「若さを手に入れる」・・・同じネタでもこんなにもアプローチが違う。
「怪奇館へようこそ」は、水木しげるさんの短編集。
その中に、こんな話があった。(一部ネタバレがあります。短編集を読むつもりの方はご遠慮ください。
その中の一遍「すりかえられた肉体」。
ある青年が、年老いた学者から「全財産を与える」という提案を受ける。条件は学者の過去も未来も受け継ぐこと。
結局、青年は老学者と肉体を交換させられてしまう。
老いた体を抱えて絶望する青年。
老学者が残していたのは「解放」と書かれている薬瓶。
青年は楽になれるものと思い、その薬を飲んでみるが・・・。
という話である。
これを読んで、思い出した作品があった。
藤子・F・不二雄さんの短編「未来ドロボウ」である。
こちらも若者が老人と人生を交換する話だが、短編作品には作家性が如実に出る。
水木氏の「すりかえられた肉体」では、交換された青年は、その老いた肉体を抱え、失意のまま最期を迎える。
藤子氏の「未来ドロボウ」では、交換された青年は一時的に絶望するが、交換した老人が「若さは・・・世界中の富をもってきてもつり合わない・・・この取り引きは不公平だった」と考え、体を(精神を)元に戻し、青年はハッピーエンドを迎える。
どちらの作品も「若さの大切さ」を語っているが、結末がこれほど違うのも面白い。共に一時代を担ってきた作者二人の人間観、人生観を垣間見てみるのも良いだろう。
もし、自分が「老若交換」のテーマで書いたら、どのようなラストを用意するだろうか・・・。
おわり
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