見出し画像

ヒルシュスプルング病のその後、大人になってからしんどいこと

私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。

ヒルシュスプルング病は先天性の病気であり、ほとんどが赤ん坊のうちに発見され、物心つく前に治療が「終わる」ことが多い子どもの病気です。

治療(手術)の後は、人より腸が短いというハンデを背負いながら生きていきます。
今回は、そのしんどさ、大人になってからのしんどさについて書いていきます。

1.マイナーな病気であるゆえに分かち合える機会が少ないこと
ヒルシュスプルング病はマイナーな病気です。
患者の数が少ないし、知名度も非常に低いです。医療従事者でも知らない人が多いです。
私も50年近く生きていますが、これまで実生活で同じ病気の人に出会ったことがありません。もしかしたら、切り取った腸の範囲が短くて済んだためその後の症状がほとんどなく、わざわざ他人に言うまでもない人も多いのかもしれませんが。
地域または病院ごとに患者会のある病気もたくさんありますが、ヒルシュスプルング病はそこまで患者がいないと思われます。現状、ブログやSNSでしか知り合う機会はないでしょう。
私も、昨年からnoteとTwitterを始めて同じような境遇の人がいることを知り、とても心強さを感じることができました。
それまでは何十年も「こんな変な症状があるのは自分だけじゃないか」と勝手に思っていました。
情報が少ないのでこの先どうなるんだろうという不安も強いのですが、こうして発信しているとなぜかそれだけで落ち着けるところもあります。
少し話がそれましたが、マイナーな病気のため実生活で分かち合える機会がほとんどないのは現実ですね。

2.症状に個人差が大きく、対処法が確立されていないこと
患者数が少ない上に、手術後の症状に個人差が大きく、参考になる資料などが少ないです。ヒルシュスプルング病の術後の長期ケアについて、しかも成人した後について書かれている文献など見たことがありません。
私の場合、大腸をとっているので潰瘍性大腸炎や大腸がんの大腸全摘後がいちばん似ている状態かもしれません。ですが、数多くのブログなどを読んでも、同じ症状のところもあるけどなんとなく違うような気もします。
大腸のない期間の違いでしょうか。
切り取られた腸が長いほど下痢になりやすい傾向はありますが、たとえ同じ長さの腸を切っても人によって下痢になったり便秘になったり。
症状は本当に個人差が大きく、その人なりの対処法を考えていかなくてはなりません。この先も指針がないのは少ししんどいかもしれません。

3.成長するにつれフォローされる機会が減っていくこと
ヒルシュスプルング病は、病変部の動かない腸を切り取れば「根治」とされます。
ただ、その後は健常者と変わらず生活できるかというと全然そんなことはありません。ほとんど問題なく生活できる人もいますが、一生下痢や便秘と付き合っていく人が多くいます。食物からの栄養吸収では足りず、点滴で補う人もいます。また、子どものうちは腸炎や腸閉塞にもなりやすいです。
子どものうちは小児外科でしっかりフォローされます。しかし、医療依存度がそんなに高くない場合、大人になってからは自分で対処していく必要があります。治ったものとみなされたり、この病気をほとんど知らない医師もいます。自分の体は自分がいちばんよく知っていられるようにしなくてはいけません。

4.排便トラブルを周りに相談しにくいこと
腸を切っているので術後の排便トラブルはほとんど必至と言えます。もしかしたらこれがいちばんしんどいのかもしれません。
以前の記事に書いたように、シモの悩みは難しく、あまり気軽に周りに相談できるものではありません。下痢や便漏れ、腹鳴というのは、一歩間違えるとただの嘲笑のネタになってしまい、これは子ども時代だけでなく大人になってからも同様です。
なんで周りにこれを隠すためにこんなに気を使ってるんだろう、と疲れてしまうことがあります。治ることはないので開き直るしかないな、と頭ではわかっていますが…。

ざっと思いつくまま書き綴りましたが、まだいろいろあるような気もします。
もちろん私なんかより症状が重く、栄養状態の維持で精一杯だったり繰り返す腸閉塞で何度もつらい手術をしたりしている人もいます。
今回あげたことはあくまで私の体験で感じたことですが、なんらかの参考になれたらと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?