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仕事がめんどくさい、上司にイライラ... そんな私は社会不適合者?
「仕事がめんどくさい」、そんなキーワードでネット検索をすると、「休みましょう」やら「疲れているかも」やら「病気かも」やら。そう感じる人に原因があるかのごとく扱いの記事が、まあ、出るは出るは...。言論統制でもされているのでしょうか。現代は、仕事がめんどうだと言うのは、御法度でした?
めんどくさい仕事なのです
めいんどくさいと思わせる仕事に、原因はないのでしょうか?
実際、誰がやってもめんどくさいと思えるような業務って、往々にしてありますよね。その業務が、ウン十年前の、創業当時から脈々と受け継がれている事務業務だとしたら、その可能性は極めて高いでしょう。
例え業務命令だとしても、生活のためだとしても、やる価値が見いだせない業務は、めんどくさいのです。めんどくさいけど、やる、という人と、めんどくさいから、やりたくない、という人がいるだけのことです。
しかし、めんどうでも、やらなければいけないのが、業務。
業務改善しましょう。
上司が反対するので、改善できません
アウトプットは同じだと説明しているのに、上司のGOが出ません。そればかりか、めんどうな業務をどんどん振ってくる...。そんな上司にイライラが募り、どうしたら良いかネットで調べてみると、だいたいこんな回答。
「雇用契約に基づいた指揮命令権に背くのは契約違反や責務不履行。嫌なら転職しましょう。」
転職エージェントが儲かるわけですね。しかし、転職したら解決する問題でしょうか?不合理な業務は、どこにでも存在しうるものですし、その企業のめんどうな業務も、改善されるなくそのまま放置です。
やはり、人がどうこうではなく、業務がどうこうと考えるべきではないでしょうか?
世代格差は、否めません
アウトプットの整合性を担保した上で、やり方をこう変えたい、という担当者の主張が、管理職によって跳ねのけられてしまうことが多々あります。アウトプットが同じなら、わざわざやり方を変える必要は無いと考えるのです。
このコラムを書いているのは2024年ですが、この時点で50歳代の人が職に就いた当時、社内にパソコンがあることは珍しく、ワープロを使える人が神、という時代でした。
40歳代の人が職に就いた当時は、パソコンが一人一台使えましたが、多くはワープロや表計算ソフトを使う程度で、そのデータをFDやMOで持ち歩く、という時代でした。
30歳代の人が職に就いた当時は、インターネット普及率は2割にも及んでおらず、スマホもない、という時代でした。
つまり、50歳代の人は20年以上、40歳代の人は10年以上、インターネットやスマホもない状態で働いてきたのです。それだけの年月の経験があると、いざ、それが普及し便利だからといっても、柔軟には受け入れられない人も多くいることでしょう。
そして、自分たちが手を動かしていた時代の尺度で判断をしてしまうと、そのやり方が、特段めんどうだとは捉えられないのです。
「若い人は経験がないからダメだ。」
しかし、若かろうが年配だろうが、誰も未来の経験はしていませんし、すべての経験が「善」であるとも限りません。時間は、確実に未来に進みます。その中で、足手まといになる過去の経験も、あることでしょう。
老害企業
老害と呼ばれる、勝手なふるまいで周囲を困らせる高齢者は、なぜ高齢者なのでしょう。経験の浅い若者の方が、勝手なふるまいで周囲を困らせやすいのではないでしょうか。
これは心身の衰えに起因するものに加え、高齢者の長年にわたる、自身の経験への自負(特段、高度成長期を支えてきたという自負)から、謙虚さを失ってしまいやすいためです。
同様に、膨大な生産量を誇っているものの、膨大な労働力を要している、旧態依然の企業は、『老害企業』だと言えます。
過去の実績は称賛に値するでしょうが、大きく変化し続ける社会に対し、謙虚に応じなければ、その勝手な振る舞いで社会を困らせる結果になります。長時間労働や、生産性の低さは、現実に社会を困らせ、大きな問題となっています。
めんどくさいと思われる業務、上司や会社への不満、これらはすべて、社会不適合者の戯言ではなく、今、まさに改善すべき点の提起です。それは雇用契約云々以前に、企業の存続・繁栄のための合理的な意見であり、その責任を一概に人に押し付けるのではなく、謙虚に、改善に繋げていく体制を整えることが、企業に求められているのではないでしょうか。
まったく余談ですが、『老害企業』という言葉が、いずれ流行ったとしたら、それは「業務改善屋」が考え出した言葉です。流行語大賞は業務改善屋が頂きます(とらぬ狸の...)。