「通知が来たら」・・・採用試験では、相手も色々と策略を練って来る。短編。
「採用試験」
「ミュージカルで有名な劇団「X」は
劇団員を募集する際、面接と実技を行い、
その数日後、応募者全員に「不合格」という手紙出すそうだ。
それで2日以内に、『納得いかない、自分は合格している筈だ』と言って来る
反骨心をもった若者を採用するらしいんだ」
Aは元劇団員から聞いたという裏話を自慢げに話した。
応募したBは、
「文句言いに行けばよかった。俺が落ちるはずは無いと思ってたんだ」
と今更ながら後悔していた。
応募しなかったCは、
「実力より根性という考え方はどうかと思うな」
と上から目線で批評した。
どうせ受からないと最初から諦めていたくせに、
来年受けようと考えているのが、見え見えだぞ。
俺は、試験会場で一緒だったD子にも聞いてみた。
「なあ。D子。全員に不合格通知が来たよな」
「え?私、普通に合格って来たわよ」
下手な策謀で有望な新人を他所に取られたかったのか、
それともただの都市伝説だったのか。
いずれにしても、俺たちは、D子との実力差を思い知らされたのだ。
その場で話を聞いていた全員の顔が蒼白になった。
卒業までもう時間は無い。俺たちはとにかく動きだした。
おわり
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