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ヒット曲分析#05 メロディの繰り返し効果

AI作曲アプリAmadeus Codeを開発する時に過去60年分のヒット曲を学習データとして分析しました。その中で気づいた点をシリーズで公開していく「ヒット曲分析」。今回はメロディの繰り返しによる効果について分析していきます。

In My Feelings / Drake

2018年に10週連続1位を記録したヒット曲です。年間1位を記録した「God’s Plan」等、この一年はDrakeの年だったと言えるほど、ヒット曲がたくさんあります。まずはChorus(サビ)のメロディを確認してみましょう。

同じメロディの繰り返し

最初の3つのフレーズ、歌詞では「Kiki,」「Do you love me? 」「Are you riding?」となる部分は同じメロディを3回繰り返しています。それを受ける形で「Say you'll never ever leave」という別のフレーズへとつながります。

AAAB

最初の繰り返しているフレーズをA、受けるフレーズをBとすると、最初の4つのフレーズのブロックはAAABという構成です。3回同じフレーズを繰り返しています。

最初のAAABの後も下記のように同じAAABという構成でメロディが展開していきます。
A「from beside me」
A「'Cause I want ya,」
A「and I need ya」
B「And I'm down for you always」

A「KB, 」
A「do you love me? 」
A「Are you riding?」
B「Say you'll never ever leave 」

ここまで「AAAB」というブロックが3回繰り返されていることが分かります。しかし、4回目ではフレーズA「from beside me」の後、
「'Cause I want ya, 」と、これまで使われていない、初めてのフレーズが登場するのです。このフレーズをCとします。

Cの後はこれまでと同じように
A「and I need ya」
B「And I'm down for you always」
と続きます。

Chorus全体の構成を振り返ってみるとこのようになっています。
AAAB
AAAB
AAAB
ACAB

aaab

この4つのフレーズのブロックを「a」「b」として見てみましょう。
a: AAAB
a: AAAB
a: AAAB
b: ACAB

全体が「aaab」となって、「AAAB」と相似の形になっていることが分かります。

繰り返しによる期待と裏切り

このように同じメロディを繰り返すと、曲に安定感をもたらすだけでなく、聴いている側に自然と期待させたり、ある種の中毒のような効果をもたらしてくれます。そして耳が慣れてきたところで、新しいフレーズを交えるとそれが驚きとなり、ついつい耳を持っていかれてしまうのです。

繰り返しによる期待と裏切り。DrakeのようなクールなHip Hopではなくても試す価値のある作曲の仕方だと思います。


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