ヒルシュスプルング病の術後の付き物 〜腸炎
私は、ヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。
ヒルシュスプルング病は生まれつき腸に神経がない病気で、治療は手術となります。
腸の神経のない部分を切り取るのですが、それが直腸のあたりだけで済むのか、小腸の方まで切らなくてはならないのか、それは人それぞれです。
当然、切り取る腸の範囲が広いほど体へのダメージは大きく、手術したらそれで解決というわけにはいきません。
腸を広範囲に切った後に起こりやすいもの、そのひとつが腸炎です。
ヒルシュスプルング病の術後のお子さんを持つ方の闘病記を拝見すると、やはり腸炎をくり返してしまうことが多いようです。腹痛や激しい下痢が始まり、あっという間に脱水になって緊急入院になってしまう…。
お子さん本人ももちろんつらいですが、親御さんのご心労もお察しします。
私も、小学校にあがるくらいまでは腸炎をくり返していたそうです。風邪をひくたびに必ずおなかの具合も悪くなり、こじらせると腸炎で入院というパターンだったとのこと。そのたびに病院に担ぎ込んでくれた両親には本当に感謝しかありません。
腸炎になりやすい原因はいろいろあるようですが、単純に考えて「すごく弱い部分だから」としか言いようがありません。短くなっているので残った腸がオーバーワーク状態になっています。傷つきやすいのは当然。健康体ならはね返せる病原体にもすぐやられてしまうのでしょう。
また、残った腸だけではしばらくは排便のコントロールがつきにくく、ガスや便を出し切れず溜まりがちになります。この状態も腸には相当な負担なのです。
もう40年以上も前のことですが、私にはうっすら記憶があります。
毎晩寝る前に、両親は私に「ガス抜き」を行っていました。
ネラトンカテーテルという太めの管をお尻に入れ、私のおなかをグリグリ押してガスや便が残らないよう出していたのです。横向きに寝かされたこと、押されて苦しかったことだけは覚えています。
この前、たまたまヒルシュスプルング病のお子さんの術後ケアについてのブログを見て、少し驚きました。私と同じことされている、しかも40年以上経った今も方法は変わらないんだ、と。
日本の医療はとてつもなく進歩しています。でも、この物理的かつ原始的なガス抜きの方法は同じなんですね。
溜まった腸内ガスを一瞬で消し去る特効薬は開発されないものでしょうか。
ちなみに、私は小学生になってからは腸炎の頻度が急減し、高校生以降は腸炎になったことはありません(ノロウイルスとかの感染性胃腸炎は別ですが)。
成長するにつれ、自分で便を出し切るなどコントロールができるようになるためと考えられます。
まだお子さんが乳幼児期で腸炎をくり返していても、成長とともに落ち着いてくれるのではないでしょうか。
残った腸が頑張って強くなってくれます。
次回は、ヒルシュスプルング病の術後のもうひとつの付き物、腸閉塞について書きたいと思います。
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