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いその、M-1グランプリ2024を観る。所感

ワシじゃ。
麻雀SNS界の邪悪なお兄さんこと、いそのじゃ。

ワシ、M-1グランプリがMリーグの個人戦じゃと勘違いして楽しみにしておりました…。蓋を開けてみたら漫才の大会でした。サルスケホリシブも参加しておらんようじゃし、知らん人ばかりじゃなと渋々観始めたのじゃが、これがなかなかに見ごたえがあった。じゃから大変恐縮じゃが、ワシなりにnoteにレビューをまとめてみます。ガチ勢のカチコミは本当に勘弁してくだされ。

一組ずついくぞ。

予選

令和ロマン

このコンビはM-1を「攻略する」という姿勢で臨んでいるのが、もう既に他のコンビとは性質が全く違うの。漫才の話術と構成力も当然のように高いうえに、このM-1という舞台で刺さりやすいネタを計算しつくして準備しておる感じが伺えた。
昨今のM-1は観客にも審査員にも分かり易いネタのほうが好まれる傾向があると感じておるが、まさに皆が共感出来て笑いやすいネタを持ってきておるのが流石じゃなと思った。受け手によって好みが分かれる暴力的なネタや下ネタなどを一切取り入れておらんのも徹底しておる。
1組めはどのコンビが出てきてもなかなかハマリ切らないものじゃが、去年が前振りになって十分活用できていた。
いその的には97点。素晴らしい。文句なしじゃ


ヤーレンズ

個人的にはかなり好きで期待しておったのじゃが、順番どうこうではなく、少しネタが難解じゃったのとテンポが速くて理解が追いつきにくそう、それによって笑いが減っておる感じがした。実際そこまで難しい漫才をしているわけではないのじゃが、やはり令和ロマンくらいの分かりやすさが好まれるのじゃろうなとあらためて思った。
歌のフレーズネタが多く、ピンと来なかったら部分的に置いて行かれてしまうのでやや没入感は下がるし、若干しゃべるペースも早かったように思う。少し前に、小島よしおが「芸のBGMのテンポが速いから少し下げたほうがいい」とアンジャッシュ渡部にアドバイスを受け、それを実践したらウケるようになったという話があった。それに近くて、万人に分かりやすいテンポよりも少し早く進行していて、加えてネタ自体も少し考えさせる要素や知識が必要な要素があるボケが多かったので、より難解になって笑いが半減してしまった。みたいなことを海原ともこも言いたかったんじゃないかなとワシは勝手に分析した。
いその的には94点。



真空ジェシカ

もともと真空ジェシカの漫才のフォーマットは大喜利を羅列した漫才コントであり、漫才として作りやすいので最近の若手ではひとつの主流になっている。そのため審査員からしたら飽きがきているジャンルではあり、なかなか点数が伸びにくい類の漫才じゃと思っておる。真空ジェシカは4年連続で決勝進出しておるので芸風は十分知れ渡っておって鮮度がなく、その上、難解なボケが売りじゃから番組的に好ましい漫才と乖離しておって、そもそもがかなり不利なコンビじゃよなあとは思っていた。

じゃが今回!一個一個のボケとツッコミが分かりやすくなっていて、最後まで外すことなく笑いが起きていた。さりげにテンポもゆっくりになっておったし、このコンビも令和ロマンのように、M-1に向けて研究し、ネタを相当精査してきたんじゃろなというのがワシには十分に感じられた。ワシ、すごい笑ったしすごい感動もしたわ。
いその的には98点。このフォーマットの漫才でできる最大値を叩いておると思った。これ系の漫才にはなかなか厳しい評価をする博多大吉が昨年は真空ジェシカに高い点をつけていて、今年さらに高い点をつけておったのはフォーマットで判断しておるのではなく、その中でできることの精度をしっかり見てくれているなと思ってちょっと嬉しかったの。



マユリカ

ボケの一個一個の精度が高いわけではなくて1,2個ドカンと面白いのがあるタイプの漫才コントじゃな。先に出ておる組と若干被るうえに精度の面でどうしても点数上はまあ高くはならないのじゃが、一個一個しっかりウケておったし後半にかけて盛り上がっておったので、全然悪くない。ただただ前の3組が強すぎただけじゃ。どうしようもない。
いその的には93点。ギリギリヤーレンズよりも下かの。



ダイタク

面白いのじゃが、とにかくM-1向きのネタではない。デブネタで挑んだタイムマシーン3号もハゲネタで挑んだギャロップやシシガシラも結果を残せていないように、双子という特徴だけを軸にした1本で途中の変化もないとなかなか点数が伸びないじゃろう。今回の敗者復活戦のシシガシラは要所で忘れた頃にしかハゲネタを挟んでこなかったが、逆にそれが笑いを生んでいたのでそれくらいの塩梅で他の軸をネタに盛り込んだ方が良かったかもしれん。
とはいえダイタクのネタの中でそういうものがあるかというと難しく、「ラストイヤーでいつも通りの漫才ができた」それだけでも喜ばしいと思おうという気持ちじゃ。
いその的には89点。ボウリングがむちゃくちゃ上手い親父の話もあの舞台で見たかったがの。



ジョックロック

要所で予想を裏切る面白いボケがいくつかあった。突っ込みのポーズがワシは結構ツボじゃったし、伸びしろがとってもありそうじゃ。掴みがかなり良かったのじゃが、その後結構外したボケも序盤終盤問わず散見されたし、完全に大喜利漫才の類じゃからネタの一発一発の精度を加味するとそこまで点数には結びつかないじゃろうな。真空ジェシカらと比較してしまうとやや霞んでしまうの。
いその的には92点。




バッテリィズ

かなり良かったの。やはり初出場組で埋もれずに結果を出そうと思ったらこれくらいぶっ飛んでおる必要があるんじゃろうなと感じた。キャラクターもぶっ飛んでいるのじゃが話術がしっかりしておる。意外と理にかなったことを言うもんじゃから笑ってしまう。シンプルに一個一個の言葉選びが秀逸で、つまりネタ自体のレベルが高いのじゃよ。あと昨今の番組の風潮として、明るいポジティブなキャラクターは受け入れられやすい。(ぺこぱや、錦鯉の「ライフイズビューティフル」のオチが評価されておる点などから推察。) その面でも番組の話題を持っていくコンビとしてかなり向いておるようにも感じた。
いその的には96点。ワシはバカキャラって本当にバカなわけではなくてあくまでキャラクターじゃと思っておるので、バッテリィズにもまだ少し抵抗があり、審査員ほど高得点ではなくて真空ジェシカと令和ロマンよりも下の点数とした。




ママタルト

ワシ、ママタルトの漫才を初めて観たのじゃが、結構ツッコミが引っ張るタイプの構造なんじゃな。しかしこれじゃとこれまでの組とも被ってくるし、ジョックロックのさらに下位互換という印象を受けてしまった。大鶴が何度も転びまわるところで大笑いが起きていないと、ウケていない=マイナスに働いてしまってちょっと観ていてきびしいの。
いその的には88点。



エバース

面白かった!このコンビはやっぱり町田が上手い。あれだけ短いツッコミでも大笑いが起きているのは間の取り方も演技も上手いからじゃ。
加えて町田はビジュアルも頭が長くて面白いので、背が低い佐々木がおちょくっている絵が非常に笑いやすいんじゃよ。じゃから二人のそういう関係性が分かるようなネタのほうが笑いの量としても質としても強いと思ったのじゃが、今回のネタはあまり二人のキャラクターに関係なかったからちょっと強みが出し切れていない気がした。
大吉にも言われておったが掴みまでが長く、手数が少なかったのも勿体なかったの。昨年の敗者復活でやっておった町田の半分をケンタウロスに改造するネタとかのほうが二人の強みが出たんじゃないかと思う。今回のネタでも十分に面白かったが、このコンビはもっと面白くてそれが今回は伝わりきらんかったなとワシは思った
いその的には96点。来年以降もほぼ確定で決勝には残れる腕があると思っておるので、楽しみにしておる!




トム・ブラウン

前半にクオリティが高いコンビが続いたので、カウンター的にトム・ブラウンの漫才がハマりやすい場になっており、しかも直前が漫才としてしゃべくり正当なエバース、さらにトム・ブラウンは大トリになったから、ぺこぱやウエストランドのようにこれまでのコンビを全部前振りにして大ハマりするんじゃないかと!多くの視聴者が思っておったじゃろう
じゃが今回のネタは大吉が言っておったように、昨年の敗者復活でやったネタの劣化版じゃった。。敗者復活のネタはぶっ飛んでてかなり面白かったのじゃが、それでも拍手笑いが起きておるのに待たずに進めていく間の悪さや布川のツッコミが欲しい言葉まで届いていない点などが気になったので、その辺りが改良されているのであれば大爆発するじゃろうと思っていたのじゃが…とくにそういう気になる点は改善されておらず、ただただ題材がさらにとっつきにくいホストになっただけじゃった。非常に残念。
それでも直前のバッテリィズとエバースが不発じゃったらもっとウケやすかったとも思うのじゃが、この2組が番組として2回目の爆発だったと言えるくらい十分ウケてしまったから大ハマりしなかったというのは大いにある。
いその的には93点。



最終決戦


最終決戦はワシだったらアマチュアだし選ぶ責任みたいなものがないので、迷わずに真空ジェシカに投票しております
一本目のネタはしっかりM-1という番組にハマるように合わせてきていたのが見事じゃったが、2本目はそういうのまったく無視で、万人にハマるはずがない自分たちが本来やりたいネタをやっておったのがとても好印象じゃったわ。トム・ブラウンよりもよっぽどぶっ飛んだネタをファイナルでぶつけてくるの、良い意味でイカれておるじゃろ。「ダレ手紙明美」が『タメ語やめなよ~』と言うボケのように全員にハマるわけがないネタが多いから当然大笑いになっていないので客観的には優勝は無いなと思ったが、ワシは一番面白かった。

ワシはそんな角度から真空ジェシカのネタを高く評価していたので、続く令和ロマン、笑いが起きるポイントも練られていて狙い通りに場にハマって盛り上がってさすがの上手さなのじゃが、真空ジェシカの二本目と真逆な「番組的に受け入れられやすい、分かりやすいネタを二本目もやっておる」この性質を良い意味だけでなく悪い意味でも捉えてしまったんじゃよな。
とはいえ正統派にしっかり面白かったので、審査員的的には間違いなく令和ロマンじゃろうなとは思っておったし、結果にも大納得じゃ。いや、むしろ当然こうあるべきじゃわ。いその的にはオールオッケー。

バッテリィズは初出場組じゃから優勝すると夢があるし、何よりもアホで明るくてネタの終わり方もポジティブだったので、十分優勝するだけの素養はあった。(これはワシの勝手な余談考察ですが、昨今のM-1はネタの面白さが同じくらいだった時に、「優勝するとドラマになるコンビ」「将来性があるコンビ」「ポジティブなコンビ」が選ばれる傾向があると考えております。あの年齢で優勝した錦鯉の嬉し涙は感動を呼びましたし、霜降り明星はあの年に優勝したことでスターになり、それは業界的にも良かったと思います。十分面白いのにこれらの要素が足りなくて優勝できなかったのが和牛だとも思っております。)しかし二本目のネタのフォーマットが一本目と全く同じで予想しやすく、一個一個も明らかに弱くなっていて、かつ真空ジェシカと令和ロマンが大ウケしていたので最終決戦では大ハマりすることができなかった。


まとめ


ワシは日曜18:30からは当然サザエさんを観ておりますので、M-1グランプリは開始時間が被っておったので始めの何組かは観られないかなと思っておりました。しかしオープニングが長すぎたのでサザエさん終わりからでも余裕で全組観れました。

本気で技術を研磨している者たちの姿を観て、大変刺激になりました。ジャンル問わず、こういうものは良いのう。

また、ワシが若い頃は漫才といえば吉本興業か松竹芸能かの二択じゃったが、今はグレープカンパニーやケーダッシュステージ、バレットグループなど多岐に渡る事務所からスターが誕生しておって切磋琢磨しておるのも良い傾向じゃの。


サザエさん以外の地上波の番組を観たのは久しぶりです。最近はABEMAで放送されておるMリーグしか観ておらんので、比べてみるとセットの豪華さ、なにより天井の高さに驚きました。いつも思うのじゃが、スリアロチャンネルの会場とか天井低すぎじゃないかの。

おわり






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