「めどつが来る」・・・怪談かな?。三木住職の怪談説法。
もう一月ほど前になるが、
怪談師としても有名な三木大雲住職の怪談会を観た。
介護施設に現れる不思議な子供の話、
心霊スポット巡りをしていると女の子の霊があらわれた話、
ある峠に赤い車で行くと事故るという話などを一人で語られた。
三木住職は、日蓮宗の僧侶で、京都にある光照山蓮久寺の本物の住職である。
幼いころから不思議な体験が多く、現在では、それらの体験話と、これまで聞いた怪談話に、仏教の教えを織り交ぜて語る怪談説法で知られている。
今回話された中に、「めどつ」がやって来る、という話があった。
「めどつ」とは「めどち」とも呼ばれる妖怪(?)で、青森県を中心に
伝説のような形で伝えられている。
その話は様々なバリエーションがあるが、
ある名工(一説には左甚五郎)が、神社の本殿を建てる際に
木くずを川に捨てた。
するとその木くずが「これから何を食えばいいか」と、尋ねたという。
名工は特に考えもせず、「尻でも食らえ」と答えた。
その為その木くずは、メドツ(メドチ)となって人を襲うようになった。
という話である。
たったひと言が、妖怪を生み出し人を不幸にする。
言葉には気を付けなければならない。という説法でもあろう。
三木住職の話にも通じる怪しい伝説の話である。
さて、お堅い話ばかりでは、つまらないであろうから、
ここで、もう少し柔らかい、名工・左甚五郎にまつわる小話を紹介しよう。
*注:ここから先は、大人になってない良い子の皆さんは読まないでね。
とある大店の一人娘がご懐妊。
結婚前の娘に、誰が手を出したのか、
お店の主人である父親は、怒りに震えて娘を問い詰めるが、
「私は殿方に抱かれたことは、ただの一度もありません」
と娘は全く覚えが無いと言う。
「そんな訳はないだろう」
と父親がさらに怒るのを母親がなだめ落ち着かせると、
娘は手箱の中から、八寸ほどの小さな包みを取り出した。
「これしか使ったことはありません」
と差し出された包みを開くと、
中からは、つるつるに磨かれた立派な木製の「張り型」が!
両親がその張り型を見てみると、胴体に、「左甚五郎作」と刻まれていた。
両親は、なるほど、さもありなん。と納得したと言う。
名人名工と呼ばれる者であれば、木の欠片、木くずの類にさえ、
魂が宿るのかもしれない。
おわり
ありがとうございます。はげみになります。そしてサポートして頂いたお金は、新作の取材のサポートなどに使わせていただきます。新作をお楽しみにしていてください。よろしくお願いします。