【妊娠期および授乳期の乳がん】


疫学
妊娠期・授乳期の乳がんとは「妊娠中から出産1年以内あるいは授乳中に診断された乳がん」と定義され、3000〜10000例に1例といわれ、妊娠期に発症する悪性腫瘍疾患としてはもっとも多い。また、その頻度は出産年齢の高齢化により増加傾向にある。

予後
妊娠期・授乳期乳がんは進行がんで発見される例が多く、5年および10年生存率は対照群と比較して予後不良と報告されていたが、最近はリンパ節転移、腫瘍径、年齢を考慮した多変量解析では予後に差がないとする報告が多い。
妊娠を中絶することが乳がんの予後を改善することはない。

診断
妊娠期・授乳期の乳房は乳腺組織の増殖および間質の浮腫がおこるため、触診による診断能は高くない。
造影剤を使用する検査やCT検査は絶対的禁忌ではないが、胎児への影響を考慮すると避けたほうがよいとされている。必要性を十分に考えて、行うかどうかを決めることが大切である。
このため、病気診断が正確に行えない可能性がある。


参考・引用書籍

学研 乳がん患者ケア パーフェクトブック

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