小中学校での排便問題
私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)と小腸の一部をとっています。
今回は、私が小中学校時代では学校で排便ができなかった、というお話を書きたいと思います。
大人になった今の私は、自宅以外で排便をする場合、例えば駅やショッピングセンターでは男性用トイレの個室(大の方)に入りますが、その際は何のためらいもありません。
小便器の前や手を洗うところに他の人がいようと恥ずかしさを覚えることもありません。普通に入っていきます。
でも、これは大人になってからの話。
それができないのが小中学校時代でした。
小中学校で男子がトイレの個室に入ることは、極めて困難なことでした。個室に誰か入っていることがわかると、「誰かウンコしてるー!」などと騒がれ、格好の餌食です。
下手すると隣の個室の上からのぞかれたり、下からモップを入れられたりするという残酷な仕打ちを受けることもあります。
男性なら場面が思い当たるかもしれません。
これは時代が昭和だったからでしょうか。
これを見ると、私の子ども時代とそんなに変わらない印象を受けます。
もちろん昔よりは改善されていて、トイレがきれいになっているとか洋式が増えているとか、また、からかってはいけないという教育も強化されているかもしれません。
しかし、だからといって堂々と個室に入れる男子はごく少数だと思われます。
私は、そのようにからかわれる(というよりいじめられる)のが怖くて、小中学校時代はとても学校で排便なんてできませんでした。
私は大腸がないため便を溜めることができず、食べるとすぐにおなかが張って苦しくなります。ですので、私は毎日給食後の5時間目から下校まではおなかの苦しさとの闘いでした。
急いで家に帰り(学校から家まで近かったのがまだ救いでした)、思い切り出し切ったときの生き返った心地は今でも覚えています。
今にしてみればそんなバカバカしい苦行によく耐えてきたなと思います。
しかし、当時はその苦しみよりもからかわれる(いじめられる)恐怖の方が勝っていました。
当時の小学校には、職員室の向かいに職員用の個室トイレがありました。そこが使えたらすごく楽なのにといつも思いましたが、気の弱かった私はそんなことは先生に言えず。
では、私のように排便にハンデのある子どもはどうしたらいいのでしょう。
いちばん現実的なのは、学校に相談することでしょうか。
腸に障害があって排便に困難があることを説明し、何らかの配慮をしてもらう。
たとえば私のように食後に出さないと苦しくて仕方なくなるのであれば、その時間だけ他の人が来ないトイレを使わせてもらうとか。
今の学校は昔と違って、児童生徒への合理的配慮の提供がなされてきています。
昔は「前例がない」「ひとりだけ特別な対応というわけにはいかない」などと言われていたことも、今は柔軟に対応してくれるようになっていると聞きます。
学校で排便することは恥ずかしいことではない、堂々とやればいいと教えるのも方法のひとつかと思いますが、そこはその子どもの性格などをよく見極めなくてはなりません。
正論だし、大人からすれば(大人になった今から思えば)なんでそんなことを気にしているのかと考えてしまいすが、子どもには子どもしか感じない傷つきやすさやプライドもあるのではないかと思います。
ただ、高校生くらいになると、誰が学校のトイレで個室に入っていようと別に何も言われなくなるんですよね。私も学校でできるようになりました。「今日腹の調子悪くてさー」なんて会話も周りで普通にしていましたし。
なぜこんなに急に環境が変わるのか、いまだ不思議です。
小中学校で排便ができない問題は古くからあるようで、インターネットで検索をかけるといろいろ興味深い記事が出てきます。
トイレがきれいになったり排便に対する教育が進んだりしても根深いものがあるなと感じています。
私の体験はあくまで個人的なものです。
時代も違うし(40年位前の話です)、学校によって雰囲気も異なるでしょう。あと男子女子の違いも大きいかと思います。
女子のトイレはもともと個室なので、もしかしたらこういう悩みはあまりないのかも。
一例として読んでいただければと思います。
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