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絵空事の芝居にリアルな肌触りを感じた。 「幸せになるために」下北沢「劇」小劇場

今回、観劇中に不思議な感覚に囚われ、途中でその理由を思い出した。
25年前ほど前だろうか、同じ団体が、新宿梁山泊の「映像都市(チネチッタ)」を公演するのを観に行った事があったが、その時と同じような感覚を覚えたのだ。

さて、今回は客演の村松恭子さんからのご案内。
久しぶりに彼女の「狂気の芝居」を観させてもらった。
梁山泊時代の舞台などでは、このような切れた芝居を多く求められていたのが懐かしい。

前半の顔見世的なミュージカルなどでは、客演としての立場をわきまえてか、周りに合わせて行儀よく芝居を抑えているが、終盤彼女は客演としての意地を見せる。つまり及第点の芝居に収まらないということだ。

演じるのは大惨事による悲劇に狂気ギリギリとなる母。その中には、その向こうにある救いを感じさせる。そしてその芝居が、綺麗にまとまろうとしがちなこの芝居自体に異種混在の魅力を加えている。

それは、そこそこ気心の知れているであろう役者たちの中に
異分子としての女優をキャスティングした、演出の妙でもあるだろう。


思えば、下北沢の小劇場は今の若い役者にとっては、オシャレな街のただの小さな劇場なのかもしれない。しかし、かつて下北沢で演劇をやるということは、ひたすら「生」を確認する行為だった。
演じる側も観る側も「お前は今、生きているか?!」とギリギリの所で確かめ合っていたのである。
時折挟まれる「俺、死んでるの?」という伏線っぽいセリフが
まるでその暗喩であるように感じられた。

「幸せになるために」STRAYDOG本公演

下北沢「劇」小劇場にて 10月25日日曜日まで


追伸:
最近観た演劇や映画、ビデオで「この世に神はいない」という意味のセリフを続けて耳にした。
これも厭世的、閉塞感にまみれた世相の影響であろうか。
「神を信じて、神に頼らぬ」生き方が理想だと信じている。

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