見出し画像

「二階の客」… 怖すぎる実体験。久しぶりの旅行先で感じた恐怖の夜。

自粛生活の反動で、とにかく旅に出たいと思い、夫婦二人で車を走らせた。
目的地は、首都圏からほど近い思い出の観光地。

日本を代表する絶景が海外にも評判で、近年では外国人観光客が多すぎて、足が遠のいていたが、今なら逆に空いているかと思い、久しぶりに訪れることにした。
「こ景色を見ながら初めて手を繋いだね」「あの木の側で写真を撮ったね」
思い出話に花を咲かせて、若返ったような気分で宿に入った。

宿には特にこだわりはなく、大浴場があることと価格の手ごろさで選んだ。
古びた旅館だったが、予想通り観光客も少なく、朝夕とも部屋食ということもあって、ほとんど人に会わずにプライベート感たっぷりのまるで貸し切りのような気分に満足していた。

そこまでは・・・

歩き疲れと旅の高揚感でなかなか眠りにつけないでいた深夜。

ドタタタタッ。

二階を走り回り足音がした。

「子供が泊っているのかな。知らない宿で興奮してるのかもしれないね」
などと話していると、その足音が一人から二人、さらに5~6人だろうか
どんどん多くなってきた。

ドタタタ。ドタタタッ。

ドタタタ。ドタタタッ。

「しょうがないな」
と時計を見るともう11時を過ぎている。
「少し注意してもらおう」
とフロントに電話するが呼び出し音が鳴るだけで誰も出ない。
「こういう旅館はホテルと違って深夜の応対はしないんじゃない?」
と諦めたが、足音は消えない。

「しかたない。直接言うか」
と部屋を出て、廊下の端の階段から二階を見上げたが
二階の廊下は明かりも無く、真っ暗な闇が広がっているだけだった。
足音もいつの間にか消えている。

と納得して、自室に戻ると、
「静かになったわね。怒ったの?」と妻が聞くので
「こちらの気配を察して、大人しく部屋に戻ったんじゃないかな。
もう誰もいなかったよ」
と言った途端、また大勢の足音が・・・

ドタタタ。ドタタタッ。

「しょうがないな、ワルガキどもが!」

ここから先は

757字

¥ 100

ありがとうございます。はげみになります。そしてサポートして頂いたお金は、新作の取材のサポートなどに使わせていただきます。新作をお楽しみにしていてください。よろしくお願いします。