『春を迎えるせつ菜さんに大好きを叫ぶ合同 これは始まりのうた』感想集
こんにちは皆さん、とらです。
今回は『紙袋Works』さんが頒布された『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の二次創作合同誌に感想を書いていく記事です。
全部で72点の作品が収録されているらしいです。凄い熱量ですね。
一日で書き切れる量ではないですが、約1ヶ月で感想を終えられたらと思っています。よろしくお願いします。
特設サイト
感想を始める前に
この合同誌が頒布されてから2週間と少し、せつ菜の声優が変わってから1ヶ月が経ちました。
6/30に『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS』のサービス終了が決定し、最後のシングルに楠木ともりさんが『優木せつ菜』として参加するなど、まだ落ち着いたとは言えない状況だと思います。
私はもう、何か、色々あったので、最後まで付き合うぞという心積もりではあります。今更一つや二つ(驚きが)増えたところで何も変わらねぇ!!!
……その中で、せっかく沢山の人と共に(私も寄稿した)合同誌が、出すだけで終わってしまうのも悲しいなと思い、こういう感想を書くことにしました。
一参加者の拙い感想にはなりますが、心を込めて作品への想いを綴って行きますので、どうぞよろしくお願いします。
『春を迎えるせつ菜さんに大好きを叫ぶ合同 これは始まりのうた』
ネタバレ注意:小説/漫画/考察など
早速書いていきましょうか。まずは表紙絵から。
表紙
イラスト『sinanoya』さん
丸みを帯びたせつ菜の絵がとても可愛らしいですね。
顔を上げて前向きな表情をしているせつ菜の目に、輝く星が浮かんでいるところがとても好きです。
背後にいる菜々の表情は横顔しか見えないものの、胸に手を寄せているのを見て「ここから(菜々の衝動から)せつ菜が生まれたんだ」と改めて感じられるイラストでした。
生徒会の腕章とか、菜々のメガネもちゃんと描かれているのがいいですよね。せつ菜にとって必須ではなくても、菜々にとって大切なものは沢山あるはずですから。
表紙デザインの桜を見上げる形で、せつ菜自身も「春を迎える」ということが伝わる、とても美しいイラストでした。
デザイン『キスケ』さん
桜の写真やタイトルの挿入などを努めたキスケさん。
英文字は『This is the song of beginning』と書いてあるそうです。
デザインに関しては完全に素人の感想になってしまうのですが、視認性も高く、文字の情報量に対してせつ菜(と菜々)のイラストがしっかりと見えるようになっており、全体が纏まっていますよね。
凄いですね…
背表紙の桜はせつ菜が見上げているものと比べて枝が細く満開ではないように見えますが、その分だけ根強く咲いている樹々の力強さも感じられ、確かに『はじまり』を感じる内容になっていました。
最後に一参加者として、私たちの作品を彩ってくださった『sinanoya』さんと『キスケ』さんに改めてお礼を言いたいと思います。大変素敵な表紙を作ってくださり、ありがとうございました!
写真
『ゆーほ』さん
ビッグサイト(菜々のいる生徒会室)を背景に『LIKE IT! LOVE IT!』のスピーカー。
この数秒後にせつ菜がスピーカーを手に取って、奥(学校)の方へ向かっていく姿が想像できました。
映画のラストシーンみたいでいいですよね。イメージの膨らむ1枚です。
『かべ』さん
2期OP主題歌『Colorful Dreams! Colorful Smiles!』において、せつ菜が手を広げるシーンで採用されている聖地です。
『豊洲公園』からすぐの場所にあるクレーンですが、レインボーブリッジの間に2つの橋があり、綺麗に撮るのは難しい場所でもあります。
その中で、せつ菜の象徴である『燃えるような赤』を強調する形で撮れている1枚だと思いました。
『サグラダファミリア』さん
ビッグサイトのメインエントランスを抜けた先で、屋上展示場(『DIVE!』聖地)を撮った1枚。
早朝でしょうか。
何かの始まりを感じさせる写真で、この合同誌にぴったりの作品だと思います。
「これから生徒が来るのかな」とか、「1期3話の翌日を撮った写真なのかな」とか色々と考えられるのが、写真の魅力かなと感じますね。
『環月紙袋』さん
5Pの3枚は、編集者である環月紙袋さんが撮った写真です。
こちらもビッグサイトは早朝……登校中という感じがしますね。
一番乗りで来た生徒はこんな景色を見ているのかもしれません。
2枚目と3枚目はライブの舞台となった『ベルーナドーム』と『京セラドーム』。
私は3rd liveを配信で視聴し、4th liveに関しては一度も目を通したことがないのですが、ライブの熱狂を包み込んだ『ベルーナドーム』と、これから沢山の参戦者が来るのを待つ『京セラドーム』の写真は対照的になっていて、当時の風景を肌で感じられる気がします。
※ちなみに紙袋さんには許可を取って感想を書かせていただいています。
快く相談に応じてくださりありがとうございました。
イラスト①
『にゃこ』さん
桜が舞っている中で、バラの花束を抱えたせつ菜が優しく微笑んでいるイラスト。
卒業……を意識した絵かなと思います。
作品時空で考えるならせつ菜が3年生の春ということになるでしょうか。
左下にある花びら状の飾りに王冠が映っているので、これはかすみから渡された花束なのかなと思います。
私はせつかすが大好きなので、もしそうだったらとても嬉しいなと感じますね。
とても可愛く、暖かいイラストでした。
『ウチナシウシオ』さん
『LIKE IT! LOVE IT!』の衣装を着たせつ菜がいたずらっぽく笑っているイラスト。
立ち姿はスクスタMVのラストに近いですね。
顔の向きが逆なのは髪飾りをしっかり見せるためかな。
この衣装に対する拘りが伝わってきました。目にハートマークが描かれているのもいいですね。
個人的には、笑っているせつ菜が『アイカツ!』シリーズの霧矢あおい(あおい姉さん)っぽく映るのが好きですね。
とても可愛いイラストでした。
『あまきちゃん』さん
ライブでシャウトするせつ菜のイラスト。
恐らく曲は『MELODY』ですね。
2期13話か1st live("with you")を参考にしていると思います。
全身を使って叫ぶせつ菜の目には涙が滲んでいて、このイラストに込めた想いが伝わってきます。
汗を流しながら歌うせつ菜の姿には、ステージに全身全霊で臨む彼女のポリシーも感じますね。
個人的には、下半身がしっかり描けていて、全体的に迫力ある絵になっているのが良いなと思いました。
せつ菜への想い溢れるイラストでした。
『オレンジペンギン』さん
墨絵タッチでせつ菜の「燃えたぎる情熱」を表現している1枚。
『DIVE!』の止まらない衝動が溢れる瞬間、宿る炎がせつ菜の周囲を包み込むイメージを描いているように感じます。
凛々しい表情がかっこいいだけでなく、立ち昇る炎が「鬼」のような感覚をせつ菜に抱かせて、迫力が増していますね。
(紙袋さんに伺ったところ)水墨画風に描いたということですが、衣装姿のせつ菜に怖い印象はなく、前向きな表情でこちらに情熱と勇気を与えてくれている気がします。
そう見えるのは「始まったのなら貫くのみ」を魂に宿しているせつ菜が、こちら向きに拳を差し出してくれているからなのでしょうね。
格好いいせつ菜のイラストでした。
『サンヌ』さん
こちらも衣装姿のせつ菜がシャウトしている一枚。
全力で叫ぶせつ菜の表情は力強く、握った拳にも情熱を感じました。
恐らく元にしたのは『CHASE!』のシャウトシーンだと思います。なのでしっかりとせつ菜の表情が見て取れるし、気迫がより伝わってくるのかなと。
ステージ上で歌うせつ菜の、迫力溢れるイラストでした。
『かみしろ』さん
マイクを持って歌うせつ菜が、こちらに向けて手を差し出しているイラスト。
構図含め、元になっているのは2期13話だと思います。
『MELODY』が始まって、せつ菜が「まだまだこれからですよー!」というシーンですね。
ウインクをして微笑んでいるせつ菜の表情はとても可愛く、衣装も装飾やひらひらとしたスカートの細かい部分まで描き込まれていて、拘りを感じました。
せつ菜の"後ろに"ペンライトが映っているところも好きですね。観客とスクールアイドルのせつ菜が一体となってステージを演出しているような感じがします。
細部まで拘りを持った、とても可愛いイラストでした。
『ダディ』さん
劇画タッチでせつ菜の凛々しさを表現した1枚。
元になっているのは1期1話『CHASE!』ですね。
背景の結界によって領域展開されているのが分かります。
せつ菜の周りに描かれた炎が情熱を表し、全力でステージに挑んでいるせつ菜の姿勢と、信念を持ってパフォーマンスする格好良さが伝わってきました。
個人的には、ステージ上のせつ菜が誰かを指差しているのが好きですね。
1期1話のステージから虹ヶ咲の物語は始まりますが、『CHASE!』はせつ菜から侑に手渡される「次は、あなたの番!」だったのかもしれません。
そう気付かせてくれるような、熱意溢れるイラストでした。
『みゅらー』さん
せつ菜が誰かの手を取って走り出すイラスト。
学生服姿が映っているので相手は侑……かな。
桜が舞っていることを考えると、春に目標へ向かって走り出す「あなた」の手を取っているのかもしれません。
長い髪を振り乱すせつ菜の姿には躍動感があり、手を引っ張っていく彼女の頼もしさが描けています。
「あなた」の方を向いているせつ菜の表情は優しく、思いやりのある表情をしているので、後ろにいるのはここちゃんかもしれないですね。
未来への希望と想像に満ち溢れる1枚でした。
『浅汐』さん
少女漫画タッチでせつ菜を描いたイラスト。
こちらに手を振るせつ菜がとても可愛いですね。背景に音符が流れているのも虹ヶ咲を感じます。
『CHASE!』の衣装姿(花びら状の飾り)にはマイクが描かれていて、細かいところにもせつ菜を表現しようという愛情を感じます。
個人的には、目の描き方が好きですね。普段見るイラストより大きく(丸く)描かれていて、優しい感じが伝わってきます。
せつ菜の可愛さが詰まった1枚でした。
『一威』さん
せつ菜が手の中に一杯の星々を抱えているイラスト。
イラスト上部には「両手いっぱいのダイスキをアナタに!」と書かれていて、胸の辺りに12個の星々が輝いています。
12個なので、きっと虹ヶ咲のメンバーたちを差しているのだと思います。
衣装は2nd Album楽曲である『MELODY』のもの。
せつ菜が(自らの)「大好き」を歌うために作られた楽曲が、誰かの「大好き」を表現するために使われているのは、とても嬉しいですね。
同好会のみんなと輝くせつ菜の幸せを描いた、暖かい1枚でした。
『AKIRA隊長ちゃん』さん
衣装姿のせつ菜がこちらに手を差し伸べているイラスト。
せつ菜が誰かの手を取り引き上げるような、一緒に走っていこうと呼びかけるような、そんなイメージが伝わってきます。
せつ菜が分け与えてくれる勇気、その眩しさを表現したイラストかなと思いました。
個人的には、こちらを向いたせつ菜が笑っているところが好きですね。「一緒に来たら絶対いいことあるよ!」と約束してくれている感じがするので。
せつ菜の魅力をストレートな形で表現している1枚でした。
(衣装は『CHASE!』のもの)
『抹希』さん
同じく衣装姿のせつ菜がこちらに手を差し伸べている1枚。
丸みを帯びたせつ菜の表情がとても可愛いですね。
私たちが手を取って走り出すのを待ちながらも、絶対に付いてきてくれる人がいると確信しているような、穏やかな印象を受けるイラストです。
個人的には、周囲に星や雷のマークが描かれているのが好きですね。他のイラストにはないサラリとした纏まりを感じます。
シンプルな絵の中に「優木せつ菜の魅力」をしっかりと表現している1枚でした。
(衣装は『CHASE!』のもの)
小説①
『声をきかせて』 著者:こじまり
「推しの声が変わる」という題材を軸に進んで行く物語。
終盤にかけて熱を上げていく語りに、こじまりさんのパワーを感じさせる1作でした。
作品自体は「電話越しの音声」や「声優変更」などの話を中心に進みますが、大胆な言い方をすれば、それは(作中において)舞台装置の域を出ていないと思うんです。
この作品が最も輝くのは、「ストーリーテラーとして振舞う侑ちゃん」が「作者の想いを託された侑ちゃん」に変わる瞬間。
この作品では(虹ヶ咲の世界で)声優が変わるとして、それが誰なのか、どんなキャラクターなのかは明かされません。
その中で、現実と作品世界が複雑に入り交じっていきます。
熱を上げるラストパートが、(侑とせつ菜の/私たちとせつ菜の)過去と未来を結ぶ形で"イマ"に着地し、作品世界に希望を持たせて終わるクライマックスも見事でした。
前半の愛さんがさりげなくツッコミを入れてくるところや、侑ちゃんがトキメイてしまうところも可愛くて好きですね。
限られた文字数の中で、しっかり侑がせつ菜を口説く(天然)シーンが含まれているのもいいなと感じます。
ゆうせつの中に作者の熱意が伝わってくる作品でした。
『そして、灯火は渡された』 著者:ハバネロ
生徒会長の任期が終了する前の、せつ菜と生徒会副会長のお話し。
未だせつ菜が生徒会長を降りることに(心の底から)納得できていない副会長がエゴを剥き出しにしつつ、そんな自分をせつ菜に肯定してもらうことで副会長も一歩前に進み、次世代の生徒会を支えるため決意を新たにするお話しでした。
副会長が正直に感情を吐露したことで、せつ菜の中にある心の傷と、彼女に付きまとう影が副会長にも見えてきて、結果としてせつ菜(菜々)のことを少しだけ知れるエピソードなのが良かったですね。
副会長とせつ菜は、結局のところ事務的な関係でしかなかったのだと思います。スクールアイドルとしての絆が続いていく同好会の13人と違って、せつ菜が生徒会長の任を降りた瞬間に、二人の関係は切れてしまう。
しかし、作品世界で残した未練を共有して、せつ菜と交わした約束を胸に進んでいく副会長の心に、ずっとこの日の会話は残り続けるのだろうなと感じました。
中川菜々への憧憬と、優木せつ菜への純粋な好意。
副会長に重い期待を乗せられたせつ菜が、そのどちらにも完璧に応え切ってしまうラストシーンも胸を打つものがありました。
「応え切ってしまう」と書いたものの、せつ菜がそう(副会長にとっての希望である)であるからこそ、二人は『生徒会』という共有空間から離れても繋がっていられるのだと思います。
その証明をするクライマックスが、生徒会副会長としての任を全うするための、彼女(副会長)の持ち場を示す『音響席』という場で描かれたことも、とても嬉しかった。
離れていても繋がっている。道は続く。
副会長は副会長として。せつ菜はせつ菜として。
その中で、今も保たれている「スクールアイドルとファン」という関係性と、かつて「生徒会長と副会長」であった関係の双方を乗せて、作品にエンドマークを打つ流れが、とても美しいと思いました。
…
私自身、今回小説を寄稿する中で、現実で離別を経験するのと同じように、「虹ヶ咲の皆もこれから各々の道を歩き始めるのだ」と改めて感じました。
ただ、生徒会副会長にスポットを当てることは意識すらしなかったので、こういった形で小説を読むことが出来て良かったと思っています。
副会長のせつ菜に対する熱い感情を乗せた、未来へ向かうための作品でした。
漫画①
『想送歌』 作者:緋村・しょぼチカ・有輝
卒業を迎えたせつ菜に栞子が歌を送るエピソード。
『CHASE!』を歌い始める時の照れている栞子の顔と、びっくりしているせつ菜が可愛いですね。
スクールアイドルと共に「優木せつ菜」を卒業する菜々への問いかけを通して、ともりるへの想いが伝わってきた気がします。
せつ菜や栞子の表情が可憐で美しく、少ないページ数の中でもキャラクターの感情が伝わってくる作品でした。
『奇跡の時間』 作者:蒼也
ライブに出演する直前、せつ菜の緊張と勇気を描いた1作。
せつ菜がステージに上がるライブを『奇跡の時間』と表することに、2重の意味を感じ取ることが出来ました。
最終ページで笑っているせつ菜の表情がとても穏やかで優しく、作者さんが(せつ菜やともりるへの)感謝と敬愛を込めて描いたのだろうと想像できます。
せつ菜が二人で道を歩んできたこと、そのお陰でステージに立てていたことを感じ取れる作品でした。
『Dear my friend』 作者:楼くめ
せつ菜が同好会のみんなにケーキを作ってあげる作品。
1コマ目から料理実習室が出てきて不穏な雰囲気を感じさせますね。1ページ目の最後にせつ菜が不敵な笑みを浮かべているのも好きです。
所謂ギャグ漫画ですが、笑っているせつ菜はとても可愛く、死を覚悟している歩夢や隠れる璃奈の表情も楽しく見れる作品でした。
この後どうなったんでしょうね……犠牲者は何人出たのか。
「赤いやつは絶対に強い」という作品でした。
『Let`s glitter!』 作者:リンドウ
緊張で動けなくなってしまったせつ菜を侑ちゃんが励ますエピソード。
せつ菜が不安になった時、いつも助けに来てくれる侑ちゃんが格好いいですね。
侑ちゃんは一番最初にせつ菜の"大好き"を感じ取ったキャラクターなので、歩夢と同じように"勇気"を与える側に回ってもいいのだと思います。
アニメの世界では「パフォーマー同士としてのせつ菜と侑」の会話はまだないので、侑ちゃんがあのポーズをしているのは新鮮ですね。
作品が始まった時のせつ菜は独りでしたが、多くの人に支えてもらった今、せつ菜は孤独なスクールアイドルではありません。
みんなが支えてくれるから、せつ菜はいつまでも輝いていられるのだと思える作品でした。
『~優木せつ菜~』 作者:七紫々ヒカル
せつ菜との離別が不安な侑に、心からの"大好き"を届ける1作。
侑へ語り掛けるせつ菜の言葉に、作者の感情が乗っている気がしました。
絵柄が独特でとても可愛く、まずページを開いた時に「うおっ、カワイイ」と声に出ましたね。
ゆうせつを通して、せつ菜とともりるへのメッセージが伝えられているのも好きです。
ただ可愛いだけでなく、せつ菜の自由なキャラクターや心を込めた"大好き"も伝わってくる作品でした。
考察①
『優木せつ菜は幼馴染関係に何をもたらしたのか』 著者:黒鷺
せつ菜が歩夢と「あなた」(侑)にどのような変化を与えたのか考えた1作。
スクスタとアニメの内容を踏まえ、そのどちらでも描かれている歩夢と「あなた」(侑)の変化を抜き出し、せつ菜が与えた影響を見出す文章でした。
文章の内容について多くは語らないですが、私はアニメ1話で侑が言った「トキメキが足りないよ」という言葉が心に残っていて。
あの言葉は、多分その時感じたことを口にしただけだと思うんですが、同時に「無気力に生きている自分」に対しても言っているような気がするんですね。
トキメキ、原動力、推進力、前へ進む力。
せつ菜が『CHASE!』のパフォーマンスで侑に与えたのは、そんな勇気だったのかなと思います。
それに対して、歩夢はせつ菜から勇気を貰うだけでなく、スクールアイドルという表現を通して「自分自身を受け入れる力」を養ったのかなと感じていて。
歩夢の中には、侑や「あなた」と添い遂げたい欲求が強くあって、でも可愛いものを好きな自分自身を(心の底から)受け入れられなかったのと同様に、その願いもしまい込んでしまっていたんじゃないかと思います。
2期のラスト、侑に自分の想いを伝えられるようになったのは、歩夢が自分自身の願いを真正面から受け止められるくらい成長したからで、そのために「未来」のことも話せるようになったんじゃないかなと感じます。
侑も遠回りして、歩夢と同じく、自身の未来を自分で決められるようになりました。
侑は周囲の魅力を感じ取る能力が高すぎて、自分の感情を疎かにしがちなので、近くに引っ張る人が必要ですよね。
その一端を担ったのが、きっとせつ菜なのだろうなと思います。
最終的には歩夢が2期12話で直接想いを伝えましたが、歩夢がそこに辿り着くためにもせつ菜の力が必要でした。
「うっ……!幼馴染、尊い……!!!」と思いつつ、その二人のためにせつ菜が欠かせない存在であるという喜びもまた、一つの関係性を築いているものなのだと思います。
歩夢と幼馴染である「あなた」と侑、そしてせつ菜の関係について考えた、素敵な考察でした。
(途中からバリバリ文章の内容とリンクしていきました。スイマセン)
『私にとってのヒーロー、優木せつ菜さんへ』 著者:よつぎ
進み続けるせつ菜へ贈る、力強いメッセージの籠った1作。
『LIKE IT! LOVE IT!』にもあるように、せつ菜は「誰にでも言えないことを言える」から遠い存在で、ヒーローで、憧れに終わってしまうリスクを抱えたスクールアイドルなのかもしれません。
そのことを指し示すように、アニメが始まった時、スクスタが始まった時、せつ菜は独りでした。
あまりに強い輝きを放つせつ菜は、私たちにとっては"亜人"にしか見えないとも言えます。せつ菜のような純粋すぎる好意を、人は信じる事が出来ませんから。
だからこそ、私たちは"大好き"を叫び続けるのだと思います。放っておけば独りになってしまうせつ菜を、私たちのヒーローに留めるために。
…
2023年4月16日に行われた『Aimer Arena Tour 2023 -nuit immersive-』横浜公演に、私はせつ菜のTシャツを持っていきました。
その日のセットリストは1曲目が『Deep Down』。2曲目が『RE:I AM』。
『Deep Down』はほぼ全編において(ともりる演じる)マキマが映る『チェンソーマン』の9話EDで、『RE:I AM』はせつ菜とも繋がりの深い『機動戦士ガンダムUC』の18話OP。
流石にライブが始まった後はTシャツを着ていなかったけど、「せつ菜も一緒に聞いてくれているかな?」と思いながら2曲を聞いていました。
(私は感極まりすぎてボロボロ泣いてました。開幕2曲で号泣するの何者……)
そうやって楽しいことを共有して、せつ菜が苦しい時はエールを送ることで、私たちはせつ菜との繋がりを感じ続けていられるのだと思います。
作者の方と同じく、私たちのヒーローであるせつ菜。
彼女の野望を私たちが現実に変えていくことで、ずっと「せつ菜は私たちのヒーローだ」と言えるようにしていきたいですね。
これまでのせつ菜との思い出を振り返り、これからの決意を語る、熱意に溢れた文章でした。
小説②
『私への烽火』 著者:アルシャ
優木せつ菜のこれまでとこれからを一つの点で結んだ一作。
自身の"大好き"をしまい込んで何もかも諦めようとした過去。
侑に救ってもらったことで、スクールアイドルとしての青春を全う出来ているイマ。
いつか来る終わりの日を意識しつつ、きっと輝いていると信じられる未来。
せつ菜の歩んできた挫折と希望を乗せて、最後の呼びかけに着地するエピソードでした。
途中で挟まれる「変化する街」についての問答が、少し寂しさを感じさせます。
私もお台場周辺の景色が好きなので、一部が無くなってしまうと全体が共鳴するように変わっていく感じがするんですよね。
でも、そのことで新しく見えてくる景色があったり、今まで知らなかった魅力的な場所を発見したりすることも事実なのだと思います。
変化することが未来にどう影響するのか分からないまま、希望と勇気を叫ぶことが、せつ菜の美しさなのではないかと感じる一作でした。
『CHASE!』 著者:ぱせり
1曲に込めた感情をただ只管に書く。そんな情熱に満ちた1作。
たった4分間の中で、どれだけの「大好き」を叫べるのか。どれだけの共感を得られるのか。熱狂を巻き起こせるか。
その緊張感を常に維持しつつ、自らが熱狂の中心点として存在することを信じて疑わないせつ菜の姿が格好いいと感じました。
この作品を一言で表すと「飢え」になるかなと思います。
理想と乖離した現実に立つ、せつ菜の飢え。ステージは理想を叶えるための手段。それは一瞬しか叶えられない幻想でも、せつ菜は理想を歌い上げ、観客はその瞬間に酔いしれる。
その実、どちらも「飢え」を抱えているからこそライブ会場にいるのが面白い部分かなと感じます。
せつ菜の「飢え」を満たすには観客の支えが必要で、観客はせつ菜と同じ理想を抱いている。賛同者がいるから、現実の中に理想を見出せる。
そのことが分かっているから、最後にせつ菜が送り出す言葉は「ただ純粋無垢な好意」なのかなと思いました。
たった1曲、スクールアイドルがパフォーマンスをする僅かな時間の中にも、応援してくれるファンとの相互性があるのだと感じる1作でした。
(楽曲に込められたパフォーマンスを言語化する表現、せつ菜の一瞬一瞬に賭ける感情、その移ろいも非常に楽しく見させていただきました!)
『étincelle』 著者:逸樹
タイトルはフランス語で『火花』。
『校内シャッフルフェスティバル』を題材に、かすみが「優木せつ菜」を表現しようとして叶わず、悩んだ先に自分の道を見つける1作でした。
かすみはせつ菜に対して対抗心(コンプレックスに近い)を抱いているので、せつ菜のことになると自らの魅力を見失い、せつ菜の魅力に引っ張られて行ってしまうような気がします。
しかし、かすみには人の意見を聞いて自らを正す力があり、何を言わずとも助けてもらえる愛嬌があります。
そう言った自らも気づいていない輝きは、この作品の中でも遺憾なく発揮されていました。
多分せつ菜が喉から手が出るほど欲しがる「周りからの手助け」を簡単に引き寄せて、状況をひっくり返してしまうかすみが、性格的にはせつ菜と似ているのも面白いですよね。
各々の魅力はそれぞれに違って、時折誰かの魅力が羨ましくなって。
周囲には自分の魅力を理解してくれる人がいて、そのお陰でまた前を向き直すことも出来る。
そんな風に道を歩めるのって、とても幸福なことだなぁと思いました。
かすみの中にしかない、けれどせつ菜の魂に限りなく近い"赤色"を宿すための、可愛くも真剣なエピソードでした。
(書き切れませんでしたが、かすみの心情描写がとても好きでした!)
『So far, in the future』 著者:如月rey
3年生となり、卒業を意識したせつ菜が未来を憂いてしまうお話し。
『A・ZU・NA』として活動してきた3人の絆と思いやりが優しい作品でした。
タイトルは『将来』……かな?
一瞬一瞬を駆け抜けているせつ菜は、確かにスクールアイドルを辞めると「優木せつ菜」ではいられなくなってしまうのかなと思います。
でも、そうやって全力を尽くした瞬間を目の前で見ていた人たちの記憶から、せつ菜のことは消えたりしない。
(これは物語の終盤を見て思ったことなのですが……)
『エール!』で「背中を押した温もりはずっと残るよ」と彼方が言いましたが、「背中を押された温もり」も生涯に渡って残り続けるのかもしれないですね。
同好会の活動を通して、せつ菜はファンだけでなくメンバーのことも(知らないうちに)励ましていて、だから3人の中にも「優木せつ菜」という存在が刻まれている。
そんな風に考えると、同好会に所属する皆は「仲間でライバル」であると同じくらい「互いにファン同士」なのかもと感じました。
歩夢とせつ菜、しずくとせつ菜、侑とせつ菜。
その関係だけじゃなくて、13人全員が「互いにファン同士」だったら、本当に素敵ですよね。
そのお陰でせつ菜は(迷ったとしても)3人に助けてもらえるのかもしれないなと、作品を読んで思いました。
『A・ZU・NA』らしく優しい雰囲気で物語が進む、可愛らしい一作でした。
『大好きな日常へ』 著者:紅葉吹雪
せつ菜を取り巻く日常を描いた1作。
実のところこのエピソード、全体を纏めた感想がありません。
「楽しい」「面白い」だけで読み進められるのが「日常」の素晴らしさだと思うので、この作品では好きだった部分を個別に取り上げていきます。
・かすみんが「菜々先輩」と呼んでるの珍しくて好きですね。実際に「中川菜々」として生きるせつ菜はどういう感じで同好会のみんなと接しているんでしょう。
・表情の硬いりなりーが全身を使って落ち込んだ感情を表現しているところ。りなりーの魅力が詰まっている部分だと思います。
・エマに膝枕されながらドヤ顔をする果林。言うまでもなくコミカル。
・ツッコミ不在の中、ランジュとせつ菜に揉みくちゃにされる侑。ときめいちゃうよ~!
ほんわかとして気持ちで読める、とても可愛い一作でした。
『N』 著者:ぶろっく
卒業公演を迎える直前のせつ菜が、ミアに今後を相談するお話し。
「中川菜々」として生き始める直前の葛藤が、せつ菜らしい人生への真剣さで彩られていました。
せつ菜は常に全力なだけでなく、あらゆることに真剣なスクールアイドルだと思います。妥協を許さない……作中で言うところの「誠実さ」。
その部分ではイマイチ(笑)なミアですが、音楽に対する真剣さと情熱は本物。
一点突破の才能を持ち合わせているミアだからこそ、せつ菜は彼女に今後のことを相談したのかなと思いました。
多分、せつ菜がミアに聞きたかったのは、一瞬一瞬の「感情の揺らぎ」とどう向き合うかで。
その対処法は、ミアにとっては「スポットライトを浴びてから考えな」というものでしたね。
(物語における)最初の質問に立ち返ると、せつ菜にとって「中川菜々」と「優木せつ菜」のどちらを名義として使用するかは、大きな問題ではないのかもしれません。
その時、ステージに立っている者が何を考えていて、何を表現したいかが一番大切で。名前に大きなコンセプトを託さない限り、それほど拘る必要はないのかなと感じました。
それを証明するかのように、せつ菜の思い付きで新たな始まりが見つかって、物語が終わるクライマックスも凄く良かったですね。
年下と年上、卒業生と現役生。
不思議な関係性で彩られた二人が真剣に「終わり」と向き合う、テンポ良く読める作品でした。
(めちゃくちゃ読みやすかったです!)
追記:『N』は「菜々の『N』か、母集団を差す『N』かな?」と考察してます。
『ひめごと』 著者:暇人A。
成長した歩夢からせつ菜に贈る手紙。
時期は2年生の冬……が明けた3月頃でしょうね。
せつ菜と一夏の思い出を語る歩夢の言葉がどうしようもなく切なく、纏まっていない文面に見えて当時の熱量と実感が伝わってくる手紙に込められていて、思わず見入ってしまいました。
歩夢が工夫を凝らしながら、出来るだけ手を止めないようその場の感情に身を任せて書いたんだろうなと感じる内容で、せつ菜への思いやりと自分の想いを伝えたいエゴに挟まれながら告げるメッセージの中に、確かな「歩夢らしさ」を感じることが出来ました。
息を呑むような非日常の中で、身も心も落ち着かないまま手を引かれて駆ける歩夢が感じたのは、せつ菜のパフォーマンスを始めて見た時とは違う「ときめき」なのかもしれないですね。
せつ菜と歩夢の間に生まれた「特別」を語る、切なくも暖かい作品でした。
イラスト②
『瀞川くえ』さん
初期衣装(スクスタなどで登場するもの)を着たせつ菜が微笑んでいるイラスト。
この衣装は『にじよん』などでずっと着ているので馴染みがありますよね。
視線の先には誰がいるんでしょう。侑ちゃん……「あなた」かな。気になります。髪飾りや装飾も綺麗ですね。
穏やかな佇まいから、せつ菜の優しさや可憐さを感じる一枚でした。
『和源迪考』さん
せつ菜がかっこよく決めポーズをしているイラスト。
帽子がスクスタモチーフ(『スカーレットカレッジ+髪飾り』)ですね。衣装は『CHASE!』を中心にミックスしているそうです。
激しめの衣装を着ているのですが、絵は丸いタッチなのが可愛いですね。眉の描き方が凄く好きです。
楽しそうなせつ菜の中に、少し幼さも感じる一枚でした。
『もこあ』さん
せつ菜が目を輝かせて何かを見ているイラスト。
こちらも初期衣装。せつ菜の中に"大好き"が生まれた瞬間を捉えた一枚なのかな……と感じます。
煌めくものを見てワクワクしているせつ菜の表情、とても良いですね。頬が紅潮して自然と笑みが零れているのも好きです。
少女漫画風のタッチで描いた、せつ菜の可愛さ溢れる作品でした。
『七星みあ』さん
せつ菜がこちらに手を伸ばしながらニコッと笑っているイラスト。
右上に『MELODY』の歌詞が表示されているので、サビの振り付けを描いた作品だと思います。
差し出される右手と、マイクを握り締めている左手、どちらにも力強さを感じますね。やや挑発的で自信を持った表情も堪らないです。
スポットライトの中、自身の願いを叫ぶせつ菜が格好いい一枚でした。
『桜陽桜』さん
花束を持ったせつ菜がこちらに手を伸ばしているイラスト。
衣装は『Future Parade』。せつ菜を囲むように様々な楽曲の歌詞が表示されています。
2枚続けてニコっとした表情の作品が続くところに、セットリストの妙を感じますね。
こちらのせつ菜は「大丈夫だよ」と伝えてくれているような優しい笑顔。作品に込めた感情が伝わってきます。
少し切なく、でも寂しさを感じない、せつ菜を送り出すための一枚でした。
『十六夜空』さん
せつ菜と栞子が背中合わせで歌っているイラスト。
『Just Believe!!』の振り付けから取っているそうです。衣装はせつ菜が『CHASE!』で、栞子は『決意の光』ですね。
栞子の横顔が格好いいですね。衣装も素敵です。
背中合わせの二人に信頼感を感じます。せつ菜も明るく笑っていて、楽しく踊っている辺りがいいですね。
せつ菜の指差す方向に桜が舞い散っている部分にも、美しさを感じる一枚でした。
『むらくも』さん
桜に囲まれた……湖のほとりにせつ菜が立っているイラスト。
明確に水面という感じはしないので、鏡面だったり、異世界との接続点だったりするのかもしれません。
反射した世界に映っているのは、恐らくともりる。
双方の顔が隠れているのもいいですね。怪し気な雰囲気が出ています。
桜というコンセプトを全面に活かした、世界観の素敵な一枚でした。
『水瀬心』さん
せつ菜と菜々が一枚に収まったイラスト。
これ、どう表現すればいいんでしょう……
せつ菜と菜々は互いに半身しか見えませんが、全体的に共通点を感じる部分もあり、二人の繋がりを見て取れる作品となっています。
せつ菜が手を横にピースしてるの良いですね。あんまり見ない構図です。
菜々は真面目な感じで手を後ろに組んでいて、二人のポーズも対照的になっているのが好きです。
せつ菜は菜々がいるからスクールアイドルに打ち込めるし、菜々はせつ菜がいるから普段の生活を頑張れる。
一枚の中に二人の絆を感じる作品でした。
『佐々木さん』(敬称略)
こちらも菜々とせつ菜が半々に描かれているイラスト。どちらも学生服。
せつ菜が歯を見せて笑っているのに対し、菜々は穏やかな顔をしており、互いに顔のバランスが違うという一作です。細かい……
髪型にボリューム感があり、同じ学生服を着ているのに左右で全く違う印象があるのも面白いですね。二人は(同一人物なのに)全く違う特徴を持っているんだというのが伝わってきます。
せつ菜と菜々の差異を強調する、面白い一作でした。
『とりぷれす』さん
せつ菜/ともりるで「始まったのなら、貫くのみです!」のポーズをしているイラスト。
前に進む強い意志を感じますね。その中にともりるへの感謝も含まれている一作です。
せつ菜とともりるはここでお別れになってしまうけれど、5年間せつ菜を引っ張ってくれたのは間違いなくともりるだし、これからも心は一つでいられる。
一緒のポーズからそんなメッセージを感じる作品でした。
考察②
『優木せつ菜は声がでかい』 著者:ぎぬま
優木せつ菜は「火」と言うより「風」ではないかという考察。
『DIVE!』のMVを見る限りせつ菜の「火」は内的な衝動が押さえきれなくなった時に出てくるものなので、確かにせつ菜の存在そのものではないかもしれません。
あと、せつ菜は「水」も結構多用されていますよね。
「水」は菜々のモチーフなのかなと思います。大人しさ、静寂、包容力。
菜々は人に優しいキャラクターなので、その包み込まれるような穏やかさの中から「優木せつ菜」という炎が生まれてくる感じなのかなと。
ただ、炎が常に燃え滾ってたら誰も近づけないですよね。なので地上に出たせつ菜は衝動が爆発する瞬間だけ火が点くのかなと思います。
そして考察されている「風」。
せつ菜が「炎」だと考えると「熱風」。
1期1話の『CHASE!』では、せつ菜の立つステージが溶岩になっていて、そこから爆炎が上がっています。
そして、侑の周りには吹き荒れるような風が吹いています。
ラスラビに入った瞬間、侑が浮き上がるくらいの強風。
その後には、せつ菜が竜巻のように移動する描写もあります。
実際のところ、せつ菜には「風」属性がありそうですね。
この考察で書かれていることは検証で確かめられる上に、視点としても面白いと思います。
火が起こる仕組みを説明しながらせつ菜を紐解く、面白い考察でした。
小説③
※ここから感想を簡略化する予定です。しっかり完結させたいので……ご了承ください。
『青い春の空の下で』 著者:ウグイス
卒業式を前に、副会長とせつ菜がこれまでの感謝を伝え合う一作。
副会長にとってせつ菜は「いつまでも会長」なのがいいですね。きっとL〇NEの登録名も最後まで「会長」なのだと思います。
せつ菜が副会長の冗談を真に受けて焦るところや、副会長が前に進もうとする直前、「優木せつ菜」に後押しされるシーンも好きでした。
副会長は一人でも十分進める人なのに、それでもせつ菜に背中を押されて進んで行くのが面白いなと思います。きっと誰にでも、人生を左右するほど影響を受ける人っているのでしょうね。
せつ菜(菜々)と副会長の間に結ばれている、淡いけれど確かな絆。
その温もりを感じる優しい作品でした。
『私の推しの、新たな幕開け』 著者:Mr.R(リーサ)
張り合いのない大学生活を送る副会長が、せつ菜と出会い直して前に進もうとする話。
副会長と出会うことで、せつ菜自身も「優木せつ菜」に再会出来ているのがいいですね。
思い付きで行動するのは「優木せつ菜」の真骨頂なので、最後に「未定」という状況で終わるのも「らしさ」のある展開でした。
せつ菜なら、ここから新しい物語を作っていってくれる。そんな確信があるから、副会長は彼女を追いかけているんでしょうね。
副会長のせつ菜に対する気後れや、溢れる期待が可愛い一作でした。
『後日生徒会権限で揉み消しました』 著者:時任翼
せつ菜と副会長がイケナイことをしようとする話。
今回はクールな印象のまま終わりましたが、せつ菜も部室で水着になる人ですからね(『にじよん2』参照)。副会長がもう一押しすれば満面の笑みで花火を振りまいていたことでしょう。
ファンとして取り返しのつかない状況まで火が付いた副会長も面白いですね。道中の思考回路は変態(紳士)のそれでした。
サラッと「友達」という言葉を使うせつ菜に対して、副会長が何処まで暴走するか、今後を想像するのも面白そうです。
歩夢まで巻き込もうとする侑と呆れつつ見逃してくれる栞子の様子も良かったです。幼馴染を売るんじゃない、侑……
副会長の語りがとても面白い作品でした。
『背中を押してくれた者』 著者:あわせかがみ
リハーサル中に怪我をしたせつ菜が、ライブ出演を見合わせるかどうか悩む話。
この作品の仕掛けは終盤に気が付きました。
「優木せつ菜」ならどうするのか。
そこから考えると、作中で出した答えは妥当ですよね。
きっと現実でせつ菜を演じる人が取った選択は、キャラクターでしかない「優木せつ菜」と繋がっている。
だから私たちは、あの人が大好きだったのでしょう。
道中で歩夢がせつ菜のために行動するのも、そういうことだったのかもしれない。キャラクターの真剣さ、優しさも伝わってきましたし、何より読んでいて想像を掻き立てられる作品でした。
『青空になる』 著者:SUN
生徒会長として奮闘する栞子が、せつ菜の手助けを受けて後輩の悩みを解決するお話し。
栞子の真剣さ、少し成長したせつ菜の視野の広さ、その辺りが滲み出るように伝わってくる文章でした。
栞子はちょっと硬すぎるところがあるので、人の気持ちを汲み取るのは苦手。でも「誰かの役に立ちたい」という想いを人一倍抱えているのが素敵なキャラクターですよね。
真っ直ぐすぎて空回りする栞子を、やや遠目から導く形で落ち着かせるせつ菜も、生徒会やスクールアイドルを通じて沢山の経験をすることで、この視野の広さを手に入れたのだと思います。
現在進行中のアニメ(※主はスクスタ無知)において、せつ菜はまだこのくらい俯瞰した物の見方を出来るキャラクターではありませんが、作中で描かれる指導者としてのせつ菜の資質は、物語の「未来」として十分に魅力を持った個性だと感じました。
出来ればアニメでも、自身の"大好き"を大切にしつつ、達観した目線も向けられるようなせつ菜を見てみたいですね。
「優木せつ菜」という野望のために前進し続ける人だからこそ描ける、果てしない青空への挑戦を志した作品でした。
『大好きを叫ぶ』 著者:Q坊
卒業式の日、「優木せつ菜」としてステージに立つことを辞めたせつ菜が、もう一人の自分として返り咲くお話し。
気怠そうにしながらもせつ菜を気に掛けるかすみの優しさがクライマックスへの道を用意し、最後に「中川菜々」という導火線に火が点いて花火が打ちあがる、見事な展開でした。
せつ菜はやり切ったとしても、以前残っている菜々の未練。その断ち切り方にはこういった形もあるんですね。
最初はせつ菜が場を振り回していたものの、中盤辺りから徐々にかすみのペースになり、最後はかすみが手を取って進むことで道が開かれ、菜々のオンステージに繋がる流れも良かったです。
せつ菜と同じく強情で意地っ張りなかすみの中には"優しさ"があって、せつ菜には"純粋さ"が備わっている。
かすみは自分にも他人にも優しいから、全部を叶えたくなってしまうのだと思います。転じてせつ菜は純粋さを原動力にまい進するタイプだからこそ、ブレーキも力いっぱいかけてしまうのでしょう。
だから諦める。諦めることが出来る。
だから諦めない。どうしても諦められない。
この物語は、自分を貫くことで誰かを傷つける恐怖に立ち向かい続けた者が贈る、ただの一人間でしかない「中川菜々」へのエールなのだと思います。
その作品の中盤……転換点に「同好会の始まり」が描かれているのも素敵だなと感じました。
似ているのに正反対の二人が織り成すドラマを通じて、私たちへもエールを送ってくれる作品でした。
『勇気が灯る』 著者:あいすこぅひぃ
スクールアイドルとしての終わりを考えてしまったせつ菜が、周囲に励まされて立ち直るお話し。
『A・ZU・NA』の仲間である二人の温もりと、最後に挟まれる夢の中での対話を通して、せつ菜が再び勇気を宿せる構成になっていました。
「優木せつ菜の立ち直り」自体は前半部で終わっていて、後半は「せつ菜が夢の中に現れたともりるを励ます」形になっているのが好きですね。
せつ菜には作品世界で信頼できる、自分を勇気づけてくれる人たちがちゃんといて、その上で現実でもせつ菜のことを本気で想ってくれる人がいます。
ただ、せつ菜は貰いっぱなしではなく、その人たち(ともりるやここちゃん)に勇気を与えている瞬間も沢山あるのだと思います。
せつ菜が手にした作中での暖かい人間関係と、せつ菜の輝きが現実世界にもいい作用を表していることを感じさせる、素敵な作品でした。
『大好きを、あなたに!!』 著者:アルティマ
3つの視点からせつ菜の"大好き"を描く物語。
登場人物が変わるごとに微妙に文体が変わり、常に新鮮さを損なわず話を進めていくのが面白いなと感じました。
せつ菜は……模範的なオタクですね。
メタ発言すら出ちゃってます。
前半のユニークな展開で興味を引きつつ、中盤以降(侑視点~)は「優木せつ菜ファンクラブってどういうもの?」と説明しなくても態度で、心で、感じ方で分かる内容になっていて、楽しく読めました。
歌とダンスでみんなを応援してくれるから"大好き"を伝えたくなる、それが「優木せつ菜ファンクラブ」発足の理由かもしれませんね。
せつ菜の魅力を沢山の視点から伝える、読んでいて楽しい作品でした。
『スカーレット・リベレーター』 著者:VAL
「優木せつ菜」をもう一人の人格として見た作品。
中川菜々が「陰」だとすると優木せつ菜は「影」。
「優木せつ菜」には不思議な力があり、時折菜々の身体を乗っ取っては、彼女の野望を叶えるお手伝いをします。
しかし、余りにもパワーの強すぎる「優木せつ菜」は自分自身を制御できず、集まってくれた同好会のメンバーを傷つけ、菜々を孤立させてしまいます。
一度は「優木せつ菜」を封印した菜々ですが、優しい仲間と侑たちの助けを借りてスクールアイドルとして復活。久しぶりのステージを終えたせつ菜は菜々に励ましの言葉を送り、彼女の元から消えていきました。
菜々がこれからどんなにステージを重ねていったとしても、せつ菜のことを忘れることは無いでしょう。何故なら「優木せつ菜」の魂は、菜々の心に刻み付けられているのですから。
ありがとう、さようなら、優木せつ菜……
……というのはせつ菜の妄想で、この作品は大部分が作中作になっています。せつ菜が自身の物語を振り返り、それにカッコいい設定をつけた形ですね。
最後の『某寄生生物』はミギーのことでしょうか。せつ菜はスクールアイドルの解釈を間違えると『ビッ』ってしてきそうです。
私は『サマータイムレンダ』にこんなヤツいたな(主人公)と思いながら読み進めてました。
作中作の設定も振り返ると「せつ菜が考えそう」な内容になっていて面白いと感じます。最後に璃奈がオチをつけるのも笑いました。
種明かしが来るまでハラハラしつつ、最後はほっと一安心して笑える楽しい作品でした。
『優木せつ菜を探せ!』 著者:ゆるぽソニア
ライブ当日、いなくなってしまったせつ菜を探すために、みんなでお台場を駆け巡るお話し。
各メンバーが自分とせつ菜を繋ぐ場所に赴いていて、積み重ねた時間と結んだ関係の深さを感じます。
せつ菜は急にいなくなってしまいましたが、同好会のメンバーなら「きっと見つけてくれる」と信じてワガママを振りまいたのでしょう。
それだけ信頼できる仲間を見つけたのが、せつ菜にとって一番の幸せですよね。そして文句を言いながら本気で心配しているかすみが可愛いですね。
どこまでも広がる青い空の下、何が起こっても笑える未来を同好会は作ってきたし、せつ菜もまた同じ願いを抱えて走り続けていくのだと感じる作品でした。
『グッドバイアゲイン・マイヒーロー』 著者:レイとしゅしゅ
大学合格も決まり、卒業へ向けてスタートを切ったせつ菜が、最後のライブに臨むまでの物語。
「優木せつ菜」というスクールアイドルを終わらせる覚悟の重さ、沢山の人を支えてきた中で、それでも前に進んで行かなければならない責任の大きさを感じました。
物事(人生)に正解がない中で、進む原動力は信念と憧れ。
せつ菜は信念を持って観客に最後のエールを送り、ステージから去っていったのだと思います。
それを「正しいこと」とは断定できないものの、少なくとも作中でせつ菜の取った行動は「格好いいな」と感じました。
「また会いましょう」と約束をしているのもいいですね。たとえ叶わないとしても、いつか出会う日を楽しみに待ち続けるのも大切ですから。
最後のライブで放ったせつ菜のメッセージは、きっと作中に出てきたファンにも届いている。
心からそう思える作品でした。
『Hello, New world』 著者:なつふゆ
3年生の卒業式を見送ったせつ菜が、物思いに耽る話。
かすみは「思い出なら勝手に置いて行ってくれ」と何も要求しなかったのに対し、果林が「呪いにはしたくないけど……」とせつ菜に薫陶を授けて行ってしまうのが良かったですね。
せつ菜はしっかり者ですが、果林にとって見れば後輩であることには変わりなくて。年長者というのは、いつも残して行く相手が気がかりになるのだと思います。
直接的にメッセージを残して行った果林、かすみにどうすればいいか聞いたせつ菜、何も要求しなかったかすみ。
学年が上がるごとに、相手への影響も大きくなっていますね。
かすみも卒業する時は、下級生に泣きついて色んなものを残して行くはず。
でも、それを「残そう」として残す人はいないのだと思います。
せつ菜がライブをするのも、ただ「やりたい」と思ってやったものが、結果的に人の心に残っているだけですからね。
「残そう」とした瞬間に性質が変わって、場合によっては呪いになる。
それを言語化出来ないまま感じ取っているかすみと、言語化しつつも止められない果林の違いにも個性があって良かったですね。
「仲間でライバル」を根底に置きつつ、互いにリスペクトし合うスクールアイドルの絆も感じる、終わりと始まりの物語でした。
漫画②
『卒業後へのAnser』 作者:ダーマン
卒業した菜々を迎えに来た果林のお話し。
せつかりの身長差良いですね。メガネを取ってせつ菜として果林の胸に飛び込むシーンも躍動感があって好きです。
自宅の鍵を渡したのに信じてもらえない果林のコミカルさというか、肝心なところで決まらない辺りに「らしさ」を感じます。
果林はせつ菜と対等に向き合っているようで、本当は親心を持って接しているように感じます。
11話のセリフもそうですが、「私が3年生」という自覚が一番強いのは果林なのではないでしょうか。ミアは別として。
突き放しつつも気にかけているのが、せつ菜と果林の距離感なのかもしれませんね。
せつかりの熱量を感じる1作でした。
『I am』 作者:來人
キズナエピソード13話をアニメのメンバーで再構成したお話し。
どのコマも表情豊かで、キャラクターの感情が伝わってきました。
両親に認めてもらって音符が浮き始めるシーンがとても好きです。
せつ菜は歌い続けていても、そこまでずっと重苦しい感情を抱えていたんですね。
実のところ、まだキズナエピソードを全ては見れていません。
ただ、作中の出来事を通して「自分は何者か」定め、叫ぶせつ菜のことを格好いいと感じました。
物語に刻まれたともりるの魂も感じる、熱い作品でした。
『優木せつ菜1st ライブに向けて』 作者:焼き鳥
文字通りせつ菜の単独ライブに向けて準備している様子を撮影した話。
絵が可愛い!
キャラクターは全員出演しています。虹ヶ咲メンバーへの愛情を感じますね。
明るく可愛く、その中でライブを成功させられるように頑張っているメンバーたちの真剣さも伝わってきました。
オチは副会長。流石や……
ステージ上で10kgのダンベルを持たせようとするしずくも好き。
楽しみながら準備に励むメンバーたちを描いた、明るく可愛い作品でした。
小説④
注意事項(本章の作者さんは目を通してください)
ここから先の作品はCP色が強い作品も多く、私の知識ではカバーしきれない場合もあるため、その時は思ったことをそのまま書こうと思います。
決して非難や批判はしないのでご安心ください。
それでは次の作品に行きましょう。
『私に出来る事、私のしたい事』 著者:kato
大学以降を見据えたせつ菜が悪夢にうなされるお話し。
この作中でも描かれていますが、せつ菜が将来どんな存在になりたいかは判然としていません。
勉強を頑張っているのは確か。しかし、それをどう活かしたいのかは分からないままです。
ただ、せつ菜には「これ」と言った目標を決めずに一直線で自分のやりたいことに向かっていくスタイルの方が合っているのかもしれません。
縛りがないのは自由と言うこと。自由なのは何者でもないということ。
表現者として幅広く活動できる「アイドル」というスタイルは、せつ菜に会っているのかもしれませんね。
その願望を真正面から受け止める侑の優しさも眩しいものの一つで。
常に目標を追いかけるせつ菜と、せつ菜を見守る侑の二人は、相性がいいなと思います。
二人の幸せな未来がよく見える作品でした。
※作中のせつ菜と侑は恋人同士。
(二人のデートした場所は江の島水族館……だと思います)
『雪は融けて』 著者:からあげ時雨
目標を見失った侑が再起するお話し。
そういえば、侑ちゃんって高校生活で大きな挫折を経験していないですね。
努力して努力して届かなかった経験をした時、侑ちゃんはどんな顔を見せるのでしょう。
この作品では大学受験に落ちてふさぎ込んでしまいましたが、それでも音楽の道を諦めないくらい本気で音楽に惚れ込んでいたからこそ、進む道を見つけられたのだと思います。
浪人と共に失踪した侑を見つけ出したせつ菜は、侑にスクールアイドルとしての道を切り開いてもらっていて。
侑は高校生活の初期にせつ菜からトキメキを貰っています。
二人は互いに大切なものを与え合ったからこそ、どちらにも一緒にいる理由があって、そのために隣り合えるのかもしれないですね。
この作品ではせつ菜と侑は付き合っていないものの、この先もずっと仲良く笑い合っているのだろうなと感じる作品でした。
『大好きを叫ぶ』 著者:ただのかたりべ
生徒会の任を終えたせつ菜が、メンバーの皆にも"大好き"を叫ぶお話し。
歩夢とせつ菜は不思議な関係だと感じます。
歩夢はせつ菜にかなり多くのものを貰っているのですが、せつ菜と一緒にいる時は専らお姉さんなんですよね。
この作品でもそうですが、自然と歩夢の方が会話をリードしていく感じがあってとてもいいなと思います。
歩夢にとっての始まりである『CHASE!』の歌が、巡り巡って何度もせつ菜を救っているのもいいですよね。
あの時に歌っていなければ、物語は始まっていなかったでしょうから。
そうやって物語が始まり、同好会は13人になり、せつ菜にも歩夢にも大切な仲間が出来た。
そのことを証明するために、最後は13人が生徒会室に集合するのかもと思いました。
二人が交差して始まった物語は、これから先も、まだまだ沢山の"大好き"を生んで行ってくれる。
そう感じられる作品でした。
『今までの私、これからの私』 著者:ねむひ
二人のせつ菜が邂逅し、新たな道へ向けたメッセージが託される話。
せつ菜が二人生まれるということに対して、どう向き合えばいいのか……
「突然終わって、突然始まる」とも「道が別れる」とも考えられますよね。
私は「道が別れる」と考えた方が自然かなと考えていますが、いずれにせよ観測できるのは「ここちゃんが声優を努めるせつ菜」だけです。
そういう意味で「この世界でともりるのせつ菜が更新されることはないけれど、彼女も何処かで見守っている」と考えた本作は暖かい物語だと感じました。
4月を越え、5月になり、この物語もここちゃんとともりるで再生できるようになっています。
作品を記した時はここちゃんの影も形も見えなかったはずですが、それでも違和感なく読み進められるのは、作者さんの祈りが通じたお陰かなと感じます。
オリジナリティの中に強い意志を感じる、二人のせつ菜を描いた作品でした。
『いつか未来で。』 著者:らす
「優木せつ菜」の卒業式を描いた物語。
歩夢が同席し、最後にせつ菜が自身の役目を終えるお話しでした。
同好会のメンバーも「急にせつ菜をやめる」と言われたら面食らいそうですが、中でもかすみは相当反発しそうですよね。
歩夢やかすみ含め、どうやってせつ菜の決断を尊重できるようになったのだろうと想像すると、色んな考えが膨らんできます。
・・・
優木せつ菜の区切りとしては、一人だけが登壇する卒業式を終え、眼鏡をかけて本当に終わりという構成になっていました。
歩夢の「菜々のことをこれからもっと好きになりたい」というメッセージに真摯さを感じましたね。
歩夢はディテールに拘るというか、感受性が豊かで細かいところを見逃さないので、せつ菜と菜々を混同することはないと思います。
同好会の菜々との関わりを考えると面白いですが、歩夢は一から積み重ねを始めて、いずれ菜々のことも"大好き"になるかもしれないですね。
そんな未来が見える、歩夢とせつ菜を描いた物語でした。
『ストロー』 著者:まめびーん
せつ菜と同棲している歩夢のお話し。
二人とも社会人ですね。ストローを使って交流しているところに可愛らしさを感じます。
普通の幸せを描いた作品ですが、互いを想いつつ、ちょっと過去を振り返ってまた元気を貰うという、双方向への愛情を感じる物語でした。
せつ菜の提案したストローが歩夢の日常に馴染んでいたり、せつ菜に借りた小説を読んでいたり、せつ菜の方が料理を出来るようになっているのも、生活の中で少しずつ二人が交わっている部分を感じます。
それと、同好会と過ごしたみんなの思い出がストローの色に滲んでいるのも良いですね。社会人になるまでに積み重ねてきた日々を感じます。
せつ菜と歩夢の過ごす日常がどこまでも続いていくのだろうなと感じる、二人の幸せを記した作品でした。
『―アイヲキミヘ―』 著者:Crane
せつ菜に上手く"大好き"を伝えられない璃奈の話。
璃奈が……可愛い!
璃奈は貪欲なので、愛を叫ぶにも「もっともっと」を求めていきそうですよね。
その答えが「次はないかもしれない」というシンプルな事実にあったことは面白いなと思います。
考えて物事を進めることも大切ですが、一番のパワーがあるのは感情に身を任せる瞬間。せつ菜と璃奈はそれを感じるためにスクールアイドルをやっていますよね。
そう言った部分に二人は共通点があるのかなと思います。せつりなは珍しい組み合わせですが、新鮮な内容で良かったですね。
二人の物語が幸せに進んで行きますように、と祈りたくなるような一作でした。
『未来へのPrelude』 著者:とら(拙作)
合同誌に燦然と輝く、崇高な物語を記した人は誰でしょう?
そう、私です!
・・・
はい、真面目にやりましょう。上述した文章の元ネタが知りたい方は『魔女の旅々』で検索ください。
今回のお話しは「ともりるを知らない世代の人が現れた時、新しい声優さんでも自然に物語が読めるように」書いた作品です。
必然に、未来を志向するお話しになりました。
お話しの内容は………書きたいものは書けたかな?
皆さんと肩を並べることが出来て光栄でした。ありがとうございました!
『その熱は、消えない』 著者:ラムッキ
「優木せつ菜」の終わりを意識したせつ菜への、栞子からのアンサー。
途中で挟まれる「AI優木せつ菜」に関するやり取りが面白く、その辺りでもクスッときました。
同好会の中心で会話をしている人と傍でそっと様子を見守っている人に別れているのもいいですね。料理組は大人しい……
最後に栞子が言ったことは、刻まれる「魂」のようなものかなと思いました。
せつ菜をやめれば菜々として暮らす日々が始まるわけですが、せつ菜として暮らした日々に刻んだ「魂」は消えないはず。
同じような「魂」を持つ者が生まれれば、そのうちに「優木せつ菜」を告ぐ人が現れるかもしれませんね。
「優木せつ菜」は襲名性。面白い視点でした。それなら菜々だけが持つ特権的な存在ではないのかもしれません。
しおせつを軸にせつ菜の「魂」に迫る、奥深い作品でした。
(栞子が愚直にせつ菜をトレースしようとするところが可愛らしかったです!)
『大好き!』 著者:白狼姫
『校内シャッフルフェスティバル』で曲を交換した3人の物語。
せつ菜が悩んでいたものは明かされませんでしたね。例えば留学……虹ヶ咲の交換留学制度を使って半年ほど海外に渡るとか。
スクールアイドルの存在しない国では「中川菜々」として振舞うことになるので、せつ菜としてはいられないかもしれません。
それでも何か始めそうですけどね笑
なんたってせつ菜ですから。
さて、物語はかすみんがせつ菜の背中を押して、栞子はギュッとせつ菜を抱きしめる。
璃奈以外の1年生が登場しますが、みんなでこうしようああしようと考えたんだろうなと想像できますね。しず子はノリノリで協力しているはず。
せつ菜を勇気づけるための1年生たちの思いやりが伝わってきました。栞子はちょっと思いやりを越えているかもしれないですが……
最後はせつかすで『CHASE!』。戦友かつ背中を預けられる仲間と言う感じで熱いですね。私も人間的に最もせつ菜に近いのはかすみだと思っています。
最終ページには素敵なイラストも添えられていました。
冒頭の手を伸ばす振り付けを背中合わせで再現。
音符たちとハートマークが混ざり合い、せつかすの調和を表す一枚となっています。
絵と小説で重ね合わせをするとより作品に説得力が出てきますね。とてもイメージが掴みやすかったです。
しおせつかすの終わらない絆を描いた一作でした。
考察③
『最後のうたのその先に』 著者:Stefan_N_P
「多様性」に焦点を当てて虹ヶ咲を読み解く考察。
せつ菜の「夢」に対する捉え方が印象的でした。
歩夢とせつ菜の物語が「多様性」に通ずるという考えも面白いです。
私なりにせつ菜の物語を纏めると……
1期1話:スクールアイドルを諦める(なりたい自分を我慢する)
1期3話:「夢」へと向かって再び走り出す
2期6話:せつ菜のことも「自分自身」だと認める
と言う感じかなと。
せつ菜の放ちたい「光」というのは、どんな自分自身も認められる強さ、人の持つ多面性を後押しできる輝きなのかもしれませんね。
歩夢は1期12話で「侑といたい自分」「侑から離れていく自分」を両方受け入れて、一手に抱きしめました。
その後、2期12話でも「侑から離れていく自分」を再び認めています。
そのお陰で、侑も「歩夢から離れていく自分」を肯定することが出来ました。
歩夢が自分自身の中にある複雑な感情を認められるようになったのもせつ菜の後押しのお陰ですし、彼女に対しては2期6話の前に「光を放つ存在」として成立していたのかもしれません。
そんな歩夢と一緒に「全部抱きしめちゃいましょう!」という曲を歌っていると思うと、胸が熱くなりますね。
虹ヶ咲が多様性に溢れた物語と言うのは、間違いないと思います。『ツナガルコネクト』のMVでも、素顔の璃奈ちゃんとボードを付けたライブシーンを両方魅せるという荒業を使っていますよね。
最後に『夢がここからはじまるよ』と『Future Parade』についての記述もありますが、こちらについては作者さんが多くを語っていないので、私からも感想は伏せさせていただきます。しかし、個人的には二つの曲から新たな側面を感じ取ることが出来ました。
変化することで失うものと新たに見えてくるもの。その両方を私たちの感性で繋いで、虹を咲かせられたら素敵だなと思っています。
せつ菜だけでなく虹ヶ咲全体まで視線を伸ばした、広くて奥行きの深い考察でした。
漫画③
『夜明け前が一番暗いから』 作者:環月紙袋
忘れ物を取りに行くせつ菜の話。
果林に助けられた後、ちょっと照れた様子のせつ菜が可愛いですね。
道を歩んでいく中で、「私は一人だ」と感じる瞬間。
それは時に誤解で、努力や成果を見た人が思いもよらないような自分の魅力を教えてくれたりします。
予測出来ない変化を乗り切れるのは、そうやって友が背中を押してくれるからなのかもしれないですね。
一度は変わっていく景色に戸惑った果林だからこそ伝えられる、暖かい声掛けだと感じました。
果林の背中を覚えている人は一体誰なのか……エマは勿論ですが、意外とミアやかすみも彼女の姿を見て育っているのかも。
せつ菜にとっては果林や歩夢なんだろうなと思います。
あと、ステージに立つせつ菜の後ろ姿がとても格好良かった。
「最強のせつ菜ノート」も見てみたいですね。何が書いてあるのか……
本企画主催、紙袋さんの素敵な作品でした。
『君にYELL!』 作者:ひじ
教員を目指している菜々のお話し。
虹ヶ咲学園に戻っても同好会が存続しているの、とても良いですね。
この世代にも、かすみたちの決めた目標が引き継がれているはず。
さて、物語は菜々先生と生徒(1年生)の対話から始まりますが、オリジナルキャラの生徒も可愛い。
絵のメリハリがあって、力の抜いたコマのお陰で気軽に読み進めることが出来ました(お日様の絵とか)。
その上で、菜々と話をしている時も、同好会のライブに出演している時も、生徒に「優木せつ菜の魂」が引き継がれていると分かるのが良いですね。
一つに纏めてしまいましたが、菜々と話をしている時の元気さを見るに、彼女も「優木せつ菜」に近い性格の持ち主なのかも。
もしかしたら、現役当時のせつ菜のライブを見て、彼女に憧れて、純粋さを曲げずに育ったのかもしれない。そうだったら嬉しいですね。
二人でYELLを贈り合う最後のシーンまで、綺麗に描かれた作品でした。
(重ねて言いますが、オリキャラちゃん可愛かったです!)
アンコール(小説)
『フロンティア』 著者:おしなり
夜道を歩くせつ菜と歩夢のお話し。
比喩を沢山使って想像がどんどん膨らんでいく一作でした。
タイトルから考えると、二人(同好会)の歩んできた道を「開拓」に例えているのでしょうか。
せつ菜はスクールアイドルとしての活動を終えても、新天地を求めて「開拓」を続けていくのかな、と思います。
「まるい」は不安に怯えて、足を止めてしまいそうな状況の例えでしょうか。2期6話で悩んでいた頃のせつ菜を誰かが撮っていたのかも。
お話から察するに、せつ菜と歩夢は「部室」を去るのでしょうね。
「開拓者」の恐怖。
何かが変わる前の暗闇。
せつ菜にとって静寂が訪れる一瞬を、歩夢が抱きしめてあげる物語なのかなと思いました。
(ともりるに対するメッセージも含まれているように感じました)
かなり難解でしたが、どんな展開になるか予想がつかないのもあって、読んでいてとても楽しかったです。
最後に……しず子は有罪。
幻想的にせつ菜の歩んできた物語を描く、前へ進むための作品でした。
『それはいつかの大好きのために』 著者:逢坂らい
最後の作品です。
「普通」を持たない女の子の話。
夢があって、語り合える友がいて、進むべき道がある。
そんな人生を「普通」だとすると、阿斗は「特別」なのかもしれません。
ただ、他の人と一緒になれる道筋を探している。
阿斗が「"大好き"を諦めていない」と確信したから、せつ菜は備品たちを見て微笑んだのでしょうね。
好きなものを持っているのは、多分普通のこと。
だからこそ、阿斗のように中々好きなものを見つけられなかった人は、掴んだ"大好き"を離さない力も強いのだと思います。
教室で夢を語らう人々よりも、きっと純粋で混じりけのない"大好き"。
それを手に入れた阿斗は、どんな道を進んで行くでしょうか。
私の予想を言えば、彼女は「旧同好会の部室が好きな生徒」として2年間を歩むのかなと思います。
阿斗が好きになったのは、あくまで同好会ではなく部室の空間そのもの。菜々と部室で過ごす時間。
その"大好き"を深めていけば、阿斗の学園生活も輝いてくるのだと思います。自分の教室を好きになる日も、いつか来るかもしれないですね。
そう言うと阿斗の過ごす学園生活は「普通」ですが、それでいいはずで。
せつ菜たちも「特別になりたい」と思ってスクールアイドルを続けてきたわけではないでしょうから。
菜々のお陰で掛け替えのない「特別」を手にして、逆説的に「普通」の人生へと歩み出した阿斗。
菜々と親交を深めつつ、良い学園生活を送ってほしいと願いたくなるような、合同誌を締め括る1作でした。
終わりに
改めて皆さん、合同誌への寄稿お疲れ様でした。
どの作品も面白く見応えがあり、楽しく感想を書くことが出来ました。
テーマが「春」ということで、卒業や将来、終わりと始まりに関わるお話が多かったかなと思います。
全ての作品がせつ菜を真剣に考えた上で書かれており、熱量を感じながら読み進めていきました。
書きたいことは感想に全て書いたので、是非読んでいただければと思います。
そして合同誌を主催された環月紙袋さん、本当にお疲れ様でした。
編集を一人で全て担当されたということで、並大抵ではない苦労があったと思います。
その労力を一手に引き受けて私たちの"大好き"を形にしてくれたこと、そう言った場を設けてくれたこと、大変感謝しています。
一参加者としてお礼を言わせていただきます。本当にありがとうございました。今後も合同誌を開催することがあれば、参加したいと思っています。その時はまたよろしくお願いします。
さて、私からは最後に楽曲を紹介して、文章を締め括ろうかなと思います。
普段聞いているアーティストから、せつ菜のテーマソングになりそうな楽曲を2つ選んでみました。
tacica 『冒険衝動』
優木せつ菜のイメージソングとして
Aimer 『Sailing』
菜々からせつ菜へのメッセージソングとして
皆さんの"大好き"を知ったお返しに、私の"大好き"も知っていただけたらと思います。
それでは皆さん、改めて合同誌へのご参加お疲れ様でした。
宣伝(フラワースタンド)
現在『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 にじたび! TOKIMEKI FAN MEETING TOUR 福岡公演』に贈るフラワースタンドを準備しています。
3月31日までクラウドファンディングサイト『ミンサカ』にて協賛を募集中です。
せつ菜とここちゃんを応援するための企画となっていますので、良ければご参加下さい。
SNSでの拡散だけでも助かりますので、そちらもよろしくお願いします。
出演されるお三方のために、かすみ/ミア/璃奈のフラワースタンド企画も用意しています。良ければこちらもご検討ください。
以上です。ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
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