笑ってないクリスマスの写真
随分前の分だけど、スマホ内の写真を「クリスマスツリー」で検索すると、AIが勝手に発見するリストの中に、この時はどうしても笑顔を作れなかった、記念写真が見つかる。
場所はクルーズ船の個室で、と言っても、ここで豪華な客室を想像したとしたら、自分たちが船内スタッフから言われた「お客様のクリスマスディナー予約席が、何故か見当たらなく、特別に個室でのご提供とさせて頂きます。」に同じく、誤解してる。
プランとしては庶民的範囲だったコースが、怪我の功名的に格上げされたと、部屋に案内されて、窓が広く夜景も良好、ソファーでくつろげて、二人でこれを独占、と食事が出てくるまでは結構よろこんだ。
体験するまで、全然気付かなかったけど、ソファーと共に置いてあったテーブルは、別にそれに非はない当たり前の高さで、但し、食事にはあまりに低すぎた。
感覚的には、ハイキングとかでレジャーシートに食事を並べて、地面から拾い上げる、様な屋外感にさいなまれ、彼女と二人して、これはこれで望んでも出来ない面白い体験だよね、と必死に楽しもうと、最後まで頑張った。
頑張ってくれたのは、サービス側も同様で、途中サンタクロースがやってきたり、例のクリスマスツリーで写真を撮ってくれたり、メイン会場での給仕も忙しいだろう中、善処してくれたと思う。
今だったら、最後の仕上げに向こうが撮ってくれた写真を、笑顔に加工して、渡してくれたかも知れない。