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AIの辞書に『空耳』はない

過去、風呂場で湯船につかりながら、AI相手でなければそんな事は起こりそうにない恐ろしい目、に会いそうになった。

普段から風呂に入る時は防水スピーカーで音楽を聴くのが習慣で、特にそのスピーカーからはスマホのAIに話しかけることも出来て、再生曲の指定とか音声指示したりもする。

AIに話しかける時、多少の聞き間違いはよく起こることで、そんな時はこちらが辛抱強く丁寧に発音すればほぼ済むけど、少なくとも風呂場では独特な問題で、特にAIは基本的に自分の耳が悪いとは思わないので本当は深刻な問題を抱えている。

その風呂場では何であれ水を被ることがあって、それがスピーカーのマイク部分だったら正確に音が拾えなくなって当然で、その時はこっちがいくら正確な発音をしても(くぐもったり)正しく伝わるはずもなく、結局の所どう聞こえるかは知る由もない。

それで実際、そんなトンチンカンなやり取りとなった自分の恐怖体験を、解りやすく再現すると…。


《湯船につかりながら、手元スピーカーと》

私「いつものやつ、再生して」

AI『この近くに、2軒の候補が見つかりました。〈来来軒〉と〈味二番〉です。どちらにしますか?』

私「そうじゃなくて、いつものやつを再生」

AI 『分かりました、〈来来軒〉ですね。経路検索しますか、それとも電話をかけますか?』

私「頼むから、何もしないで」

AI 『面白い質問ですね(それで?)』

この後も暫く不毛な会話が続いたものの、とにかく電話だけはせずに済んだのが、本当に幸いだった(自分が冷静さを失ってた上、例え無理やり電源を切っても、部屋にあるスマホ本体の挙動も未知だったし)。

結論『難聴のAIは、狂気と区別出来ない』

ただ蛇足ながら、前述最悪の場合に何が起きただろうか、想定(覚悟)しておいてみよう。


《湯船のまま、電話されてしまった場合》

来来軒『毎度、有り難う御座います』

私「もしもし、不本意ながら電話してしまいました」

来来軒『?…ご用件は』

私「何の用事もありません」

来来軒『用事がないなら、何故かけました?』

私「私も、そう思っているところです」

来来軒『もう切るよ』

私「嬉しいです(切り方が分からないので)」

#雑文の館
#ショートおもしろノンフィクション

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