ないものねだり
小説と漫画が大好きで、いつか私も創作する側になりたいと幼い頃から思ってた。決して口には出さなかったけど、心の中では物書きになれるという謎の自信があった。
でも社会人まであと1年、というところまで生きてきて気づいてしまった。私はコンテンツを受け取る側の人間だということに。
自慢に聞こえるかと思われるが、これは自慢でもなんでもない。私は両親のおかげでお金には全く困らず、中学の頃は受験をさせてもらい、失敗したけど毒親でもないため「小学校の友達とまた一緒の学校で良かったね」と言ってくれた。その後の高校、大学受験には失敗しなかった。その間一度もいじめられたりいじめたりもない。全く恋人ができなかったわけでもない。
物語の主人公ではないごく普通の人生を送ってきた私も、何度か小説を書いてみたことがある。
けど、なんだか刺激がない。スパイスが足らない。
ましてやエッセイなんて書ける人生を送ってない。
勝手なイメージだけど、波瀾万丈な生き方をした人や、何か大きな挫折や不満を抱えて生きてきた人、良い意味で普通ではない人、が創作をする側の人間になれる気がする。
私は、創作にぶつけられるような感情を持ち合わせていなかった。
だからといって毒親の元に生まれたかったとか、受験全部失敗したかったとか、そんな風には思わない。のびのびと育ててくれた両親には感謝している。ただ、何か不幸なことが1つあったら、なんて考える時もある。
人には向き不向きがあって、私には刺激のあるストーリーを生み出すことが難しいのだと気付いた。書きたいものと書けるものが違うことを目の当たりにして悔しい。
でもまだ生きてきた時間は短い。これから何かあるかもしれない。なりたいものになれるまで。