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ヒルシュスプルング病 腸はこの先どうなるの?

私は、ヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。

根治術をしたのは今ほど医療が進歩していなかった約50年前のことで、当時は「手術はうまくいったけど大人になるまで生きられるかわからない」と言われたそうです。
幼い頃は体が弱く、腸炎や腸閉塞を繰り返して何度も何度も入院し、人の3倍は頻繁に風邪にもかかっていたそうです。両親の苦労も相当だったでしょう。
それでも、高校生の頃から体は急に丈夫になり、大腸がないハンデはほとんど感じず過ごせていました。
看護師として夜勤も長いことやっていましたし、40歳を過ぎてフルマラソンも完走できました。
たまたま運が良かったのか、もともとは丈夫で生命力が強いのか、これまで他に大きな病気はなく過ごしています。

腸には「腸管順応」というものがあり、ある程度切除しても残った腸が頑張って栄養の吸収を高めたりするそうです。
私の場合も、残った小腸が大腸の役割(水分吸収など)をしてくれているようです。
便を溜められないので腹鳴がすごかったり、かなり便が柔らかかったりして完全にはカバーできませんが、それでも栄養吸収をはじめ生命活動には支障なく生活できています。
体調を維持するために、私の小腸はたぶん健常者の数倍も働いてくれています。

この歳になってくると、だんだん心配になってくるのが「自分の小腸はこの先どうなるの?」ということです。
0歳の頃から常に過労状態の小腸は、はたしていつまでもってくれるのか。人より腸の寿命が短いのか。腸が弱ってだんだん栄養を吸収できなくなってくるのか。

ネットで「腸 老化」と検索してみるといろいろ出てきますが、これは当然健常者向けの解説で、ほとんどが大腸の調子を整えるアドバイスです。食物繊維を摂って便通を快適に保ちましょうとか善玉菌を増やしましょうとか。
大腸のない人の小腸が将来的にどう変化するかについては、どこにもありませんでした。大腸全摘した人の長期的な予後についてもあまり載っていません。
長期的な予後というのはどんな病気でもはっきりとはわからないでしょうが、ある程度症例の蓄積があるとパターンが読めます。しかし、大腸がない状態で50年以上となると、そもそもあまり症例がないのかも知れません。

栄養吸収は動物の原始的な本能であり、小腸の機能は生命の最期の方まで衰えないとも言われています。
ですが私の場合、40歳代前半まで何も薬を飲んでいなかったものの、今は飲まないと便漏れなどの症状が出るようになりました。これといった原因もなく、たぶん加齢によるもの(老化)だと思います。
この先どうなっていくのかわかりませんが、薬がなくなることはもうないのだろうなと感じています。

ただ、この先をいろいろ心配しても、わからないものはわからないです。
なので、ただ不安になるだけでは面白くない、それならば自分が健康に過ごして良い症例になればいい、今後も健常者とほとんど変わらない体調で過ごすことができれば、ヒルシュスプルング病で腸が短くなってしまった後人にとって明るい先例になれるかな、と考えるようになりました。

健常者だろうがハンデがあろうが、健康を保つためには食事・睡眠・運動に気をつけることでしょうかね。

ふと思いついたのですが、大腸がなくても悪いことばかりではないかも。
大腸がんになることはないし、体重がすごく軽いので膝への負担は軽く、老いても長く歩けるかも知れません。

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