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騎士団長殺し読了

久しぶりにパソコン開いたら、ぼちぼちとオリンピックあるのを知った。
snsをやらなくなり、ニュースに触れる機会がめっちゃ減ってしまったからだ。
新聞もテレビもみない。最近はポメラを開いていたのでパソコンは電源を入れることもなかった。
ここのところ楽しみと言えば、「騎士団長殺し」をせっせと読むことだった。
沖縄の夏の一大トピックは「甲子園」だけど、それも県予選が終わったことを知らんかった。
ちょっとびっくりするくらい情報がはいってこないことに驚く。
せめて朝はパソコンひらいてニュースチェックをしようと思った。
まじで。

そして騎士団長殺しは面白かった。ほとんどの謎が明らかにされないままにいつもの村上春樹的な終わり方だった。でも、読ませる力は健在でずっと面白かった。わけわかんなかったけど面白かった。

今から30年近く前に、ぼくは18歳で「ノルウェイの森」に出会い、死ぬほどハマってしまった。
これは「100%の恋愛小説」などではなく、人生を語る小説であるとみんなにも古本屋で買って配ったりしていた。
そして見事にハルキストとなって、痛い青春時代をパンパンに肥大した自意識を持て余して「やれやれ」と気取ってるくせに性欲に振り回されて恥ばかり書いていた。

大人になり(なれてない気もするけど)、こどもが産まれ、育てているうちに春樹的価値観を受け付けなくなってしまった時代もあったけれど、唐突に先週くらいからまた村上春樹の本が読みたくなって、大人買いしてきた。
ぼくが読んでいた長編は、海辺のカフカまで。
そこからはちゃんと手に取っていない。

なので、うまく自分に合うか不安だったけれど、見事にまた僕の身体が気持ちよく村上春樹の世界に入っていった。

そんでもって「騎士団長殺し」は四日かけて読了。非常に面白かった。

推進力。「ヴィーグル」と春樹氏は書いていたけれど、文体という乗り物に読者を載せてぐいぐいと物語の中に降りていき、ずっと飽きさせないで読ませる力は本当に強いと思った。
しかも今回は一人称だった。ぼくは一人称の村上作品が大好きだ。

エッセイなどでよく語っているけれど、春樹氏はプロットなど考えずに書きながらどんどんと自分の中に降りていき、「井戸の中に」そこから何かを引き上げて帰ってくる。
それがよくわかる一作だったと思う。

暗い中で先の見えない物語を読者も作者も一緒になって手探りで進んでいく感じ。

そしてそれは個人という闇の中を降りて行って、どんどんと壁を抜けて日本人として持っている共通の無意識のようなものに触れ、さらに降りて行って神話的な人類共通の何かにのことまで表現しようとしている。
そういうところも、外国でも評価されているのだと思う。

そして僕の本棚には、買ってきた1Q84が未読のまま控えているのだ。なんと幸福なことだ。
昨日読み終わったから、ちょっと村上作品の毒というかパワーみたいなものを時間を置いて、身体から抜いてから読み始めようと思う。


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