大腸全摘と便漏れ
私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。
今回は、大腸を全摘した後に起こりやすい問題、便漏れ(便失禁)について書きたいと思います。
大腸は、消化吸収された食べ物のカスからさらに水分を吸収し、便をほどよい硬さにしています。
大腸がないと便の水分が十分吸収されません。便は泥状か水様になってしまいます。
そして、この性状は漏れやすい。
大腸全摘後は便漏れが高確率で生じます。一般に摘出後1〜2年は頻繁に起こり、年月とともに徐々に落ち着いて回数が減ってくると言われています。
これは個人差があり、ほとんど問題になってない人もいれば、常にパッドを当てていないといけない人もいます。
とくに睡眠中に漏れてしまうことが多いようです。
ヒルシュスプルング病で赤ん坊のときに大腸をとるのと、潰瘍性大腸炎や大腸癌などで大人になってから大腸をとるのとではいろいろ違いがあると思いますが、漏れやすいという点では同じです。
私の場合も、子どもの頃は排便コントロールがうまくいかず、下着を汚してしまうことが多かったようです。
成長に伴い頻度は大きく減りましたが、大人になった今でもまったくゼロというわけではありません。おなかの調子を乱したときなど、夜の睡眠中にどうしても漏れてしまうことはあります。
頻度は少ないとはいえ、便が漏れてしまうというのは精神的ダメージが最大級に強い。
なんというか、大げさに言えば人としての尊厳が傷つけられる感じです。
ちょっと落ち込みます。
漏らすことを「粗相する」と言ったりもしますが、この言葉は不注意により過ちを犯すという意味もあり、罪悪感や劣等感に結びついているのかも知れません。
大腸全摘の原因疾患は潰瘍性大腸炎が多く、その術後の生活については病院などのサイトでよく見かけます。
「大腸を全摘した後は少量の便漏れが起こることがある」「パットなどを当てることで外出などに制限なく生活できる」とだいたいこのような感じで書かれています。
いやいや、そんな大したことないみたいな調子で簡単に言われても。
量の問題でも、衣類が汚れるかどうかの問題でもなく、便が漏れてしまうという現実がショックなのです。
確かに便漏れは命に関わるものではありません。痛みがあるわけでもないです。医学的には大した問題ではないかも知れません。
でも、仕方ないとはいえ、傷ついて落ち込むものだということも察してほしいな、なんて思います。
一般に、便が漏れてしまう原因というのは、加齢による肛門括約筋の筋力低下や肛門周辺の神経の損傷などさまざまです。
少しずつですが専門の外来もできており、服薬や理学療法、また手術などの治療ができます。
しかし、大腸全摘後の便漏れは肛門括約筋の問題とは少し違う気もします。
では、下痢止めを使って便を固めればいいかというと、おなかが張ってしまうのであまり勧められないと医師に言われました。
便漏れの悩みって、デリケート過ぎて難しいです。
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