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【読書メモ】サードドアー精神的資産のふやし方

誰も書いていないなら、いっそ自分で書くのはどうだ?

いつだってそこにあるのに、誰も教えてくれないドアがあるーー18歳の大学生が、ビル・ゲイツ、スピルバーグ、ウォーレン・バフェット、レディー・ガガなど世界屈指の成功者たちに突撃インタビュー!

アメリカで大ベストセラーとなったアレックス・バナヤン著、「サードドアー精神的資産のふやし方」。世に蔓延る成功譚とは一線を画した、そして成功者の話にはあまり出てこないことが書かれている興味深い一冊。

成功者へのインタビューや対談かと思っていたが、実際読んでみると著者が著名人へのインタビューに辿り着くまでの奮闘記であった。スピーディーな小説を読んでいるように引き込まれ、夜更かしして一気に読んでしまった。

サードドアとは

筆者は、人生には3つのドアがあると言う。

ファーストドア:99%の人が並ぶ正面入口。長い行列が弧を描いて続き、いつ入れるかわからない。人生を我慢しながら過ごしていくルート。

セカンドドア:VIP専用の入り口。億万長者やセレブ、その縁故者だけが利用できる、いわゆる勝ち組のルート。

サードドア:いつだってそこにあるのに、誰も教えてくれないドア。自分だけに見つけられる抜け道。

正攻法のファースドアを通ることができれば、ある程度の成功は約束されているが、いつ通れるかわからないし、通れるかもわからない。特に真面目で安定志向な日本人は、コツコツとファーストドアに向けて進み、並んでいるのではないだろうか。本書では、そのタイトルの通り、第3の抜け道があるということを紹介している。決められたルート以外に、実は近道や抜け道があるということを指摘しているのだ。

そして、こうすれば良いというはっきりした答えは書かれていない。当然だろう。100%成功するマニュアルがあれば、世の中は成功者で溢れかえることになる。ただ本書が数々の成功者の体験や言葉をもとに、人生を変えるヒントやモチベーションを与えてくれる自己啓発本であることに変わりはない。

忘備録として、印象に残った点をメモしておく。

・チャンスをつかめるのは準備していた人だけ

チー・ルー(元マイクロソフトのエグゼクティブ):運は、あるとき突然訪れるようなものではない。バスみたいなものさ。一台逃しても必ず次のバスが来る。でも準備しておかないと、飛び乗ることは出来ない。

物事が起きてから対処しようとすると手遅れだったり、行動するのに大きな不安を感じるものだ。しかし準備をしておけば、不安は軽減され、時には好機にもなり得る。コロナ禍で多くの人が先の読めない不安、見えない敵に恐れる昨今、「準備」さえ出来ていれば、大きなチャンスが到来しているのかもしれない。

・自分の経験をどのように語るか

エリオット・ビズノー(起業家):誰だって生きていれば何かしら経験する。それを面白おかしく語れるかどうかで、違いが生まれるんだ。

筆者は大学一年生の期末試験の前日に、アメリカの有名なテレビ番組に出場して優勝し、賞金を獲得、それを売却して得た金を元に、世界屈指の成功者たちから「自分らしい人生の始め方」を学ぼうとする。このような経験があるのに、始めはそれをうまく話すことができず、周りから興味を持ってもらえなかった。自己アピールで相手に印象づけることは、いつの時代でも必須スキルのようだ。

所感

絶対安全、幸せだと思ってた道が、昨今、危険だらけになっている。皆が群がって進む、かつて良しとされたファーストドアこそが危険で、そこを行くと皆一斉に落ちていく可能性が高い。それ故セカンドドア、サードドアを探したほうがよいことは明白だ。大学を出て大企業に就職して、、、といったレールを進むべきだとされてきたが、テクノロジーの発展により世界の変化のスピードは加速しており、さらにパンデミックもあり経済が悪化する状況では、特に若い人たちにとってサードドアは重要になってきている。今後は行動したものだけに、自分の進む道がサードドアへと続いていくだろう。

動いてみると得することは、意外と結構あるものだ。実際にやってみて、成功体験を重ねていけばわかることである。もちろん、一回目の挑戦で成功することはほぼない。最初は失敗することも多い。しかし、失敗には経験が残る。そして、失敗とは結果ではなく、結果を出すまでのプロセスなのだ。すなわち成功するには、失敗の数を一定数積み重ねることを避けられない。しかし失敗をしても成功しても、得られるものはある(むしろ失敗からのほうが、学びは多いだろう)。

NOTEを読むような人には、すでに本業に加えて副業、兼業、サイドビジネス、ボランティアなどなにがしかの行動を起こしている人が多いだろう。本書は、何をしたら良いのかわからないという人こそ、読んでみるといいのではないか。目の前に、目には見えない答えがあっても、気づく人と気づかない人がいる。この本は、気づかせる要素が多いと思う。成功者は特段普通の人と変わらないが、皆サードドアを通るために、地味なコネクションを大事にしていたことがわかるだろう。

著者の行動には狂気を感じることもあった(祖母や母との、大学の履修科目や卒業の約束反故など)が、突出した成功者というのは、自分の信念に従いこのような行動を起こせる人なのだろう。最初に何かを始めるときは、とてつもなく大変だ。最初の挑戦は苦しい。痛みも感じるだろう。しかし、挑戦し学び続ける。コツコツと継続していく。そうすることで習慣化され、苦労を感じなくなる。やらないことの方が苦しくなるのだ。小さな挑戦を継続していくことで、大きな成功を手にできる。イチロー選手は生まれつき神がかり的な野球の天才ではなかった。しかしイチローは、「誰でもできること」を「誰にも出来ないほどの量を継続した」から偉大な結果を出せたのだから。




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