「三者三様の魅力」・・・言の葉だこっと7月公演。
少し前になるが、俳優の町田政則さんが主宰となって、毎月行われている朗読会。「言の葉だこっと 7月公演 (朗読集団くおーれ初公演)」を野方ブックトレードカフェどうひんで鑑賞した。
毎回、様々なジャンルの短編を披露している。
私も数年前に、何本か作品を提供したことがあった。
「毎月ゆる晦日」に公演。という事で、月末の土日に行われる事が多く、
ここ数年はコロナの影響もあって、全く行けなかった。
おそらくは丸3年ぶりとなるが、会の雰囲気は変わらず、和気あいあいとしたものだった。
先日同じ会場で拝見した「朱の会」の公演とは、全く違った印象である。
比較する事に意味は無いのだが、「朱の会」は、凛とした手堅さが魅力。
「だこっと」はゆるゆるとした手作り感が魅力であるように思う。
その特徴が、今回ははっきりと感じられた。
夜の部に登壇した出演者は3名のみだが、三者三様の語り口で、
楽しませてくれた。
町田政則さんは、冒頭から2度もつまづいたが、それを「失敗」にしてしまわない、肝の座り方を見ると、やはり経験がものを言っている、と感じた。
続いて登壇した三野友華子さんは、その妖艶な語り口が魅力だ。
ご本人は、しくじったなどとおっしゃっていたが、全くそれを感じさせなかった。
特に、要所要所で上目使いに見上げながら語るその目つきに、危険な輝きがある。緊張感の伴った色っぽさは、誘蛾灯のごとく、人々を虜にする。
刺青の針を刺す場面では、観ている方がM的な情念に絡め取られそうになるほどであった。
最後に登壇した西村俊彦さんは、三野さんの緊張感を、出てきた瞬間に吹き飛ばし、全く新しい世界観で観客をリラックスさせる。
ご本人が、一番楽しんでやっていると感じさせる。
その語りは、手に持った台本が進むにつれて、「ああ。あと数ページだ。あと1ページしかない」などと終わるのが惜しまれるような感覚に陥る。
楽しんで見せる事が、そのまま観客を楽しませることになっている、という得なキャラクターの成せるワザなのかもしれない。
今後も楽しみである。
今後も声優や俳優という自らの肉体を使った表現者たちのさらなる可能性を楽しんでいきたい。
言の葉だこっとは、毎月朗読会を開いている。この努力には頭が下がる。
8月も月末にあるようだから、ご興味のある方は是非体験してみて欲しい。
おわり