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「今、此処に在ることに感謝」 #12
子どもの頃、よく好きで見ていたサバンナなどで暮らす野生の動物特集。
ナショナルジオグラフィックで放映されていたので、大人になって久々にそれ系の番組を見た。
何よりも驚いたのは、子どもの頃にはなかった夜行の行動を赤外線カメラにて鮮明に見ることが出来るようになっていたこと。
今回の特集は、ザンビアに縄張りを張る若きヒョウの女王の特集で、
子を守りながら必死に生きていくその姿に感動を覚えた。
特に生物学に詳しいわけではないのでびっくりしたのは、主人公のその若きメスのヒョウが狩った獲物が次々と雄のヒョウに横取りされてしまうということ。
必死の思いで何日もかけて得た獲物。
分け合うでもなく、すぐに雄が全てを貪る姿は、野生界の暗黙のルールである弱肉強食の厳しさをマジマジと見せつけられた。
やっとの思いでご馳走にありつけたと思っても、ハイエナが邪魔をしてハイエナにまで横取りされる始末。
しかし、その女王であるヒョウが一度だけ雄のヒョウに牙を向いた。
それが、子どもに獲物を分け与えている時だった。
それまで何度も何度も雄のヒョウにすんなり譲った獲物を、子どもの危機が迫った時だけは、その恐怖心からおしっこをちびりながらも歯向かった。
これぞ母は強し。
そして、激闘の末、雄のヒョウは追い払ったものの、子どものヒョウは木の上からの着地に失敗し、なき命に。
そこから女王のヒョウはお腹を空かしているにも関らず、我が子の亡骸をそれを狙う獣たちに食べられないよう、まるで我が子をともらうかの如く傍に寄り添う。
普段生活していると、当たり前のようにご飯にありつけ、当たり前のように寝ることが出来る。
しかし、野生の世界では常に生きるか死ぬか、食うか食われるかが共存していて、そこには”生きる”ということへの本能的な欲望が見てとれ、なんとも美しい。
”生きる”ことへの欲望。
なんとなーく生きている人がいたとしたら、一度ナショナルジオグラフィックを観ることをオススメする。