2022秋アニメ1話感想+

10月は中旬に差し掛かり、ほぼほぼ1話の放送が終わった。既に取り沙汰されている作品も、ひそかな盛り上がりを見せている作品もあるが、ともかく1話を見なければ何も始まらない。

2022年の秋アニメは出来る限り1話を見て、感想を記していきたい。後で振り返れるのも重要だし、放送数から考えて1話で視聴/継続の判断をする必要がある。

夏アニメの総評と並行して書いていくのでペース的にはゆっくりになるものの、少しずつアップしていけたらいいなと思っている。それでは早速行きましょう。

レギュレーション説明

1.時系列順に作品を追加。

2.今季初放送でなくても1話を見た場合載せる可能性あり

3.執筆時点で2話.3話と見進めていた場合、そのことも併記する。


1.『ヤマノススメ Next Summit』 (10/15 2話視聴済)

まずは4年ぶりに帰ってきた登山アニメ、『ヤマノススメ』から。

既に2話まで視聴。

いや…やっぱりいい。総集編とはいえ、それだけで現在も通用する面白さがあるし、新規カットも新たな物語を始めるのに相応しい"予感"を感じさせるもので、只管にテンションが上がった。

やっぱさー…全力で「ひなあお」をぶん回す新規カットから1期の映像に繋げられたら、2018年に置いてきた魂が目覚めてしまうわけよ。

その上で楓さんとの出会いを振り返ったり、天使(ここなちゃん)が登場したり…という欲張った構成で、30分という時間を最大限に活かしていた。

3期はキャラクターが感情を爆発させたり、拗れたりといったシーンへ至るまでの"溜め"が不足していた。伏線は張っていたけど、純粋に時間が足りなかった。

その対策として「30分アニメ」として帰ってきたのは正しいと思うし、その判断は3期までに積み上げてきた物語の重み、関係性の大きさを尊重したものでもある。

2話の新規カットも、その後の重い展開に繋がる部分を含めて"2人でいる理由"が伝わってくる内容で大変良かった。4話までは総集編がベースになると思うが、物語を懐かしみつつ楽しみたい。

個人的に今期のエースだと思っている。頼むぞ、ヤマノススメ…!

2.『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』(10/15 2話視聴済み)

三条市協力のDIYアニメ『Do It Yourself!!』。堅実な作りで視聴者を唸らせ、堂々としたスタートを切った。

こちらも見ている人をワクワクさせるような"予感"めいたものを重視する作りで、これから変わっていく二人(せるふ-ぷりん)の関係性と、楽しいDIY活動の未来予想図が手に取れるような内容だった。

ぷりんの矢印が最初から全力でせるふの方に向いてて、せるふのことが気になってしょうがないのは笑った。早く素直になりな…

せるふは天然で、DIYに対しても然程強い興味を示さないけれど、「ぷりんと仲良くするため」にベンチを作ろうと思いつく。

この辺、幼馴染と過ごした時間はせるふにも刻まれていて、自身を動かす原動力になっているんだな、と分かるシーンだった。

せるふは何となく生きているだけじゃなくて、他人に目を向けて恩を返したり、自分のために気を使ってくれる誰かと一緒にいようと努力している。

それが、作品に体重を預けられそうな部分だなと思った。主人公に骨があると安心して見られるよねー、やっぱ…

米田監督と脚本の筆安氏がタッグを組んで、非常に落ち着いた物語を展開していたのもポイントかな。ドローンが縦横無尽に飛んでいたり、せるふの家には無数のトロフィーがあったり、気になる部分を残しつつ、それでも面白い。

そういう伏線を少しずつ回収して、最後まで笑って終えられるような作品になったらいいなと思う。世界観はやっぱ格差社会的な部分があんのかなー…

「進歩的な考えと和を尊ぶ考えが共存してて、家庭(学校)によって持っている色が違う」とかなら幸福でいいなと思うのだけど。それは少し望みすぎかな。

2話の話を少しすると、ぷりんが「何もしなくていい社会になるのよ!」と言い切ったのは、怪我ばっかするせるふを守るために定めた目標が、そのことを忘れるほどの独りよがりになっても続いているのかなと。

正直、矢印が重すぎて見るたびに悶えている。ぷりん…早く気づけ…!お前はせるふのことが滅茶苦茶に好きな女だ…!!!

そういう関係性の捻じれが『DIY』という主題に絡んでどこまで転がるのかも、楽しみに見ていけたらいいなと思う。3話以降もリアタイに近い速度で追っていきたい。楽しみにしています。

3.転生したら剣でした(10/24 3話視聴済み)

一度は名前を聞いたことのある「なろう」コンテンツ、C2Cの作画を携えて堂々発進!

ともかく作画の切れ味がよく、安心して見れる1話となった。

「剣になった男」の能天気でカラッとした無双物語と、フランの置かれている屈辱的な状況が交互に描かれ、未来の明るさと、そのために解き放たれるべき鎖が強調されているのは良かった。

「剣になった男」の無双物語はある日パッタリと終わりを告げ、1ヶ月という時間を暗い大地の上で過ごし、その結果としてフランと同じ目線に立つ権利を得る。

「俺を手にしたヤツを強くしてやりたい」という傲慢をポッキリ折られ、剣を抜いてもらわないと何もできない"武器"に戻ったからこそ、望んだ役目を果たせるのは面白い。

尚且つ主人(フラン)は"師匠"と呼んで男を慕ってくるしな…矛盾だらけの人生だ。

そういうヘンテコな出会いと救済に包まれたからこそ、強く世界を生きていく中で、徐々に本物の"師弟"になっていく二人を見守ることが出来たらいいなと思う。

クズの命がモンスター並みに軽く、殆どゴブリン扱いなのはC2C作品の真骨頂か。あんまC2Cのファンタジー見れてないけど、モブに厳しいイメージがある。そういう容赦ない描き方で緊張感出しつつ、フランと「剣になった男」の成長が見られると面白そう。

その辺りは3話現在、期待通りになっている印象。4話以降も楽しみですね。

4.宇崎ちゃんは遊びたい!ω (10/24 4話視聴済み)

何かと話題になりやすい「宇崎ちゃん」がパワーアップして帰ってきた!クリスマスに浮かれる宇崎がメチャクチャに可愛い!!!!!!!!!

…ってのは俺らの見た幻覚で、宇崎は相変わらず桜井がいなきゃバッタリ元気なくなるし、いたらいたではしゃぎ倒して、最終的には墓穴を掘る。

その"いつも通り"な1話が堅実に「宇崎ちゃん」の世界を表現していて、俺らの好きなモンをたっぷり浴びせてくれる内容だった。

まー、「宇崎ちゃん」は元気じゃないとな。そっちの方が可愛いってもんよ。

たっぷりの砂糖に劇薬混ぜたみたいなテンションで話が進み、亜美さんも乗っかる形でモラトリアムが爆ぜていくの、相当に楽しい話運びだった。

この作品は「宇崎ちゃんは遊びたい!」ってタイトルに相当忠実で、宇崎は純粋に楽しいから桜井と一緒にいるし、家にも押し掛けるんだけど、深層心理ではしっかりと性の対象として意識してる。

その辺をマスコットキャラクターこと"クソキャット"が上手くフォローしつつ、分かりやすい物語の筋を提示してオチに繋げる流れは、1期と同じ感じかな。

1期だといる意味が分からんかったけど、榊の解説とか"クソキャット"の顔芸は「ここはこういうシーンですよ」って説明するために存在してるんだな。有難いけどちょっと過保護ね…

私は「宇崎と桜井の関係を見届けたるッ!!!」って心意気で臨んでるし、作品側に感情を指定されるのは好きじゃないな。

「下がれクソキャット…俺は二人のモラトリアムで"尊死"するんじゃ…!」という対抗意識を芽生えさせつつ。まぁ、大事なシーンではきっちり引いてくれるの分かってるんで、その辺は安心してるんだけど。

本編以外だと、OPのラストカットはかなり好きだなと思った。宇崎と桜井が轢き倒されてもインパクトのある集合絵は、作品の広がりを感じられてとてもいい。

ただ、OPで強調してるような話の広がりは4話現在感じられなくて、どっちかっていうと徐々に二人の間にいる人たちが増えて行ってる状態ではある。後半でひっくり返されるような展開があるのかなー。そういう部分にも期待だ。

アバンで私たちが見た幻覚は、果たして作品が辿り着くべき未来か、捻じ曲げて蹴っ飛ばすための夢か。最終話までしっかりと見届けて行きたい。

5.チェンソーマン (10/25 2話視聴済み)

長くSNSを賑わせてきた作品がついにアニメ化。

デンジの軽薄で稚拙な行動をやや突き放した目線で描きつつ、その中でも強く生き抜いている一人+一匹の関係性を情緒豊かに描く1話だった。

ポチ太が可愛い井澤ボイスで喋り出した時は驚いた。どう考えても渋いオッサンが出てくるとこだろ…

全体的に"契約"が大事になっているエピソードで、命を繋ぐための"契約"だったデンジとポチ太の関係は、やがて命を差し出してもいいと思えるような"友情"に発展していく。

けれど、デンジの純粋すぎる心遣いは世の中の"悪意"に対して無力であり、力を手にしても暴力団にこき使われ、最後には「ゾンビの悪魔」の奇襲を受けて殺されてしまう。

父親と暴力団が交わしたもの。暴力団と「ゾンビの悪魔」が交わしたもの。

そういう"悪意"に包まれた、人を虐げるような"契約"を乗り越えて、デンジとポチ太の積み重ねてきた関係性が勝利するエピソードだった。

その代償に、目に見える「ポチ太」という存在は失ってしまうんだけども。"契約"を交わすのも"夢"を追うことも、何か大切なものを失う可能性がある。そういうことを突き付けてくる1話だったなー…

それでも生きなきゃいけないデンジに示されたのは、またも"契約"。マキマの提示する内容はあまりにも普遍的な幸福で、デンジにとっては全てが初体験の"夢"のような生活だ。

その"夢"を提示してくれたマキマは、果たして天使か悪魔か。そういう話にもなってくるのだろう。

デンジは"契約"の先に得たものも沢山あって、それはポチ太との絆もそうだし、マキマとの出会いも同様だ。

それが結局、幸福に行き着くのか。やっぱゴミ箱へ放り込まれる死体に逆戻りするのか。

それが「チェンソーマン」の物語を結論付ける部分になってくるのだと思う。

MAPPAのグロい絵を見るに、あんまハッピーな結果は期待できそうにないけど。多分ストーリーを追うごとに見えてくる(であろう)マキマの考えとか、デンジの胸への執着(2話)とか、まぁそういうところを楽しみつつ見ていきたい。

間違いなく面白くなる作品だと思います。3話以降も期待。

6.先輩がうざい後輩の話(10/25 2話視聴済み)

1年越しの視聴である。ずーっと避けてきたけど、内容的に相性良さそうな気はしてたからね…

『チェンソーマン』と同じような時間に録画されてたので、セットで視聴することにしている。グロいの苦手だからさ…

2年目で気合十分の双葉はなかなか可愛く、先輩の武田も頼りになる存在で、安心して見れる感じはした。

多分このお話は徹底的に「非対称」をやるお話で、二人の目線がぴったり合うことは1度もないのだろう。桜井と風間にしても同じじゃないかと思う。

その分、「非対称」にある奥深さは多く見たいところ。普段高いところを完全に占有されている双葉が、何かの拍子に武田の上に来るようなサプライズがあると嬉しい。

まぁー、なんせ安心安全の「動画工房」にシリーズ構成が成田良美さんだから、芯の強い部分は見せてくれると思う。延々と中身のない映像を流すようなタイプでもないしな…

双葉がぴょんぴょん跳ねながら威張ってる中にある不安とか緊張を武田はよく見てて、言われたことに出来るだけ応えているし、支えなきゃいけない部分はきっちり支えてくれる。

逆にいつも武田の背中を見ているはずの双葉は、肝心なところで武田のことが見えてなくて、支えてもらって漸く「守られている」ことに気づいたり、酒の席で大胆な告白をしちゃったりする。

その辺の視線の噛み合わなさとか、武田の視野が思っているよりも広くて、多くのことが見えている部分は1話できっちり描けていたと思う。

それが恋愛関連になると決定的にすれ違っているのも面白いところなのだけど。身長差もあわせて”ズレ”を楽しむ作品なのかもしれんね、これは…

桜井/風間コンビも「二人の間だけにある視線」ってのはきっちり元気で、これから先にある物語の"予感"は提示してくれていた。

総じて「思ったよりいい」と言える内容だったと思う。これなら楽しめそうだ。2話はまさかのチェンソーマンと内容被り(胸)で笑った。3話以降も期待してます。

7.ぼっち・ざ・ろっく! (10/26 3話まで視聴済み)

『まんがタイムきららMAX』から久々のアニメ化。

ぼっちちゃんを中心としたヘンテコバンドライフが転がっていく中で、3人の未来は楽しいものになりそうだと予感させる1話だった。

ぼっちちゃんは妄想のタガがすぐに外れるし、トップスピードから我に返る時の"落差"で羞恥心もゴリゴリ削られていく。

「こりゃ人付き合い向いてねぇわ…」と視聴者を諦めさせるには十分な"凄み"を見せつけつつ、真面目なモノローグで純真な部分もちゃんと見せる。

その二面性が持つバランスはあまりに不釣り合いで、でも"一瞬の前進"が大きな成長をもたらすように見える、不思議な作品だなぁと思った。

ぼっちちゃんの成長物語を彩る絵はともかく元気で、妄想はどこまでもぶっ飛んでいくし、ぼっちちゃんの感じる惨めさとか、死にたくなるくらい恥ずかしい気持ちにもちゃんと寄り添ってくれる。

その上で「一般人」の虹夏ちゃんやリョウさんを描く絵もしっかり可愛く、日常作品を多くアニメ化してきた"きらら"の温かい雰囲気を壊さないことにも成功している。

この辺は流石の『Clover Works』で、最後までぼっちちゃんの恥まみれ、けど楽しいことだらけのバンドライフをたっぷり描いてくれそうな安心感があった。

脳内に小宇宙持ってて現実からすぐに離陸していくぼっちちゃんの資質は、2話以降で真価を発揮した感じだなー…2話のアバンは狂気を感じさせるものがあった。

その辺をフォローしてくれる虹夏ちゃんやリョウさんの"深み"をどこまで出せるかも、この作品を見るにあたって楽しみにしたいところ。主役一人に全部持っていかれちゃ勿体ないぜ…

3話で喜多ちゃんも登場し益々面白くなりそうな『ぼっち・ざ・ろっく!』、4話以降も楽しみ。

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