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「24分のX」・・・20 「知らない。何も知らない」連続超ショートストーリー
スナック「馬酔木」のカウンターに乗ったグラスの中の氷が、
カタっと音を立てて崩れた。
その瞬間、松野は答えた。
「もちろんさ。後悔はしない」
ママさん始め、カウンターの中の女の子が顔を合わせて微笑んだ。
「だったら・・・もう何も言わないわ」
俺の目の前に、左手が三本突き出てきた。
「ちょっと待ってよ。ママたちに買うなんて言ってないでしょ」
「こっちこそ買ってなんて言ってないでしょうよ。
アンタ、指輪買ったことあるの? 良く見なさい。
アタシの薬指は8号。細めね」
「平均的なのはアタシの9号」
「アタシは11号。頼りがいがある指でしょ」
「え?指輪ってサイズがあるの?」
カウンターに並んだ三つの顔が、一斉に呆れかえった。
つづく
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