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これだけ覚えれば合格ライン!行政書士試験の相続頻出ポイント10選
1. はじめに
行政書士試験において、「相続」は民法の重要テーマの一つです。相続法は、被相続人(亡くなった人)の財産をどのように引き継ぐのかを定めたルールであり、試験では高い頻度で出題されます。
しかし、初学者にとっては 「相続の順位ってどうなってるの?」「遺産分割のルールが複雑でわからない」「遺留分ってなに?」 など、多くの疑問が生じやすい分野でもあります。行政書士試験では、細かい条文知識だけでなく、相続の全体像を理解し、正しく処理できる力が求められます。
そこで本記事では、相続に関する 「これだけ押さえれば合格ラインに届く!」 という頻出ポイントを10個に厳選して解説します。特に 法定相続人の範囲、相続分、遺言、相続放棄、遺留分 など、試験で狙われやすいテーマを重点的に整理しました。この10項目をしっかり理解すれば、相続法の基本問題には対応可能です! ぜひ最後まで読み進めて、試験対策に役立ててください。
2. 相続の基本概念(民法882条)
相続とは、被相続人(亡くなった人)の財産や権利義務を、相続人が引き継ぐこと を指します。これは 民法882条 に明記されており、相続は「被相続人の死亡によって開始する」と定められています。相続の基本概念を理解するために、以下の3つのポイントを押さえましょう。
① 相続の開始
相続は、被相続人が死亡した瞬間に発生します。このとき、相続人は何もしなくても自動的に相続権を得る ことになります。
ただし、相続を受け入れるかどうかの判断(単純承認・限定承認・相続放棄)は、後述する手続きを経て決めることができます。
相続開始の場所(相続開始地)については 民法883条 で「被相続人の最後の住所地」とされています。これが遺産分割や相続税の申告手続きに影響を与えることもあります。
② 相続の対象
相続の対象となる財産には、プラスの財産だけでなく マイナスの財産 も含まれます。具体的には以下のようなものが該当します。
🔹プラスの財産(相続人が引き継げるもの)
不動産(土地・建物)
預貯金(銀行口座)
株式や投資信託(証券類)
動産(車、貴金属、美術品など)
債権(貸付金、売掛金など)
🔹マイナスの財産(相続人が引き継ぐ可能性があるもの)
借金(ローン、クレジットの残債務など)
保証債務(他人の借金の保証人になっている場合)
未払いの税金・公共料金
損害賠償義務
特に注意すべき点は、相続人は「借金」や「保証債務」も相続する ということです。そのため、負債の額が大きい場合は 相続放棄や限定承認 を検討することが重要になります。
③ 相続の包括性
相続の原則として、被相続人の財産は 一括して相続人に承継される ため、個別に「これは受け取るけど、これはいらない」と選択することはできません(包括承継の原則)。
ただし、後述する 「相続放棄」や「限定承認」 の手続きを行うことで、借金を回避することは可能です。
まとめ
相続は被相続人の死亡時に自動的に開始(民法882条)
相続の対象は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含む
相続は包括承継の原則が適用されるが、負債が多い場合は「相続放棄」や「限定承認」を検討する
この基本概念をしっかり押さえておけば、相続の全体像がクリアになります!次の章では、法定相続人と相続順位 について詳しく解説していきます。
3. 法定相続人と相続順位(民法887条~889条)
相続が発生したとき、財産を受け継ぐ権利を持つ人(法定相続人)は、民法のルールに従って決まります。試験では、誰がどの順位で相続人になるのか、配偶者との関係、代襲相続の仕組み などがよく問われます。
ここでは、法定相続人の基本ルールを整理していきましょう。
① 配偶者は常に相続人(民法890条)
被相続人に 配偶者がいる場合、その配偶者は 常に相続人 となります。
つまり、どの順位の親族が相続人になる場合でも、配偶者は必ず相続人として加わる ことになります。
💡 ポイント
配偶者は「第一順位」「第二順位」「第三順位」の どの相続人とも一緒に相続する。
配偶者がいない場合は 子・直系尊属・兄弟姉妹のいずれか だけが相続する。
② 法定相続人の順位(民法887条~889条)
配偶者以外 の相続人は、以下の 順位 に従って決まります。
※「第一順位がいなければ第二順位」「第二順位もいなければ第三順位」と、順番に相続権が移っていきます。
🔹 第一順位:子(直系卑属)(民法887条)
被相続人の 子 は最優先の相続人。
実子・養子の区別なし に相続できる。
子がすでに死亡している場合、その子(孫)が 代襲相続(民法887条2項)。
📝 代襲相続の例
例えば、父Aが亡くなり、長男Bもすでに死亡している場合、その子(Aの孫)CがBの代わりに相続する。
💡 ポイント
代襲相続は 何世代でも可能(孫→ひ孫もOK)。
胎児も相続権を持つ(民法886条)。出生前でも生まれたものとみなされる。
🔹 第二順位:直系尊属(父母・祖父母)(民法889条1項1号)
子がいない場合、被相続人の 父母 が相続人となる。
父母がすでに死亡している場合、祖父母 が相続する。
直系尊属は1世代のみ相続(例えば、父母と祖父母が生存している場合、父母のみが相続)。
💡 ポイント
第二順位は 相続順位が低いため、子がいると相続できない。
父母がいれば祖父母は相続しない。
🔹 第三順位:兄弟姉妹(民法889条1項2号)
子も直系尊属もいない場合、被相続人の 兄弟姉妹 が相続する。
兄弟姉妹がすでに死亡している場合、その子(甥・姪)が 代襲相続(民法889条2項)。
📝 代襲相続の例
例えば、被相続人Aが亡くなり、兄Bもすでに死亡している場合、Bの子C(Aの甥)が代わりに相続する。
💡 ポイント
代襲相続は甥・姪まで。甥・姪が死亡していても、その子は相続できない(再代襲なし)。
兄弟姉妹の相続順位は低いため、子・直系尊属がいると相続できない。
③ 法定相続人の順位のまとめ
第一順位
子・孫(直系卑属)
代襲相続の有無:あり(無限に代襲可能)
第二順位
父母・祖父母(直系尊属)
代襲相続の有無:なし
第三順位
兄弟姉妹・甥姪
代襲相続の有無:あり(甥姪まで。再代襲なし)
🔹 重要ポイント
✅ 配偶者は常に相続人(第一~第三順位と一緒に相続)
✅ 相続人は「子→直系尊属→兄弟姉妹」の順番で決まる
✅ 子がいない場合、親が相続。親もいない場合、兄弟姉妹が相続
✅ 代襲相続は子孫は無限、兄弟姉妹は甥姪まで(再代襲なし)
法定相続人の順位は、相続問題を解くうえで基本となるルールです。特に「誰が相続人になるのか?」「代襲相続はどこまで適用されるのか?」は、行政書士試験でも頻出ポイントです。次の章では、法定相続分(相続人ごとの取り分) について詳しく解説していきます!
4. 法定相続分の割合(民法900条)
相続が発生したとき、法定相続人の 「誰がどれだけ相続するのか?」 は 民法900条 に基づいて決定されます。この「法定相続分」のルールを理解することは、行政書士試験において必須です。以下では、法定相続人の組み合わせごとに 法定相続分の割合 を整理し、ポイントを解説します。
① 配偶者と子のケース
(配偶者と第一順位の相続人がいる場合)
配偶者:1/2
子:1/2(複数いる場合は均等割り)
💡 例 被相続人Aに 配偶者Bと子C・Dの2人 がいる場合
→ B(配偶者)1/2、CとDは1/2を2等分(それぞれ1/4)
✅ 子が複数いる場合は均等に分割される ことに注意!
② 配偶者と直系尊属のケース
(配偶者と第二順位の相続人がいる場合)
配偶者:2/3
直系尊属(親・祖父母):1/3(複数いる場合は均等割り)
💡 例 被相続人Aに 配偶者Bと両親(C・D)の2人 がいる場合
→ B(配偶者)2/3、CとDは1/3を2等分(それぞれ1/6)
✅ 直系尊属は1世代だけが相続する
✅ 親が存命なら祖父母は相続しない
③ 配偶者と兄弟姉妹のケース
(配偶者と第三順位の相続人がいる場合)
配偶者:3/4
兄弟姉妹:1/4(複数いる場合は均等割り)
💡 例 被相続人Aに 配偶者Bと兄弟C・Dの2人 がいる場合
→ B(配偶者)3/4、CとDは1/4を2等分(それぞれ1/8)
✅ 兄弟姉妹の相続分は少ない(1/4)
✅ 代襲相続があるのは甥・姪まで(再代襲なし)
④ 配偶者がいないケース
(配偶者なしで、第一順位・第二順位・第三順位の相続人のみがいる場合)
子のみ 100%(複数の場合は均等割り)
直系尊属のみ(親・祖父母) 100%(複数の場合は均等割り)
兄弟姉妹のみ 100%(複数の場合は均等割り)
✅ 配偶者がいない場合は、その順位の相続人のみで均等に相続する
✅ 子がいない場合は親が相続、親もいない場合は兄弟姉妹が相続
⑤ 兄弟姉妹の相続分が少ない理由
兄弟姉妹の相続分は 1/4 と、他の相続人と比べて少なく設定されています。これは、配偶者や子、直系尊属と比べて、相続権の優先度が低い ためです。
さらに、兄弟姉妹の相続には以下の特徴があります。
兄弟姉妹が すでに死亡している場合は甥・姪が代襲相続 する(民法889条2項)。
ただし、再代襲はない(甥・姪の子には相続権なし)。
父母が異なる兄弟姉妹(半血兄弟)は、相続分が1/2(民法900条4号ただし書)。
💡 例
同父同母の兄弟姉妹 → 1/4の均等割り
異父兄弟・異母兄弟(半血兄弟) → 相続分は 1/8
✅ 試験で問われることが多いため、半血兄弟の相続分に注意!
⑥ 法定相続分の早見表(まとめ)
配偶者と相続人の組み合わせ配偶者の相続分他の相続人の相続分
配偶者+子 配偶者1/2・子全員で1/2を均等分割
配偶者+直系尊属(親・祖父母)配偶者2/3・直系尊属全員で1/3を均等分割
配偶者+兄弟姉妹 配偶者3/4・兄弟姉妹全員で1/4を均等分割
子のみ 100%(均等割り)
直系尊属のみ 100%(均等割り)
兄弟姉妹のみ 100%(均等割り)
まとめ
法定相続分の計算は、試験で頻出のポイントです。特に 配偶者と子・直系尊属・兄弟姉妹の相続割合の違い を正しく理解しておきましょう!
✅ 配偶者は常に相続人で、相手によって相続分が変わる
✅ 子がいれば配偶者1/2・子1/2(均等割り)
✅ 直系尊属が相続する場合は、配偶者2/3・直系尊属1/3(均等割り)
✅ 兄弟姉妹が相続する場合は、配偶者3/4・兄弟姉妹1/4(均等割り)
✅ 兄弟姉妹の相続分は少なく、異父・異母兄弟は1/2の相続分(半血兄弟)
次の章では、遺産分割のルールと方法 について詳しく解説していきます!
5. 遺産分割の方法(民法906条)
被相続人が亡くなると、相続財産は 相続人全員の共有財産 となります。
しかし、共有状態のままでは財産を自由に処分できないため、最終的には 各相続人の取り分を決める「遺産分割」 を行う必要があります。
民法906条では、遺産分割を行う際の考慮事項として 「被相続人の意思、相続人の年齢・職業・財産、その他一切の事情」 を考慮し、公平に決めるよう定められています。
ここでは、試験に頻出の 遺産分割の3つの方法と、そのルール を詳しく解説します。
① 協議分割(相続人全員の合意が必要)
相続人全員が話し合いで遺産の分け方を決める方法です。
これは 最も一般的な方法 であり、スムーズに合意できれば 費用もかからず、自由度が高い というメリットがあります。
協議分割のポイント
✅ 相続人全員の合意が必要(1人でも反対すると成立しない)
✅ 法定相続分に縛られず、自由に分配可能(全員が納得すれば、不動産を1人に相続させるなども可能)
✅ 合意内容は「遺産分割協議書」にまとめ、署名・押印するのが一般的
💡 試験対策のポイント
相続人の1人でも協議に参加しないと無効
相続財産が不動産の場合は「登記」も必要
実際には弁護士・司法書士が関与することが多い
② 調停分割・審判分割(家庭裁判所が介入)
相続人同士の話し合い(協議分割)がまとまらない場合、家庭裁判所に申し立てることができます。
(1) 調停分割(家庭裁判所の調停)
家庭裁判所で 調停委員が仲介しながら話し合い を行う。
調停が成立すると、その内容は法的拘束力を持つ(確定判決と同じ効力)。
スムーズに進めば数か月で解決するが、長引くことも多い。
💡 試験対策のポイント
遺産分割の話し合いがまとまらない場合、まず「調停分割」を申し立てる。
調停は「全員の合意」が前提なので、合意できないと「審判」に移行する。
(2) 審判分割(家庭裁判所の審判)
調停が成立しない場合、家庭裁判所が最終的な判断を下す。
裁判所が法定相続分や遺産の内容を考慮し、強制的に分割を決定する。
相続人が「この分割内容には納得できない!」と思っても、裁判所の決定に従わなければならない。
💡 試験対策のポイント
調停が不成立なら「審判」へ移行する。
裁判所が法定相続分を基準に判断するため、不公平な分割はされにくい。
ただし、時間と費用がかかるため、なるべく調停で解決するのが望ましい。
③ 遺産分割の禁止(民法908条)
遺産分割を すぐに行わない方がよい場合 や 被相続人が遺言で分割を禁止した場合 には、遺産分割を 最大5年間まで禁止 することができます。
遺産分割を禁止できるケース
被相続人が「遺言」で遺産分割を禁止した場合
例:「子どもが成人するまでは遺産を分割しない」相続人の合意で遺産分割をしない場合
例:「家業を継ぐ人が決まるまで、しばらく分割しない」家庭裁判所が「遺産分割を禁止する必要がある」と判断した場合
例:「未成年の相続人が多く、適切な分割が難しい」
💡 試験対策のポイント
遺産分割禁止の期間は「最長5年」
相続人の合意 or 遺言 or 家庭裁判所の決定で禁止可能
分割禁止期間中でも、遺産の管理や運用は相続人が行う必要がある
まとめ
遺産分割には 協議・調停・審判 の3つの方法があり、トラブルの有無によって選択肢が変わります。
✅ 協議分割 → 最も簡単!相続人全員の合意が必要
✅ 調停分割 → 協議がまとまらない場合、家庭裁判所の調停で話し合う
✅ 審判分割 → 調停でも決まらなければ、裁判所が強制的に決定
✅ 遺産分割の禁止 → 最大5年間、相続財産を共有のまま維持可能
次の章では、相続の承認・放棄のルール について詳しく解説していきます!
6. 相続の承認・放棄(民法920条~938条)
相続が発生すると、相続人は 「すべての財産を引き継ぐのか、それとも放棄するのか」 を選択することができます。
この選択肢は 「相続の承認・放棄」 と呼ばれ、単純承認・相続放棄・限定承認 の3種類があります。
相続財産には プラスの財産(不動産・預貯金など)だけでなく、マイナスの財産(借金・保証債務など) も含まれるため、相続人は 負債のリスクを考えた上で適切な方法を選択することが重要 です。ここでは、それぞれの承認・放棄の方法と注意点を詳しく解説します。
① 単純承認(民法920条)
すべての財産(プラスもマイナスも)を相続する方法 です。
相続放棄や限定承認をしなかった場合、自動的に 単純承認 となります。
単純承認のポイント
✅ 相続財産のすべてを無条件に引き継ぐ
✅ 何も手続きをしなければ自動的に単純承認となる(法定承認)
✅ 一部でも遺産を処分すると、単純承認したとみなされる(法定単純承認:民法921条)
💡 試験対策のポイント
相続財産を使ったり処分した時点で「単純承認」とみなされる(民法921条)
借金がある場合でも、単純承認するとすべて引き継ぐため注意!
② 相続放棄(民法938条)
相続人が一切の財産を引き継がず、最初から相続人ではなかったことにする方法 です。負債のある相続では、借金を引き継がないための手段 として重要です。
相続放棄の手続き
✅ 相続開始を知った日から「3か月以内」に家庭裁判所に申述する必要がある(民法915条)
✅ 相続放棄が認められると、最初から相続人ではなかったことになる(民法939条)
✅ 相続放棄をした人の法定相続分は、次順位の相続人に移る(例:子が放棄したら、直系尊属に移る)
💡 試験対策のポイント
相続放棄の期限は「3か月以内」!
放棄すると、最初から相続人ではなかったことになる(借金のリスクを回避できる)
相続放棄は単独で可能。他の相続人の同意は不要。
相続放棄しても「生命保険金」などの受取人指定があるものは受け取れる。
③ 限定承認(民法922条)
プラスの財産の範囲内で、マイナスの財産を弁済する方法 です。
つまり、相続した財産の範囲内でしか負債を返済しないため、相続人に借金のリスクが残らない のが特徴です。
限定承認のポイント
✅ 家庭裁判所へ「相続開始を知った日から3か月以内」に申述が必要(民法924条)
✅ 相続人全員の合意が必要(単独ではできない)
✅ 相続財産を超える借金は返済しなくてもよい
💡 試験対策のポイント
限定承認の最大のメリットは「プラスの財産の範囲内でのみ負債を相続する」こと!
相続人全員の合意が必要(1人でも反対すると成立しない)
限定承認の申述期限も「3か月以内」
単純承認と違い、プラス財産を処分しても法定単純承認にはならない(慎重に手続き可能)
④ 相続放棄・限定承認の期限(民法915条)
相続放棄と限定承認は、どちらも 「相続開始を知った日から3か月以内」に家庭裁判所に申述 しなければなりません。
この3か月の期間は 「熟慮期間」 と呼ばれ、相続するかどうかを判断する時間として設けられています。
もし 3か月以内に何もしなかった場合、単純承認 したものとみなされ、借金も含めてすべて相続することになります。
✅ 借金がある場合は、期限内に相続放棄や限定承認の申述をすることが重要!
✅ 期限内に判断できない場合、家庭裁判所に「熟慮期間の延長」を申し立てることが可能(民法915条2項)
まとめ
相続の承認・放棄は、相続財産の内容を見極めた上で適切な方法を選択することが重要 です。特に 借金のリスクがある場合、相続放棄や限定承認の期限(3か月以内)に注意!
✅ 単純承認 → すべての財産を無条件で相続(何もしないと自動的に単純承認)
✅ 相続放棄 → 借金を引き継ぎたくない場合、3か月以内に家庭裁判所へ申述(単独で可能)
✅ 限定承認 → プラス財産の範囲内で負債を相続(相続人全員の合意が必要)
次の章では、遺言の種類と要件 について詳しく解説していきます!
7. 遺言の種類と要件(民法960条~)
相続において、遺言 は「被相続人の最終的な意思」を示す重要な手段です。
遺言があれば、被相続人の希望に沿った形で相続を進めることが可能ですが、法律に定められた形式を守らないと無効になります。そのため、遺言の種類と要件を正しく理解することが試験対策として重要 です。
本章では、遺言の4種類(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言・特別方式の遺言) について解説します。
① 遺言の基本ルール
遺言を作成できるのは 満15歳以上の者(民法961条)
遺言は 単独でのみ作成可能(共同遺言は禁止・民法975条)
法定相続分よりも遺言が優先される(ただし遺留分侵害はできない)
② 遺言の種類と要件
遺言には 普通方式の遺言(一般的に使われる遺言)と、特別方式の遺言(緊急時にのみ認められる遺言)の2つのカテゴリーがあります。
🔹 普通方式の遺言(3種類)
普段から作成できる一般的な遺言で、最もよく利用される。
1. 自筆証書遺言(民法968条)
遺言者が全文を手書きする方式。費用がかからず、手軽に作成できるが、不備があると無効になるリスクがある。
✅ 要件
全文を自書(パソコン・代筆は不可)
日付と署名を自書
押印が必要(実印・認印OK)
財産目録はPC作成可(2020年改正)
✅ メリット
費用がかからない
いつでも作成できる
内容を秘密にできる
❌ デメリット
書き間違い・不備があると無効になりやすい
相続人が見つけられないと無意味になる
家庭裁判所の検認が必要(民法1004条)
💡 試験対策ポイント
全文を手書きすることが原則(財産目録のみPC作成OK)
発見後、家庭裁判所の検認が必要
破棄・紛失されるリスクがある
2. 公正証書遺言(民法969条)
公証人が作成する方式。最も安全で確実な遺言方法。
✅ 要件
公証人が作成
証人2人が立ち会う
遺言者が遺言内容を公証人に口述し、公証人が筆記
遺言者と証人2人が署名・押印
✅ メリット
方式不備の心配がなく、確実に有効
家庭裁判所の検認が不要
公証役場で保管され、紛失・改ざんのリスクがない
❌ デメリット
費用がかかる
証人を2人用意する必要がある
遺言内容が証人に知られる
💡 試験対策ポイント
家庭裁判所の検認が不要
証人2人が必要
公証人が作成するため、無効になりにくい
3. 秘密証書遺言(民法970条)
遺言の内容を秘密にできる方式。本人が作成し、公証役場で「存在の証明」だけしてもらう。
✅ 要件
遺言書を本人が作成(手書き不要、PC作成可)
遺言に署名・押印し、封筒に入れて封印
公証役場で、公証人と証人2人の前で「これは自分の遺言」と宣言
公証人が遺言の「存在」を証明する
✅ メリット
内容を誰にも知られずに作成できる
自筆証書遺言のように全文を手書きしなくてもよい
❌ デメリット
紛失・破棄されるリスクがある
方式不備で無効になりやすい
家庭裁判所の検認が必要
💡 試験対策ポイント
遺言の存在のみを公証人が証明する
内容の有効性は保証されない
家庭裁判所の検認が必要
🔹 特別方式の遺言(2種類)
緊急時に作成する遺言 で、特別な状況においてのみ有効。
4. 危急時遺言(民法976条)
死期が迫っているとき に作成する遺言。
証人3人以上の立会いが必要。
20日以内に家庭裁判所の確認が必要。
5. 隔絶地遺言(民法979条)
伝染病で隔離されている、戦争や船舶内で陸に戻れない場合 などに作成できる遺言。
証人2人以上の立会いが必要。
💡 試験対策ポイント
どちらも特別な状況でのみ認められる
危急時遺言は20日以内に家庭裁判所の確認が必要
まとめ
✅ 自筆証書遺言 → 全文自書が原則(財産目録のみPC可)、検認が必要
✅ 公正証書遺言 → 公証人が作成、証人2人必要、検認不要で最も安全
✅ 秘密証書遺言 → 内容を秘密にできるが検認が必要
✅ 危急時・隔絶地遺言 → 特別な状況でのみ有効(期限や要件に注意)
次の章では、遺留分と遺留分侵害額請求 について詳しく解説していきます!
8. 遺留分と遺留分侵害額請求(民法1042条~)
遺言によって自由に財産を分けられるといっても、相続人の生活保障の観点から、最低限の取り分(遺留分) が保証されています。この 「遺留分」 は、相続人の権利として法律で認められており、遺言によって奪われることはありません。本章では、遺留分の基本ルールと、遺留分侵害額請求の手続き について詳しく解説します。
① 遺留分とは?
被相続人が 特定の相続人だけに財産を与えた場合 や、他人にすべての財産を遺贈した場合 でも、一定の法定相続人には最低限の取り分(遺留分)が保証される。
これにより、特定の相続人が一方的に不利になることを防ぐ。
💡 例 「長男には全財産を譲る」という遺言があっても、次男や配偶者は 遺留分侵害額請求 をすれば一定の割合を受け取れる。
② 遺留分を持つ相続人
遺留分を持つのは、以下の相続人のみです。
✅ 配偶者
✅ 子(直系卑属)
✅ 父母(直系尊属)
❌ 兄弟姉妹には遺留分がない(民法1042条)
💡 試験対策ポイント
兄弟姉妹には遺留分なし!
遺留分は「配偶者・子・直系尊属」にのみ認められる
③ 遺留分の割合(民法1042条)
遺留分の割合は 法定相続分の一定割合 で決まっています。
直系尊属のみが、相続人法定相続分の1/3
その他の相続人(配偶者・子がいる場合)法定相続分の1/2
兄弟姉妹なし
💡 具体例
配偶者と子が相続人の場合
配偶者の法定相続分は1/2 → 遺留分はその 1/2(=1/4)
子の法定相続分は1/2 → 遺留分はその 1/2(=1/4)
配偶者と父母が相続人の場合
配偶者の法定相続分は2/3 → 遺留分はその 1/2(=1/3)
父母の法定相続分は1/3 → 遺留分はその 1/2(=1/6)
父母のみが相続人の場合(直系尊属のみ)
法定相続分は1/2ずつ → 遺留分は それぞれ1/3 × 1/2(=1/6)
✅ ポイント
直系尊属のみが相続人なら、遺留分は1/3
配偶者・子がいる場合、遺留分は法定相続分の1/2
兄弟姉妹には遺留分なし!
④ 遺留分侵害額請求とは?(民法1046条)
遺留分が侵害された場合、相続人は 「遺留分侵害額請求」 を行うことができます。
🔹 遺留分侵害額請求のポイント
✅ 侵害された額を金銭で請求できる(2019年改正で「遺留分減殺請求」から変更)
✅ 請求期限は1年以内(民法1048条)
✅ 遺留分を侵害した相手に対して請求する(遺言で財産をもらった人など)
💡 具体例
父Aが「全財産を長男Bに相続させる」と遺言した場合、母Cや次男Dは遺留分を侵害される。
CやDはBに対して遺留分侵害額請求を行い、金銭で取り戻せる。
✅ ポイント
遺留分侵害額請求は「金銭」で解決される(現物返還なし)
請求期限は1年(これを過ぎると権利消滅!)
⑤ 遺留分侵害額請求の流れ
遺留分の計算(相続財産全体の価値を算定)
遺留分侵害の確認(遺言で自分の遺留分が侵害されているかチェック)
遺留分侵害額請求の通知(内容証明郵便などで請求)
話し合いで解決できない場合、裁判へ(最終的に裁判所が判断)
💡 試験対策ポイント
「遺留分侵害額請求は金銭で請求する」ことが試験でよく問われる!
期限は「相続を知った日から1年」なので、時効に注意!
⑥ 遺留分と遺言の関係
遺言がある場合でも、遺留分は侵害できません。しかし、相続人全員が納得すれば、遺留分侵害額請求をしないことも可能です。
✅ 被相続人は、相続人が遺留分侵害額請求をしないよう「遺言の内容に配慮」するのが理想的
✅ 例えば、遺留分を考慮した「遺言の付言事項」を記載することで、トラブルを防げる
まとめ
✅ 遺留分は相続人の最低限の取り分であり、遺言よりも優先される
✅ 直系尊属のみの相続なら遺留分は1/3、それ以外は1/2
✅ 兄弟姉妹には遺留分なし(試験頻出ポイント!)
✅ 遺留分侵害額請求は「金銭請求」のみ、期限は1年以内!
次の章では、代襲相続の仕組み について詳しく解説していきます!
9. 代襲相続の仕組み(民法887条2項、889条2項)
相続が発生したとき、本来相続するはずだった人(被相続人の子や兄弟姉妹)が すでに死亡している場合、その子(孫や甥・姪)が代わりに相続する ことを 「代襲相続」 といいます。
代襲相続は 相続の公平性を保つための制度 であり、特に被相続人の子が死亡している場合に適用されることが多いです。ただし、代襲相続が発生するケースと発生しないケースにはルールがあるため、試験でもよく問われるポイントとなります。
本章では、代襲相続の仕組みと適用範囲、試験で問われやすいポイント を詳しく解説します。
① 代襲相続とは?(民法887条2項)
代襲相続とは、本来相続するはずだった人(被相続人の子や兄弟姉妹)が死亡している場合、その直系の子(孫・甥・姪)が代わりに相続すること をいいます。
💡 具体例
A(被相続人)が死亡し、Aの子Bもすでに死亡している場合、Bの子(Aの孫)が代わりに相続する。
Aの兄Cがすでに死亡している場合、Cの子(Aの甥・姪)が代わりに相続する。
代襲相続には、「直系の子が引き継ぐ」ことが前提 となるため、相続人が死亡していても、その子がいなければ代襲相続は発生しません。
② 代襲相続が発生するケース
代襲相続が認められるのは、以下のケースです。
🔹 子が死亡していた場合(民法887条2項)
✅ 被相続人の子が先に死亡していた場合、その子(孫)が代襲相続する。
✅ 孫がすでに死亡している場合は、さらにその子(ひ孫)が相続する。
✅ 直系卑属(孫・ひ孫など)は何世代でも代襲相続が可能!
✅ 試験対策ポイント
被相続人の子が死亡していた場合は、孫→ひ孫と何世代でも代襲相続が可能!
🔹 兄弟姉妹が死亡していた場合(民法889条2項)
✅ 被相続人の兄弟姉妹が死亡していた場合、その子(甥・姪)が代襲相続する。
✅ ただし、甥・姪が死亡していても、その子(再代襲)は相続できない!
✅ 試験対策ポイント
兄弟姉妹の代襲相続は「甥・姪」までで、それ以上の再代襲はない!
孫が代襲相続するのとは異なり、兄弟姉妹の子(甥・姪)より下の世代には相続権がない。
③ 代襲相続が発生しないケース
代襲相続は、すべてのケースで発生するわけではありません。
次のような場合は、代襲相続は発生しません。
🔹 相続放棄をした場合(民法939条)
相続放棄をすると、最初から「相続人ではなかった」ものとみなされるため、その子が代襲相続することはない。
✅ 試験対策ポイント
相続放棄した場合、代襲相続は発生しない!
代襲相続が発生するのは、相続人が「死亡」した場合のみ。
🔹 被相続人が死亡する前に、相続人が廃除された場合(民法892条)
「廃除」とは、相続人が被相続人に対して重大な非行を働いた場合に、相続権を失わせる制度。 相続人が 「廃除」されると、その子も代襲相続することはできない。
✅ 試験対策ポイント
「廃除された相続人の子」は代襲相続できない!
相続放棄と同じく、「そもそも相続人でなかった」とみなされるため。
④ 代襲相続のまとめ
ケース代襲相続の有無ポイント被相続人の子が死亡していた場合あり(孫→ひ孫と無限)何世代でも可能被相続人の兄弟姉妹が死亡していた場合あり(甥・姪まで)再代襲なし相続放棄をした場合なし相続権が最初からなかったとみなされる廃除された場合なし被相続人が相続権を奪う処分
✅ 試験頻出ポイント
子の代襲相続は孫→ひ孫と無制限に続く!
兄弟姉妹の代襲相続は「甥・姪まで」、その下の世代は不可
相続放棄や廃除された場合、代襲相続は発生しない!
⑤ まとめ
✅ 代襲相続は、死亡した相続人の子が代わりに相続する制度。
✅ 子の代襲相続は「孫→ひ孫」と無制限に続く。
✅ 兄弟姉妹の代襲相続は「甥・姪」までで、それ以上の再代襲はない。
✅ 相続放棄や廃除の場合、代襲相続は発生しない!
次の章では、2024年から義務化された相続登記について 詳しく解説していきます!
10. 相続登記の義務化(2024年4月施行)
2024年4月1日から、相続登記が義務化 されました。これにより、相続により不動産を取得した人は、一定期間内に登記をしなければならない ことが法律で定められています。
これまでは、相続登記が義務ではなく、登記をしないまま放置されるケースが多く、所有者不明土地の増加 が社会問題になっていました。この問題を解決するため、改正不動産登記法により 相続登記が義務化 され、違反した場合の罰則も設けられました。
本章では、相続登記の義務化の概要とポイント、罰則規定 について詳しく解説します。
① 相続登記とは?
相続登記 とは、不動産を相続した際に、その名義を被相続人(故人)から相続人に変更する手続き のことです。
✅ これまでのルール → 相続登記は義務ではなく、任意で行うものだった
✅ 2024年4月1日以降 → 相続登記が義務化され、期限内に登記しないと罰則の対象に!
💡 試験対策ポイント
相続による不動産の名義変更手続きを「相続登記」と呼ぶ
2024年4月1日から義務化されたことを覚えておく
② 相続登記の義務化(改正不動産登記法)
🔹 いつまでに登記をしなければならないか?
✅ 相続登記の申請期限は「相続を知った日から3年以内」(不動産登記法76条の2)
💡 具体例
相続発生が2024年5月1日 → 2027年4月30日までに登記が必要
相続開始後、遺産分割協議が長引いた場合も3年以内に登記が必要!
✅ 遺産分割協議がまとまっていない場合
「とりあえず法定相続分で登記する」ことも可能
遺産分割協議が成立した後に、再度登記の変更が可能
💡 試験対策ポイント
相続を知った日から「3年以内」に登記をしなければならない!
遺産分割協議が長引いても、法定相続分での登記を先に済ませられる
③ 罰則(過料)について
相続登記をしない場合、罰則(過料)が科される ことになりました。
✅ 正当な理由なく相続登記を怠ると、10万円以下の過料が科される(不動産登記法164条)
💡 具体例
相続開始後3年が経過しても登記をしなかった場合 → 最大10万円の過料
「相続の事実を知らなかった」場合は過料の対象外になる可能性あり
💡 試験対策ポイント
相続登記を怠ると「10万円以下の過料」
過料は刑罰ではなく行政上の罰則
④ 相続登記の申請方法
相続登記をするには、次のいずれかの方法で申請を行います。
🔹 申請の方法
法務局に自分で申請(オンライン申請可)
司法書士に依頼する
法定相続分で登記しておき、遺産分割後に修正する
🔹 必要書類
✅ 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
✅ 相続人全員の戸籍謄本
✅ 被相続人の住民票除票または戸籍附票
✅ 相続人の住民票(住所変更がある場合)
✅ 固定資産税評価証明書
✅ 遺産分割協議書(協議が成立している場合)
💡 試験対策ポイント
登記申請は「法務局」に行う
必要書類の中でも「被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)」は必須!
⑤ 過去の相続も義務化の対象になる?
✅ 2024年4月1日より前に発生した相続も、義務化の対象となる
✅ 過去の相続分については「2027年3月31日まで」に登記を行う必要がある
💡 試験対策ポイント
2024年4月1日より前の相続でも「2027年3月31日」までに登記が必要
過去の相続で未登記のものがある場合は早めに対応しないと過料の対象に!
⑥ 相続登記の義務化の目的
相続登記の義務化は、以下のような問題を解決するために導入されました。
✅ 所有者不明土地の増加を防ぐ
✅ 相続人が多数いることで権利関係が複雑化するのを防ぐ
✅ 不動産取引を円滑にする
💡 試験対策ポイント
「所有者不明土地問題」の解決が目的
相続登記を義務化することで、土地の権利関係を明確化
⑦ まとめ
✅ 2024年4月1日から相続登記が義務化された!
✅ 相続を知った日から「3年以内」に登記が必要(遺産分割未了でも可)
✅ 怠ると「10万円以下の過料」の罰則がある
✅ 2024年4月1日以前の相続でも、2027年3月31日までに登記が必要
✅ 目的は「所有者不明土地問題」の解決
相続登記の義務化は、今後の不動産相続に大きく影響を与える重要な改正点です。行政書士試験でも 「登記義務化の期限」「罰則規定」「対象範囲」 などが問われる可能性が高いので、しっかり押さえておきましょう!
💡 次のステップ
これで「相続」の頻出ポイント10選はすべて解説しました!
最後に、この記事の 総まとめ を行いましょう。
11. まとめ
相続は行政書士試験の重要分野 の一つであり、多くの問題が出題されるテーマです。
試験対策としては、「法定相続人と相続順位」「法定相続分」「遺産分割」「遺言」「遺留分」 などの基礎知識を正しく理解し、条文の適用を確認することがポイントになります。
本記事では、「これだけ覚えれば合格ライン!」 という観点から、試験で狙われやすい相続の頻出10項目を解説しました。
以下の内容をしっかり押さえておくことで、相続分野の得点力を上げることができます。
✅ 本記事で解説した「相続」頻出10項目のポイント
相続の基本概念(民法882条)
→ 相続は「被相続人の死亡時」に開始。プラス財産・マイナス財産も含まれる。法定相続人と相続順位(民法887条~889条)
→ 第一順位:子、第二順位:直系尊属、第三順位:兄弟姉妹。配偶者は常に相続人。法定相続分の割合(民法900条)
→ 配偶者と子:1/2ずつ、配偶者と直系尊属:2/3と1/3、配偶者と兄弟姉妹:3/4と1/4。遺産分割の方法(民法906条)
→ 協議分割(全員の合意)、調停分割・審判分割(家庭裁判所が介入)、分割禁止(最大5年)。相続の承認・放棄(民法920条~938条)
→ 単純承認・相続放棄(3か月以内に家庭裁判所へ申述)・限定承認(相続人全員の合意が必要)。遺言の種類と要件(民法960条~)
→ 自筆証書遺言(全文自書・2020年改正で財産目録のみPC可)、公正証書遺言(公証人作成・証人2人)、秘密証書遺言(内容を秘密にできる)。遺留分と遺留分侵害額請求(民法1042条~)
→ 直系尊属のみの相続なら1/3、それ以外は1/2。兄弟姉妹には遺留分なし。遺留分侵害額請求は1年以内。代襲相続の仕組み(民法887条2項、889条2項)
→ 子が先に死亡していた場合、その子(孫)が代襲相続。兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪まで(再代襲なし)。相続登記の義務化(2024年4月施行)
→ 相続した不動産は3年以内に登記が必要。違反すると最大10万円の過料。
✅ 試験対策のポイント
特に「法定相続分」「遺産分割」「遺言」「遺留分」は頻出!
用語の定義や適用範囲(代襲相続のルール、相続放棄の影響など)を整理する
条文番号も一緒に覚えると、記述式問題にも対応しやすい
過去問を解きながら、具体的な事例で理解を深める
✅ 最後に
行政書士試験では、民法の「相続」分野が確実に出題されます。
本記事で解説した 10のポイント を押さえておけば、合格ラインに達することができます!
今後は、過去問や問題集を活用しながら、実際に出題される形式に慣れていくことが大切 です。
知識を定着させるために、条文・判例・問題演習を繰り返し学習 し、合格を目指しましょう!