Vol.6【ドローン飛行手続】ドローンを飛ばす為の許可申請を行うには。(特定飛行 許可承認申請)
箕面で行政書士をしている奥田行政書士法務事務所です。
ドローンに関する安全性の問題から、特定飛行と呼ばれる飛行禁止空域や方法が存在しています。適切な許可や承認を取らずに飛行させると、罰則の対象となることがあります。
知らなかったという理由では免責されませんので、適切な手続きを踏んでドローンを飛ばすようにしましょう。
本記事は、ドローンに興味を持っている方や初心者の方で、飛行禁止空域や特定飛行に関する知識がまだ十分でない方を対象としています。
こちらの記事を通して、ドローンの飛行禁止空域や特定飛行に関する情報を把握し、適切な手続きを学ぶことができます。
記事を通じて、飛行禁止空域や方法に関する知識を身につけ、特定飛行に関連する空域や場所でのドローン飛行を避けるようにしましょう。
特定飛行が必要な場合には、適切な許可や承認を取得してください。
当事務所では、ドローンの許可・承認申請をサポートしていますので、お気軽にお問い合わせください。
特定飛行とは
特定飛行とは、ドローンの飛行を禁止している飛行空域で飛行させることや、飛行を禁止している飛行方法で飛行させることを言います。
飛行空域
以下の空域を飛行させる場合、国土交通大臣の飛行許可を得る必要があります。
1.空港等の周辺
空港の周辺約5km以内は、特に注意が必要なエリアです。
空港周辺に含まれるかどうかは、国土地理院の地図を参照して
確認しましょう。
2.人口集中地区の上空
人口が多く集まっている場所の上空は、安全性の観点から飛行が
制限されています。
人口集中地区(別名「DID地区」)は、国土地理院の地図で確認
することができます。
3.150m以上の上空
地表や海上から高さ150m以上の空域は、航空機の飛行の兼ね合いから
制限が設けられています。
4.緊急用務空域
火災などの緊急事態が発生した際に指定される空域です。
通常は制限がない場所でも、緊急用務空域に指定されることがあります。
指定された空域は、国土交通省のウェブサイトやTwitterで案内されます。
ドローンを飛行させる前には、必ずこれらの情報源を確認してください。
飛行の方法
以下の方法で飛行を行う場合、国土交通大臣の承認を得る必要があります。
1.夜間での飛行
夜間にドローンを飛行させることいいます。夜間とは日没以降をいい、
日が沈んだ後でも少し明るいからといって飛行させていると違反に
なります。
2.目視外での飛行
ドローンを目視で見て飛行させず、ドローンのカメラが映す映像を
見ながら操作することをいいます。FPVドローンはこれにあたります。
また、ドローンを双眼鏡で見ながら操作することも目視外飛行に
あたります。
3.人又は物件と距離を確保できない飛行
第三者関係*にある人や物・建物等と半径30mの距離をあけて飛行
できない場合をいいます。物・建物には信号や電柱も含みます。
4.催し場所上空での飛行
イベント会場上空をいいます。
5.危険物の輸送
化学薬品や燃料といった危険物の輸送をいいます。
ドローンを飛行させる為のバッテリーや燃料はこれには含みません。
6.物件の投下**
物をドローンから投下させることをいいます。
*第三者というのは、例えば、電力会社から特定の電柱の撮影をしてほしいとの依頼があった場合、この撮影対象となる電柱は依頼主である電力会社(関係者)の持ち物である為、第三者関係にある物にはあたりません。
このような場合は、飛行承認は不要です。ただし、他にも人や物がある場合は、承認が必要です。
**ドローンを農薬散布に使用する場合、周りが田んぼだらけで何もなかったとしても、特定飛行の『危険物の輸送』『物件の投下』に該当する為、必ず飛行承認を得る必要があります。
カテゴリー
飛行のカテゴリーとは
飛行のリスクのレベルによりカテゴリーという区分に分けられていて、リスクの高いものから順に、Ⅲ、Ⅱ、Ⅰと決まっています。
大きな違いとしては、第三者の上空をドローンが飛行するか(立入管理措置を講じるか)です。
カテゴリー別にドローンの飛行条件も変わってきますので、まずは飛行する条件がどのカテゴリーに属するのかを判別する必要があります。
この判別を行うには、以下のフローから確認を行います。
実際の申請を行う際、DIPSから同じ質問がされ、その質問に回答するだけで今から申請しようとする飛行がどのカテゴリーに該当するかが分かるようになっています。
カテゴリーⅠ:特定飛行に該当しないもの。許可承認申請は不要です。
カテゴリーⅡ:原則飛行許可承認を得ることが必須です。
ただし、ドローンの機体が第二種機体認証以上のもの、
及び操縦者が二等操縦者技能証明以上を有するものの場合
は、強化承認申請は不要です。
カテゴリーⅢ:立入管理措置を講じずに、特定飛行下での飛行を行うもの。
ドローンの機体が第一種機体認証以上のもの、
及び操縦者が一等操縦者技能証明以上を有するものである
ことが必要です。
飛行許可・承認申請
包括申請と個別申請
包括申請とは、許可申請時において、飛行場所や飛行日時を特定しない申請方法を言います。飛行日時は1年間となり、飛行場所は全国となります。
ただし、個別申請で申請しなければならない飛行条件のものは除いて、基本は包括申請で申請を行うこととなります。
個別申請とは、場所を特定した飛行、場所に加えて日時も特定した飛行を行う場合に行う申請方法です。
場所を特定した申請を行うものとして定められているものとして以下があります。
空港等周辺における飛行
地表または水面から150m以上の高さの空域における飛行
人又は家屋の密集している地域の上空における夜間飛行
夜間における目視外飛行
補助者を配置しない目視外飛行
趣味目的での飛行
研究開発目的での飛行
場所に加えて「日時」も特定した申請を行うものとして以下のものがあります。
人又は家屋の密集している地域の上空で夜間における目視外飛行
催し場所の上空における飛行
飛行マニュアル
特定飛行を行う際、実際ドローンを飛ばす際の詳細なルールのことです。
本来は、許可承認申請を行う者が飛行マニュアルを作成し申請時に添付することとなっていますが、飛行マニュアルの作成はハードルが高い為、標準的なマニュアルを国交省が作成してくれています。これを『航空局標準マニュアル』と呼んでいます。
個別申請、包括申請、インフラ点検、農薬散布といった目的別に『航空局標準マニュアル』がありますので、用途に応じたものを申請時に使用します。
よく使うと思われるマニュアルを記載します。
国土交通省のページへリンクを設定していますので、リンク先からダウンロードして下さい。
1.航空局標準マニュアル01
飛行場所を特定した申請で利用可能なマニュアルです。
個別申請で使用します。
2.航空局標準マニュアル02
飛行場所を特定しない申請のうち、人口集中地区上空の飛行、夜間
飛行、目視外飛行、人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行、
危険物輸送又は物件投下を行う飛行のみで利用可能なマニュアルです。
包括申請で使用します。
他にも農薬散布やインフラ点検といったものの航空局標準マニュアルがあります。必要に応じて以下ページの「航空局標準マニュアル(令和4年12月5日版)」から確認下さい。
航空局標準マニュアルの内容を知らなくても、許可承認の取得はできてしまいます。そのまま内容を知らずにいると、知らず知らずのうちに航空局標準マニュアルに違反してしまう場合もあります。
そのような事態にならないように、航空局標準マニュアルは熟読するようにしましょう。
DIPSによる申請と郵送申請
飛行許可承認申請は、DIPS(オンライン)で行う方法と郵送で申請する方法と2種類ありますが、断然DIPSで行う方が楽です。以下はDIPSを使った申請を元にしています。
1.DIPSにログインを行う。
2.DIPSの質問に答え、申請書を作成する。
3.許可証が発行される。
※発行された許可証は、飛行の際、飛行マニュアルと合わせて持参します。
許可証・飛行マニュアルはデータで持参すれば問題ありません。
DIPSの操作方法については、国土交通省より、マニュアルが公開されていますので、こちらを参照しながら進めて下さい。
申請した内容が問題なければ、10開庁日(10営業日と同じです。約2週間程度)くらいで、許可証が発行されます。
間違い等があった場合は、その補正をするようメールで案内が来ます。
内容を見れば何をどうすればよいかわかるので、あまり迷わないかとは思います。
補正後再度申請したのち、許可がおりるまで10開庁日ほど掛かりますので、早めに申請を行うようにします。
特定飛行申請を行う際の注意事項
飛行許可承認を受ける際、申請書類の一部の提出が免除されているドローンが、国土交通省のサイト(『資料の一部を省略することができる無人航空機 』)に掲載されています。
特定飛行において自分が飛ばしたい場所や方法があるのであれば、これからドローンを購入する方は、こちらのドローンのリストを参考に購入した方が許可承認申請を行う際、申請が少し楽になります。
ご参考までに。
ちなみに、ここのリストに載っていないドローンが、特定飛行の許可承認を受けられない訳ではありません。
罰則
適切な許可承認を受けずにドローンを飛行させた場合は、50万円以下の罰金が科せられる場合があります。
まとめ:適切な手続きを行い安全に飛行させましょう。
どのような空域での飛行や飛行方法が禁止事項に該当するか、理解しましょう。
そして、その場所での飛行を断念するのか、または、飛行許可申請を取得するのかを決めます。
許可承認申請を行うということであれば、早めに許可承認を申請しましょう。
許可承認申請なく、万一、特定飛行に該当する飛行空域での飛行や飛行方法を行った場合は、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
くれぐれも違反がないように、楽しくドローンライフを過ごしましょう。
少し長くなってしまいましたが、最後までおつきあいありがとうございました。
以下のサイトでは、ドローンの許可承認申請だけではなく、ドローンを購入した後の機体登録手続きから飛行許可承認申請、飛行日誌と全体の対応流れを記載していますので、興味がありましたらどうぞ。
noteでも機体登録に関するものを書いていますのでよろしければどうぞ。
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