「鏡よ鏡・・・」あっという間に読める超ショート怪談。よ~くその向こうに隠れているものを想像すると・・
王宮でお妃が鏡に向かって話しかけた。
「鏡よ鏡。この世で一番美しいのは誰だい?」
「一番美しいのは白雪姫です」
「ああん? 誰だとうぉ」
お妃は、手にした金槌で鏡を指さした。
「い、一番美しいのは、しら・・・」
「だれだぁ~? よ~く考えて答えろや、このキラキラ平面野郎が!」
「い、一番美しいのは・・・」
「美しいのはぁ?」
「お、お、お妃さまです・・・」
「ほう。そうかい。正直な鏡だね。よ~く磨くように言っておこう」
お妃が嬉しそうな顔をして、金槌を鏡の前に置いて部屋を出て行った。
白雪姫が出て行って半年、お妃の部屋ではこのやり取りが毎朝のように繰り返されている。
「言い直すんだったら最初から言ってしまえばいいのに」
と金槌が聞くと、鏡は、
「言わせてやった、という
サド的満足度を与えてあげるのが大事なんだよ。
少し苦しんだふりをしてあげないと
セリフに真実味が増さないからね」
と答えた。
鏡と金槌が王宮の平和を守っていることを知るものはいない。
しかしお妃が金槌を持って鏡の前に立つ限り、
この国の平和は続くだろう、今日も明日も明後日も。
おわり
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