ヒット曲分析#11 狭めの音域で最大限のドラマを演出するメロディの音使い
AI作曲アプリAmadeus Codeを開発する時にヒット曲を学習データとして分析しています。その中で気づいた点をシリーズで公開していく「ヒット曲分析」。今回は音の跳躍と音域について考察します。
2020年ビルボードチャート年間8位になったヒット曲です。2017年に亡くなったバンドのマネージャーでもあり、ボーカルのAdam Levineの幼馴染だったJordan Feldsteinへ捧げた曲です。 歌詞の内容が泣けるのですが、いつものようにメロディを分析していきます。
意外と音域が広くない
ワンコーラス分のメロディをギュッと縮めてみました。最高音がG#、最低音がF#です。1オクターブ+1音という割と広くない音域に収まっています。この曲の音域は男性ボーカルとしては標準よりも狭めと言って良いでしょう。それほど広くない音域でもこのようなドラマチックなメロディになっている要因を探ってみましょう。
高い音から歌い出す
冒頭サビから始まりますが、上のF#から歌い出します。リズミックかつ音の跳躍もある難しいメロディではありますが、「つかみ」として抜群の効果があります。どこかで聞いたことがある感じも一役買っていると思います。
↑Aメロの最初のフレーズも割と高めから入り、最高音のG#が含まれます。
Bメロはキーのトニック(主音)であるB音を中心に、フレーズ毎に跳躍させた音を一つ含んでアクセントをつけています。
それほど広い音域ではなくても、このようにドラマチックなメロディになっている好例ですね。一番綺麗に響く音、一番よく鳴る音(声でも楽器でも)をメロディの一番聞かせたいところに使ってみてはいかがでしょうか。