドラムをいれたら、いい感じにまとまって、そのままストレートに仕上がりました。そこでSynthesizer & Drumsというコンセプトが決まりました。

  3. Wet Wet Solaris. 04:38.
    夜ふかししてシンセについて考えていたときに、譜面や歌詞によらず、シンセでしか出せない"音そのもの"が、テクノなんじゃないかという考察にたどり着き、そのまますぐ制作に取り掛かり、明け方に完成しました。イントロのシンセのキュインというアタック音がポイントです。

  4. Reversed Yesterday. 04:48.
    Ken Ishiiのあの奇妙なメロディーはどこからくるんだろう、という疑問を抱きながら、イントロのメロディーを弾き、そこに808風のパーカッションを加えてから、なかなか進まず。もうワンアイデア欲しいなと考えて、最後にリバースの要素を足して完成させました。仮タイトルはForgotten Yesterday。

  5. Tangled Notes. 03:57.
    僕の2ndアルバム「7 Day」の"Thursday"という曲と対になる作品です。デトロイトの1/16リズム、LFOのシンセリフへのオマージュ、 ミキシング操作のハイハットなどを工夫しました。3:18あたりで歌舞伎揚げを食べています。

  6. Matryoshka. 03:36.
    このアルバムの曲は全て、何かしらKen Ishiiの作品へのオマージュで制作しています。この曲は自分なりのEcho Exitで、ラストのClown on PondはCircular Motionです。まあ誰にも分からんでしょう笑。

  7. Philly O'Clock. 03:40.
    仮タイトルはMidnight Train、Web Cycleに続けて二曲目に完成した曲です。この曲はドラフトの段階で、米国のアーティスト、Georgiaにラジオのmixでかけて頂いたのですが、その時、テンポを遅くmixしていて、それが気に入ったので、アルバムバージョンとは別に曲のテンポをまるごと遅くしたバージョン "Philly O'Clock Would Slow Down"を制作し、アルバムリリース前の先行EP「Wet Wet Solaris 」に入れてリリースしました。

  8. Clown on Pond. 03:57.
    同じリフをずーっと繰り返していて、最後までなかなかサビに行かない。焦らし展開。ピエロが池の上でフラフラ綱渡りしているイメージで作りました。

最後に

アルバムは各種配信サービスからもリリースしていますので、プラットフォームで楽しみたいという方はこちらからどうぞ。プレイリストへの追加や感想もいつでもお待ちしています!

▼Apple Music

▼ Youtube Music

▼Spotify

おまけ
記事に出てきた楽曲やアルバム着想のもとになった動画などの参考リンクを貼っておきます。
(参考1)ミスターシンセサイザー

(参考2)Gyazai Gyozo - 2ndアルバム「7Days」(from 独Tomorrow Entertainment Rec.)

(参考3)Georgia, DWELL TIME for Dublab Radio.

(参考4)Gyazai Gyozo -「Wet Wet Solaris」EP

(参考5)ken Ishii Innerelements


以上、聴いてね〜。
Gyazai Gyozo.

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