バブリーOLはいつ消えた?#2〈1993年〉ギャル草創期 バブリー末期
今回の参考資料は「JJ」1993年2月号。
※下記リンクから、表紙が見られます
憧れのスーパーモデル パリコレ編
この当時女性誌界隈では、
スーパーモデルブームが起こっていました。
この記事はパリコレ会場の、スーパーモデルの私服スナップ集です。
懐かしのナオミ・キャンベルとクラウディア・シファー。
ファーコートやシャネルバッグで、さすがのゴージャスぶりです。
でも他のモデルは、意外とシンプル。
スタイルその他、到底かなうはずもないんですが
真似したい!とうっかり思ってしまうコーディネイトの数々。
もちろん良いものを着てるんだろうけど、それだけじゃない。
やっぱり素敵だなーとしみじみ思った、スーパーモデルのスナップ記事でした。
「小物で変化を」大特集
スーパーモデルのスナップを見て、多少意識高くなってからのこの特集。
やはりというか、安定のギラギラっぷり。
(どこかでそれを期待していた私がいる……)
見開きページに、全面シャネルの小物。
ポケットティッシュくらいしか入らなそうなミニバッグが、10数万円。
なのにどうしてこう、皆シャネルがほしい前提なんですか……?
次の見開きは
「スチュワーデスの愛用ブランド”フェラガモ”」
スチュワーデスというのは、航空機のキャビンアテンダント(CA)のことです(念のため)。
スチュワーデスの読者モデルいわく
「どこにはいていっても浮かないのがフェラガモの魅力。特に黒のリボン靴はオールマイティの一足だと思います」
どこ行っても浮かないなんて、当時でもそんなわけはないだろうと思います。
(リボン靴ことVARAは健在 ↑)
その後に続くページも、ヴェルサーチ風の柄のワンピースやブラウスなど、現代の感覚では派手すぎるアイテムが次々紹介されます。
これが20代の女子のファッションアイテムとして紹介される感覚はやはり、、
バブルだなぁ。と思ってしまうのです。
↓ ヴェルサーチ柄って、このイメージ
と、ゴージャスさにめまいを起こしていた所に、突如毛色の違うブランドが現れました。
ギャル御用達ブランド・アルバローザです。
唐突でよくわかりません。何を暗示しているのでしょうか……
渋谷生まれのNEW FASHION カンカジって何?
すると、続いての記事がこれでした。
冒頭でいわく
「いつも若いファッションをリードする渋谷。(中略)また新しいファッションスタイルが女のコの間で話題になりはじめました。その名を“カンカジ”。活発な女のコたちのステキなファッションを分析してみましょう。」
おわかりの通り「カンカジ」という言葉は流行らなかったし、このリード文も、かなり時代を感じさせます。
でもこの記事の取り上げるファッションは、かなり現代に通じるものなのです。
ファッションは2通り紹介されていて、
その片方に目がとまりました。
その名も「パラギャル系」。
(どこかで聞いたことがあります)
手編み風ざっくりニットをベルトでウエストマークし、
ボトムスは膝上20センチ前後のミニスカート、ショートパンツ。
足元は、ウェスタンブーツ。
足元のブーツこそ、ミドル丈でボリュームは控えめですが、このバランスは明らかに、あの見慣れたギャルファッション……!
読者モデルは皆、大学1年か2年の年齢。
私の姉と同じくらい。
姉が地方都市で、バブリー寄りの流行を継続していた頃、
最先端の渋谷(?)ではこんな、ギャルのはしりのようなファッションが勃興していたのか……
計4ページの、表紙にタイトルも出ない小さな記事に、明らかな数年後への伏線を発見しました。
(とはいえ、
これがギャルファッションのはじまりとは決して断言できません。
カジュアル寄りの雑誌、ティーン誌などの他誌で既に取り上げられ、そちらでの流行に押された形なのかもしれません。
その辺は、一誌だけを取り上げて調査している限界ということで、ご了承ください)
先細パンツの完璧バランス
今でいう「テーパードパンツ」を「先細パンツ」と名付け、そのコーディネイトを紹介する記事です。
読者モデルのコーディネイトは、派手さはないけど素敵。
「ヒップの大きいのが悩みでパンツのシルエットには気を使う」
「下半身をスッキリとみせてくれる細身のストレートを選ぶ」
など、自分のスタイルに応じて似合うものを選んでいるからでしょう。
この後のモデルの着用ページに、モデルデビューまもない梅宮アンナさんが登場します。
まだ数少ないカットですが、ただならぬオーラを感じます。
地味ですが、地に足の着いたおしゃれ感がなんだか気になる記事でした。
(あのコ素敵)のスーツです
今年の流行スーツを、予測する記事。
どれもフォーマルすぎて、
今なら、決して普通には着られないデザインですが
(皇室の方なら違和感ないかも……)
それでも個々のデザインは、なかなか素敵です。
モノトーンありパステルカラーあり、清楚な柄物あり、ビビットな原色あり。ジャケットも短め丈だったりペプラム(ウエストを絞って腰のあたりがひろがるデザイン)になっていたり。
が、この記事の気にくわない所は、採点欄があるのです。
40歳以上の男性
20代の男性
先輩OL
からの……
それぞれのスーツに、3者からの採点が添えられています。
現代の感覚では、かなり異様です。
誰得なの?という感じ。
する側も、こんな若い娘のスーツを嬉々として採点していたとは思いたくない。
おそらく、職場にふさわしいとかデートにふさわしいとか、そういうことを示したかったのだろうとは思いますが。
せっかく素敵なスーツなのに、
誰かのために着ているような窮屈感が見え、92年に引き続き、もやっとした気分になってしまいました。
まとめ
スーツやハイブランドを中心とした、バブリーテイスト優位の流行は変わらず。
でも、少しずつ90年代後半への伏線というか、新しいものが見え隠れする1993年でした。
「カンカジ」で見られたギャルファッションの芽は見逃せません。
でも私が次世代と目しているのは、実はギャルファッションだけではないのです。
スーパーモデルのスナップに見た、シンプルなアイテムを使った着こなし。
「先細パンツ」の記事で示された、地味ながらシルエットに工夫をこらした着こなし。
どちらも、90年代後半の流行に通じるものがありました。
1993年は、シャネルなどのハイブランドを推す華やかさの一方、
華やかなスーツを着ながら、一方で上司や先輩の評判を気にするような窮屈感がありました(92年と同じく)。
この「管理されてる感」は、流行末期ゆえなんでしょうか。
学生時代は自由奔放におしゃれを楽しんでいたバブリー女子たちも、就職すると上司や先輩の目を気にし、おとなしくならざるを得ない。
常々思うのですが、おしゃれや流行は
大人に見つかり管理された時点で、実質終了です。
そういう意味では、街では生き残っていたバブリーファッションは、この時点では、既に魂を失っていたのかもしれません(?)
次回1994年、次世代にどうバトンが渡るのか見極めたいと思います。
ギャルファッション、そしてシンプルスタイルの動向やいかに。
またぜひおつきあいください!