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プログラムに夢が見られた頃

 当時A.I.研究と言えば、ForthやPROLOGとか、竹槍で立ち向かっていた時代、学生の自分たちは、プログラミング実習にはFORTRAN(Fortniteじゃないよ)を使ってた。

 学内では、入力はマークカードで、出力はラインプリンタのみ許されていて、キーボードとかディスプレイとかは、自分達のこの世には存在していなかった。

 そんで実習課題として、何でもいいから『シミュレーション』と言えそうなものを作れと言われ、自分はビリヤードの球達の動きを、物理法則から愚直に計算する、但しそれはプリント用紙に文字として軌跡を印字する、地味の極みなものを、嬉々として作った。

 何とか、まともに計算できるようになると(案外、普段見ている球の挙動そっくり、に感動)、偶然に任せるケースを試したくなって、15球を置いての最初のショットに、でたらめな角度かつ突拍子もない速度で、実行した。

 速度の現実値は、あまり気にしないままだったけど、とにかく長時間に渡って球が弾けて、最終的に全ての球はどこかのポケットに入り、何ページにも渡ったプリント用紙が出力されると、予想してた。

 なのに出てきた用紙が、たった1枚だったのは、でたらめに選んだ白玉初出角度が、手近なポケットに超高速で単独直行し、15球は唖然とそれを眺めているだけな、シュールな初期条件に、なっちゃったから。

 自分たちの学生時代の、初めて身近に現れたコンピューティングって、色んな夢を持ってた(何が出来るか夢想力次第/バグに悩んで白昼夢デバッグ/入力カード束がバラけて最悪夢)。

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